ブロンズ
レビュアー
  • てだれもんら 1

    圧倒的。でも軽やか

    器に盛られた料理、庭をかたち作る植物、ふいに顔をのぞかせる怪しいものたち。すべてが美しく表現され、眼前で香りたつよう。

    薄いスクリーントーンを切ったり、はったり、重ねたり、削ったり。
    中野シズカさんの独創性と表現力に圧倒されつつ、謎をはらんだストーリーや登場人物にどんどんひきこまれていくのがわかります。
    2巻が世に出る日はいつなのでしょうか。。。!

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  • 崖っぷち猫は指名がほしい【電子限定おまけ付き】

    作家さん買い決定しました

    よくあるストーリーかなと思って読み始めたら、いい意味で予想を裏切られました。
    いや、ラストは予想通りなのです。でも、そこにたどり着くまでに意外なおもしろさと奥行きがあって、もづ九先生の個性が光っていました。

    この作品では絵もお話もまだまだ発展途上という印象ですが、近作ではどうなっているのか、楽しみに読みたいと思います。

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  • いろいろつれづれ 【特典ペーパー付き】

    新しい。。。

    犬の姿で登場する草間先生がまずカワイイ。ペンを持つ前足やちょっとした仕草も、犬として違和感を感じません。二足歩行なのに!

    幼少時からの思い出話に妄想話。草間先生の観察眼と思考をくぐり抜けて描かれると、なんと魅力的なことか!
    そこへ毎回のエッセイのテーマと絡みながら展開する社会人BLストーリー。少しずつ話が広がっていき、どんどんエッセイを侵食するさまもまたスゴイです。エッセイの新しい形態ではなかろうかと感嘆。
    第2弾があるならば、ぜひ読みたいものです。

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  • 性格クズでなにが悪い 4巻

    すごい

    物語が長くなるほどつまらなくなったり、魅力が薄れていく作品も多いなか、この作品は1冊ごとにパワーアップしている気がします。4巻それぞれに異なるおもしろさがあって、すごいな〜と思います。
    壁ドンや玄関先でのイチャイチャなど、あるある展開を花浦くんが冷静にぶっつぶしていくところが好き。主役の二人が頭できちんと考えて言語化するところも大好き。

    今回は主人公の花浦くんがぐんぐん成長する姿に目を細めておりました。青葉くんやまつりちゃんたちと普通に友だちしてるところにグッときましたが、大学のクラスメイトとはまだまだ距離があるようです。
    そして都築くんの自覚のある狂気にゾッとしました。その執着の理...続きを読む

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  • 崩れる天秤

    なるほど!

    SFショートショートのような味わいです。
    短編ということもあり、さくさくとお話が展開していきますが、ねっとり濃密な暗闇と、ほんのり明るい希望と、じっとりまとわりつく恋心がうまいこと詰め込まれています。
    スピーディな展開ゆえに細かい部分で気になる点もあります。それでも起承転結のおもしろさが印象に残る作品です。
    ページ数がもう少しあれば、さらに世界がひっくり返る展開がありそう。

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  • 年々彩々

    なんで今まで読まなかったのか

    秀良子さんの別作品を試し読みして、なんというか、ちっとも心に引っかからなかったんです。むしろ、ちょっと苦手かもと感じて避けていました。だけど。。。!!
    すみません、私が間違っていました!

    有名な落語が、こんなお話になるなんて驚きです。限りなく永遠に近い、長い長い時間を生きる切なさ、二人でいることで生まれる薄明かりのような幸福。じわじわとしみいるストーリーでした。

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  • あやまちは紳士の嗜み

    英語で読めたら

    とあるアンソロジーで知った松尾マアタさん。
    絵もセリフもキャラクターも大好き。アメリカ東部を舞台にした上質な海外ドラマのようです。

    本作品はハスキンス教授とジョナサンの一筋縄ではいかない恋愛模様の2作めです。
    それぞれの家族のことや教授の過去のエピソードなど、物語にどんどん厚みが加わっていきます。
    前作で登場したエンジェルの幸せそうな笑顔にひと安心しつつも、ジョナサンと恋人ごっこをするエヴァンや教授の離婚発言など、まだまだ物語は続きそうな雰囲気なのですが。。。
    OPERA 64号にその後のストーリーが掲載されているそうで、購入を検討中です。

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  • 明日世界が終わるなら

    となりに

    43ページに、ぎゅうっと愛が詰まってるお話。
    遠くから見ていた矢萩と三笠。となりに立ちたいと願い、やはりできないと一度は諦めようとする槙さん。なんて強くてカッコいい女性なのだろう。最後までその潔さ、カッコよさを貫く槙さんに泣かされます。
    この3人のあいだにある物語を、いつかまた読めたら。。。

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  • やさしい後悔

    短いけど名品

    作家買いしている内海ロングさん。
    どの作品を読んでも、このあとどうなるの?この人はどうするの?とページをめくる手が止まりません。すごい推進力。
    波瀾万丈とかドキドキハラハラ、ではありませんが、それだけ登場人物やストーリーに魅力があるということなのかも。

    この作品も、短いページ数で主役の佐竹くんの「やさしい」性格やそれに起因する自己嫌悪、飄々としているように見えて実は・・・という中原くんの内面をうまく表現しているんですよね。
    前向きな終わり方ではあるけれど、続きが読めるといいのになと思います。

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  • プレイアフターコール【電子限定描き下ろし漫画&カラーイラスト付き】

    Dom/Subってなんのこと? というところからスタートしましたが、作中で保健体育の授業があり、わかりやすく教えてもらうことができました。

    私は支配/被支配に生理的嫌悪感を覚えるほうで、オメガバースも苦手。でも、この作品は愛すべきボーイ ミーツ ボーイと素直に思えます。
    主人公の2人が出会い、お互いに歩み寄り、理解を深めていく過程がごくごく自然に描かれており、そこにDom/Subの設定がすごく上手に活かされているんですよね。
    Domの倉科くんが優しくて、常に相手を大切に考えて行動するのがいいです。こんな人、現実にはなかなかいないかも。

    ただ1つだけ気になるのが、コマンドと呼ばれ...続きを読む

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  • ワンダーフォーゲル【SS付き電子限定版】

    初めて読んだ作家さんなのに、この感じ、知ってるなあと不思議な感覚が。
    しばらくして思いあたったのが、吉野朔実さんでした。ジャンルも絵柄も違うし、そんなこと思うのは私だけかもですが。

    交錯する過去と現在、すみずみまで解き明かされることのない謎、内省的な主人公と底抜けに明るい友人、わしゃわしゃと茂って心にも濃い影をおとす植物。
    そして、緩やかに、でも自らの意思でくっきりと立ち上がり、成長していく登場人物たち。
    この印象が合っているのかどうか、「センス オブ ワンダー」も読んできます。

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  • code:G 【電子限定特典付き】

    正解はないけれど

    好きとか嫌いとか恋愛とか幸福とか、いったい何なんだろうと考えてしまう作品です。
    でも何回も読んでしまうし、そのたびに心は弾みます。

    阿部あかねさんの作品はこれが初めてだったのですが、完璧ノックアウトされました。
    ジーさんがとにかく色っぽい。
    ハルカとシモンに振り回されているようで、振り回している業の深さよ。

    それにしても、BLの登場人物で花屋って多くないですか? バンドマンもいっぱいいるけど。
    ジーさんがなぜ花屋になったのか聞いてみたいです。

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  • お前の指でとろけたら【単行本版(電子限定描き下ろし付)】

    これって

    まちねこさんのレビューの通り、詐欺ですよね?
    このタイトルと表紙と帯だけなら、好みじゃない、とスルーされる方もいらっしゃるはず。
    でもね、でもね!
    最後まで読んだら、「だまされた!」と思います、きっと。

    作者さんあとがきによると「受けに救済される攻め」の物語なんです。しかも聖母み添え。
    生き難さとか孤独感を抱えている相手を、なんとかして助けてあげたいと行動に移す主人公が本当にカッコいい。
    そういう意味では師匠のカメラマンのスキャンダルをリークするアシスタントさんも・・・。

    くっついてからの二人の空気感や会話、愛情表現の仕方も、なんというか男の子っぽくてちょっとうらやましい...続きを読む

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  • 王子の木

    王子と木、ではなくて

    高校の文化祭の出し物で、王子役になった男の子。彼が恋したのはお姫さまではなくて、背景の木と道具係を兼任するやさしい男の子でした。

    タイトルが「王子と木」でないのはどうしてなんでしょう。
    王子だけの木、だから?
    王子にとって木は特別な存在だから?
    木は王子にたいせつなものを与えてくれるから?

    表紙や奥付や諸々含めて全30ページ。
    このページ数で、誰かを好きになったときのせつなさとか、よろこびとか、すべてが表現されている気がします。
    三田織先生の作品は、相思相愛のふたりが主人公でも、すべてがハッピーな感じではなく、ちょっとした不安や心配がさりげなくはさみこまれていて、たとえ短...続きを読む

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  • かえってほしいの

    二人と一匹の三角関係

    医師のタマゴのたつる、闇金のタイセイ、タイセイの飼い猫ロビィくんの日常生活をサイレントで。や、サイレントというより、ジャズかなにかがインストでうっすらと流れている感じ。
    最初と最後にあるセリフ付きのパートが、物語の世界を理解する手助けをしてくれます。

    おたがいを「どうしようもなく好き」な二人と、タイセイだけを好きなロビィくんと、三者が対等な関係でいるのが心地よいです。
    「ネコの貞操を守る猫」サイコー。

    ところで電子だと裏表紙(表4)が見られないことが多いのってなぜなんでしょう??
    この作品の裏表紙にはおそらくロビィくんがいるはず。
    せっかくのデザインが台無しというか、紙媒体...続きを読む

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  • 上質な男とH

    上質なラブストーリー

    唐突ですが、わたくし、スーツが好きなんです。
    身体にきちんと合ったスーツを着ている男性も好きなんです。
    でも、マンガだとかなりテキトーに描かれていることが多くてさみしいのです。

    この作品では、スーツの美しさと、ちゃんとしたスーツを着た男性の美しさが余すところなく表現されていてそれはもう。
    特にシビれたのは、
    シャツとジャケットの襟が首まわりにほどよくフィットしている/襟〜肩〜袖山のラインがなめらか/ジャケットとパンツの腰まわりがきれい/パンツのセンターラインがピシッとしている
    ・・・です。
    独特の描線と相まって、ホント色っぽいのです。

    もちろん、登場人物もストーリーもス...続きを読む

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  • スメルフェティッシュ

    唯一の匂い

    試し読みでひかれて購入。
    結果、大満足でした。繰り返し読んでいます。
    なんといっても絵がキレイ。人物の表情はもちろん、身体の動きや背景もきちんとしているので、安心して読めます。
    「匂い」をテーマにしているのもおもしろい。
    気になる作家さんがまた増えました。
    (現実の過敏症だと外出もままならず、かなりキツいものですが、そこはまあフィクションなので)

    お話やキャラクターについては、気になる点がなきにしもあらずですが、あとがきによると当初は1話読み切りだったようで、仕方ない部分もあるのかなと。
    むしろ、つきあい始めてからもくだらない(笑)ことでケンカしながら、さらに距離が近づいてい...続きを読む

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  • 東オトコ京オトコ(下)【電子限定おまけ付き】

    「好みちゃうけど
     好きとちゃうとは言うてないよ」
    もうね、終始こんな感じなんです、京オトコ・周くんの心のなかは。
    彼のわかりにくい言葉と態度に振り回されつつも、恋する気持ちを素直に、そして繰り返し伝える東オトコ・相馬くんがすばらしい。
    読むたびにトトロンにふわわ〜んとつつまれるような幸福感にひたれます。

    *東オトコの本音は・・・*
    「振られる可能性
     ミリも考えてなかったなんて」
    「俺 ツンデレ好きだったんだな
     周君全然デレないけど」
    「千葉の男は独占欲強いんだぜ」

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  • となりのメタラーさん【SS付き電子限定版】

    メタル(この作品を読むとヘヴィメタとは言えなくなってしまった)についてよく知らない私ですが、楽しく読めました!
    降り積もる雪のように、ゆっくりゆっくり恋を育んでいくお話。
    うまく言葉が出てこなくて、つらい思いをしてきた壮志さんが、遣斗くんに出会えてよかった。
    竜童くんやみちこさん、洋菓子店のみなさんもみんないい人なので、ほんわかします。

    *印象に残った言葉たち*
    「あとで誰もしんどくならないように最初に頑張ってるだけ」
    「そんな悲しい理由で音楽を聴いてたなんて」
    「俺の言葉を待っててくれる」
    「東京の豆、うまくないな」←新潟出身者の実感そのもの。。。

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