あらすじ
動かせ 歴史を 心を 運命を ――星を。
舞台は15世紀のヨーロッパ。異端思想がガンガン火あぶりに処せられていた時代。主人公の神童・ラファウは飛び級で入学する予定の大学において、当時一番重要とされていた神学の専攻を皆に期待されていた。合理性を最も重んじるラファウにとってもそれは当然の選択であり、合理性に従っている限り世界は“チョロい”はずだった。しかし、ある日ラファウの元に現れた謎の男が研究していたのは、異端思想ド真ン中の「ある真理」だった――
命を捨てても曲げられない信念があるか? 世界を敵に回しても貫きたい美学はあるか? アツい人間を描かせたら敵ナシの『ひゃくえむ。』魚豊が描く、歴史上最もアツい人々の物語!! ページを捲るたび血が沸き立つのを感じるはず。面白い漫画を読む喜びに打ち震えろ!!
地動説は美しい、命をかけても惜しくないほどに。
皆さんは地動説:太陽を中心として地球など惑星が回っているという学説を当たり前に知っているかと思いますが、それが当たり前ではない時代がありました。
それまでは天動説:地球を中心に太陽などが回っている説が当たり前という認識でした。
天動説は宗教的にも正しいとされ、それ以外の考えは異端思想であり、最悪火炙りの刑に処されてしまうこともありました。
この作品はそんな時代に生まれながらも、地動説の美しさを信じ、時代に抗った人々の物語です。
この作品の一番の魅力は地動説を信じ、己の意志を貫こうとする登場人物たちであり、読んでいて胸にこみ上げてくるものがあります!
歴史や科学好きだけではなく、現在に生きるあなたにきっと刺さる作品です。どうぞお手にとって読んでみて下さい。
感情タグBEST3
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ことごとく予想を裏切られる
本当に面白い。自分の信念を貫く尊さと、それが自分の周囲に与える影響を、地動説の証明という切り口で描いている。とても胸が熱くなる作品。
「確信犯」を描いた漫画
最近、ふと誤用が多いと言われる「確信犯」という言う言葉を調べてみる機会があった。
「政治的・思想的または宗教的信念に発して、それが(罪になるにせよ)正しい事だと確信して行う犯罪。」
のことだそうだ。
これだけだと意味わからんが、「チ。」と読むと主人公たちのことを言ってるのだとわかる。
「神」が作ったこの世界を正しく理解しようとすると「宗教」が「異端」と認定して刑に処そうとする。
その理由はおそらく「C教の教本に書かれていたことと違う」からである。
今、我々は言論の自由も信教の自由もありながらその素晴らしさを理解してない人も居る。
そのありがたさを理解しようとするならこの漫画は読むべきである。
読んでよかった
秀吉のうんこが、めぐりめぐって今の私たちの命につながっているというようなことを語っていた学者がいて、つまりうんこは土の中で分解され、やがて誰かの栄養となり生命は連鎖しているということなのだそうだ。本作を読んで、ふとこのエピソードを思い出してしまった。
「チ。」の中では様々な人物が、志半ばで死ぬ。思いを遂げられずに死んだりする。
しかし彼らの”思い”は、彼ら自身がそうと知ることはなくとも、何かしらの形で別の誰かに引き継がれ、つながっていく。
引き継いだ側の人間は、志なかばで死んだ人間のことなど知る由もない。時には受け継いだという意識すらない。
今自分が生きているこの世界はまさに、ずっと太古の昔から、自分が知りようもないたくさんの人たちのうんこ、もとい想いによってつながれてきたのだということ、望むと望まざるとにかかわらず自分はそれを受け継いだ一人で、この家の柱の一本一本、何気なく使っているペン、朝納豆にかけた醤油一滴、すべてに脈々と受け継がれてきた命と思いがつまってる。読んだ後、そんなことに思いをはせてしまう作品。読んでよかった。
ドキドキが止まらない
話題になってる漫画だーアニメ化するんだっなーと軽い気持ちで読み始めたところ、初っ端からグロッキーなシーン。あらすじすら知らなかった私プチパニック。読み進めれば進むほど予想外の展開にドキドキ。主人公だと思った男の子あっさり死亡。それでも好奇心は死なない。
心に残る
始まりの展開はグロいけど必要な描写だと思ってる。今の日本ではあまり宗教的弾圧を実感することは少ないだろうからヨーロッパの当時のそういう文化とか風習を改めて理解させる入り方だと思う。作中の言葉も素晴らしい!
知識への渇望
今なおアメリカでは進化論を否定する人たちもいるくらいですから、その当時のヨーロッパでの科学に対する宗教の弾圧や、葛藤は容易く想像できます。けれども歴史的な弾圧の事実を知っているのと、きっとあったであろう研究者たちの物語を読むのとでは、また思いを新たにさせられます。続きがとても楽しみです。
命にかえても
冒頭から拷問で口が裂けている人が出てきます。
12歳で大学への入学が認められたラファウ、大学では神学を学ぶと言いますが、ある異端者・フベルトに出逢います。
天動説はあまり美しくはないだろ?という発言もあり、ラファウは6等星まで観測できる視力の持ち主です。この辺から地動説の話が出てきて、ラファウも直感的にこれが正しいのでは?と感じます。
フベルトが箱に入れていた資料、あとオリオン座の三連星をモチーフにしたペンダントがこの作品のキーアイテムです。
フベルトも、そしてラファウも命に替えてでも自分たちの感じた感動を後世に残そうとしていましたが、異端審問官で元傭兵のノヴァックは仕事として当然のように異端を取り締まり、拷問して処刑に送っています。
10年後、再びフベルトの箱にたどり着く一行がいて、その箱の上に置いてある手紙に気づきます。
この作品は名言が本当に多いです。是非、そこは読んで味わって欲しいです。
Posted by ブクログ
アニメを観て「面白い」と思って、数話で観るのを
やめて漫画を揃え始めました。アニメは読み終えた
後に、一気に観ようと思ってます。
やはり印象的だったのは、ラファウがノヴァクに、
「敵は僕や異端者ではなく、想像力であり、好奇心
であり…知性」だと言う部分。
あと好きだったのは、フベルトが、神を信じるから
こそ追求するし、神が作ったこの世界はきっと何よ
り美しいと断言するところ。
知り合いの外国人が、このアニメは難しいから観て
ないと言ってたけど、この作品は地動説に関してる
けど、核心はそうじゃないよね。
教会が信じることこそが真理で、それ以外は認めな
いし、疑問を持つことも許さない…。なんて暴力的
なんでしょう。(コロナ禍でワクチンに関して疑問を
持つ人に全く同じことが起こったよね。肉体的な拷
問はなかったけど、バカ呼ばわりしたり陰謀論者扱
いにして言葉で虐げた)
権力を持った者がそれ以外を抑圧し支配する。
人間が知性を持つように作ったのは神様なのに、神
を信じてるはずの教会がそれを否定する。
そうそう。早々にラファウが死んでしまってかなり
ショックでした。
でも、命を懸けてでも追求を続けたいものがあるの
は羨ましいと思った。
Posted by ブクログ
君は、美しいと思ったか?
そして今から、地球を動かす。
『僕の直感は、地動説を信じたい!!』
とても気になってたので第1集読んでみた。
Posted by ブクログ
1巻から読み始めたが面白すぎたので次々と続きも買ってしまい、昨日読み終えた。
天文と哲学と歴史と人の感情の話だった。
地動説を次々と命を投げ打ってでも伝えていく心意気が読んでいて胸に刺さるし、その手法も自分では思いつかない驚かされるものばかりだった。
解説とか読めば読むほど考えさせられるし、この漫画自体が1つの哲学書みたいな感じだった。でも堅苦しく見せるのではなく、アクションもあり、頭脳戦もありでエンターテインメントとしてしっかり消化されているのがすごい!
それぞれのキャラクターに対する言葉選びが本当に素晴らしいなと思い、ラストの終わり方にも私は痺れました。言葉に詳しい人になりたい。
死ぬまでに読めて良かった!
この巻の主人公が、平和に生きたい波風立てず生きたい。当然痛いのは嫌だっていう考えを持ってて、この主人公だけじゃなく影響を与えた異教徒も誰もがそう思っているのに、それでも真理を追求せずにはいられない。それを解き明かすためなら自死も厭わない。今まで読んだマンガの中で一番誰も彼もの人生が煌めいてて、本当にすごいです。語彙力なくてもどかしい。すごく面白い。このマンガに出会えてよかったです。
情熱を捧げる、とは。
地動説を唱えるもの、それについて勉強するものは、
体罰が。2回目は死刑。冒頭から手厳しいシーンがあり
意外な程に内容の濃さに惹かれていきます。
ラファウは基本地頭が良く飛び級で大学へ行ける段階に
なったところである地学者と出会います。世の中イージーモードで
軽く見ていたラファウは地学者の天文に対する情熱に
どんどん引っ張られていきます。私はこの時点でラファウが
この本の主軸になる人だと読んでいたのに
あっさりと裏切られてしまいます。
そしてラファウ自身が12歳にして気づくんです。
あることに情熱を捧げるということは命を懸けて研究することだと。
最初の地学者から受け取ったバトンをラファウは次へ託すんです。
1巻の終わりはちょっと胸が震えました。
今までこういう本を読んだことが無かったなあと読みながら思いましたがそれと同時に内容の濃さにドキドキしてしまいます。
これは一気読みを回避できなさそうです。
なんか話題になってたから気になって見たけど、着眼点が新しい発想で面白かった。
男の子が主人公でこのまま進んでくんだと思ってたけど、死んじまうんだね?! 新しい章入るんだね?!気になる〜
Posted by ブクログ
51.信じて間違ったらどうするんですか?
構わない。不正解は無意味を意味しない。
P66そんな人生怖くはないのですか?
怖い。だが、怖くない人生などその本質を欠く。
P142
Posted by ブクログ
主人公補正が強そうだなという第一印象から一転、あまりにも早い物語からの退場に衝撃を受けた。命をかけてでも追い求めたい真理、そのために僅かな可能性に賭け、それを誰かに託す。
天動説、地動説、天文など理系がテーマかと思いきや、文字が奇跡であること、信念を貫くこと、またそれを疑うこと…人文学や哲学など、文系にも深く根差した物語だった。
人間ってどうせ死ぬし、自分が生きてる意味は無いという前提を持っていたが、自分も広大な歴史のごく小さな1パーツとして存在していて、もしかしたらそれが何か後世に影響をもたらすのかもしれないと思えた。後世に何を遺せるか、自分の命をどう使おうか、そういう考えを持てた。
久しぶりにこんなに漫画にハマった!!!!
全人類に読んでほしい作品。
匿名
意見が違うだけで拷問されたり火炙りになったりするのが恐ろしい時代だなと思いました。命をかけれる感動に出会えたのは良いなと思いました。
これは教科書では伝えられない魅
チ。―地球の運動について―
私に中学校時代の科学への啓蒙をもたらし、科学はもはや抽象的なものではなくなりました。美は実に科学への大きな突破口であり、少なくとも高校数学において私を群を抜いて際立たせてくれました。もしも自分の能力に限界がなければ、無数の実験やデータの中に没頭したかったものです。
Posted by ブクログ
遠い時代と国の話だがどおしても遠い社会の話とは思えないような物語でした。
表面の社会を扱う手段が現代と大きく違うが本質は今も昔も変わらない。
自分は教会で授業を受ける子供や老人だ。今見えているものでしか世界を評価することができていない。
自分を疑い続けたい。
どんでん返しの手法もめちゃくちゃ感動しました。
一回その場面を見た時は返されていたことに気づかず読み進めてしまいました。
匿名
地球と運動について
過去の歴史を紐解くと、地動説の証明には至るまで、とても大変だったという表面的な情報しか読み取れません。この時代における信仰と地動説の証明の、衝突でどれだけの犠牲が払われたのかがよく分かる内容でした。
ですが、教科書を読むだけよりこの漫画も合わせて読むことでこの時代の雰囲気がわかる気がします。
匿名
おもしろすぎた。不正解は無意味じゃ無いって本当そうだ…それに真理?正解?にたどり着く人は必ず最初は異端とされてるのにそれでも研究したり生をかけて解き明かすの研究者って本当にかっこいい。
痛いけど止まらない
お話はなかなか難しいし、辛くて理不尽な描写が多いのに読むのを止められなくて一気でした。
どんな着地になるんだろう?と思っていたら1巻のラストが衝撃過ぎて…この後どうやって地動説が確立していくのか、気になりすぎます。
時代の事実に基づいた話なので引き込まれる。異端者と判断され殺されると分かっていても地動説を研究する、真実を追い求めようとするラファウに胸が熱くなる。他の人々が想いを引き継いでいく。深い。
難しい内容だが読みやすい
歴史の授業じゃ、地動説が異端扱いされている中、ガリレオ・ガリレイが地動説について言及し、裁判にかけられた的な話で触れられるが、異端に対してどんな対応していたか、漫画や文字にして改めて現すと大分エグいことしていたんだな。
ガリレオの裁判が誤りだったと認められたのすら20世紀末(ガリレオ死後350年)ってのを考えると、地動説を3,4世紀以上に渡り、C教からずっと守って来た人達のお陰で、オレらは地動説について学べるんだな。確かに太陽の周り回っているのを軌道で現すの、綺麗だよな。しっちゃかめっちゃかな天動説の軌道と比較するとよりそう感じる。
これはひたすら見えないゴールに向かって何百年にも渡り、バトンを繋ぎ、戦い続けた人達の話なのかな。今後どうなるか楽しみ。
衝撃でした
主人公が、とてもカッコいいです。信念が素敵です。ですが、最後の展開には衝撃でした。ずっと続いて行くと思っていたので。え!と思いました。
続きがものすごく気になる一巻です。
地動説をめぐる壮大な物語
中世の宗教観に支配された環境で、真理を求める心と宗教弾劾に怯える主人公の葛藤が痛々しい。一方で現代人のような言葉使いやちょっとしたギャグ要素が話の重さを軽減して読みやすいものにしている。主人公が本巻の最後に死んでしまうのだが、彼の意志が別の人間に受け継がれていくようで思った以上にスケールが大きい話で先が楽しみ。
Posted by ブクログ
「漫画」として読むのはつまらない。理由は字が多く、テンポが取りにくいから。ただ、「物語」としてならとても面白かった。
登場人物の生い立ちは違うけど、みんな自分の信念や事実、希望に向かって突き進んでいくところに心を打たれた。
一人ひとりの人生は歴史的に見ると小さなもので、1つのピースにすぎないけど、壮大さも感じられた。
まずは疑え、そして信念に突き進め
Posted by ブクログ
副教材:『世界の奇書をゆっくり解説 番外編 「天体の回転について」』 この本は単体で見ると非常に淡泊で、あっさりとしている。 だが、天体と科学の歴史についてある程度知っていると、一コマ一コマ、一言一言に心が揺さぶられる。 特に好きなセリフは、「神が作った この世界は、きっと何より美しい」
Posted by ブクログ
チ。読んだ
読みました。短い話だった。
結局最後に登場した青年ラファウは誰だったのか?
火刑から逃れたのか、はたまたパラレルワールドなのか。ラファウが自死せずに生き延びれば、あの様な残虐性を帯びた人間になっていたことを示唆しているのか…難しい話やで。
異端審問官ノヴァクの、歴史に残らない普通の人間さに心打たれた。家族系はダメだって言ったじゃん…
仕事で人を殺し、そこに信念も特になく、地動説がなぜダメなのかもあまり理解せずに生きてきたが、誰よりも地動説に縛られた人だったな。
移民少女のドゥラカと、解放全線の隊長?シュミットの比較は素晴らしかった。
無神論を唱えるドゥラカと、自然崇拝者だが神を信じているシュミット。非なるようにみえて、確かに交わっていた。本当に素晴らしい対比だった。神学部で学ぶ人間としては是非参考にしたいきもちがある。良~~~
ドゥラカの死亡シーンで昇る太陽が描かれた美しさにため息出た。ドゥラカが作中で、「人の心の中から神は消えない」的なことを言っていたのもキレイだった。
私も今のところ無神論者に近い人間だけれども、確かに神がいてくれればいいのにと思うし(けど居たとしてなぜこんな苦しい世界なのかと恨んでしまいそうだけれども)、人の心から神という存在、超人的で圧倒的なものは消えないと思うから、ドゥラカには共感したな~
いい本だった。また読み返したい。対話シーンが多くて普通に読書してる感覚。絵の動きはあまりなくて、漫画としての良さはあまり感じなかったけれども、作者の頭の良さで殴られてる感じでいい読後感です。
人は神の存在を追いかけて、真理を目指したんですなあ
テレビのおすすめから読みました
地動説という現在では当たり前の様な考え方も過去にこの漫画の登場人物たちのように命をかけて証明してくれたことをわかりやすくまた引き込むように書かれていてとても面白かった!
チに対する欲求
「ひゃくえむ」はテーマがスポーツだったせいか、作品に込められた情熱はストレートで暑苦しくも好ましいものだった。が、こちらの「チ」はヤバいわ……テーマも媒体も変わったせいか、すべての皮をかなぐり捨てて本領発揮。もう情熱というより狂気。マジキチの域に達している。それでいて読者の目をぐいぐい引き込んで離さない。こんな地味な表紙からは信じられないほどの情熱、いや魂が籠められている。いっそ恐怖すら感じた。こんな作品を描いてくれて、出版してくれてありがとう。