【感想・ネタバレ】東独にいた(1)のレビュー

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Posted by ブクログ 2020年05月17日

宮下暁『東独にいた』(講談社)は東ドイツ(ドイツ民主共和国)を舞台とした歴史漫画。反体制派の男性と軍人の女性が中心人物である。東ドイツは既に消滅した国家である。このような漫画が登場することに冷戦時代が過去の歴史として見られていることを実感する。

警察によって家族が突然連れ去られてしまう全体主義国家...続きを読むの恐ろしさが描かれる。冷戦時代は自由主義国と比べた社会主義の恐ろしさと受け止められがちであったが、冷戦終結後の21世紀から見ると、イデオロギーとは関係なく警察国家の問題となる。日本の警察も人質司法など多くの問題を抱えている。

ベルリンの壁崩壊はゴルバチョフがペレストロイカ(改革)とグラスノスチ(情報公開)を進めた結果と単純化されがちである。しかし、そこには体制の行き詰まりがあり、体制への不満が渦巻き、反体制派の行動もあった。夜明け前が一番暗いという状況であった。

全体主義国家が問題ならば反体制派がヒーローになる。しかし、すっきり感情移入できない。目的を隠して他人に近付く陰謀家である。これは卑怯である。反体制派になる動機としてイデオロギー、金銭、恋愛感情を挙げる。身も蓋もない。反体制派の破壊活動は、ある人にとって大切な人々を傷つける。反体制側の暗さも含めて全体主義国家の雰囲気になっている。

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