あらすじ
大人気ホラーミステリ、完結!
仙龍の命を削る瘴気の鎖は切断できるのか――因縁帳、堂々終幕!
※電子書籍には特典として、内藤了さんの次回作「桜底 警視庁異能処理班ミカヅチ」の冒頭試し読みが収録されています!
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
感想
最終巻、もう最初からずっと泣きっぱなしで読み進めました
棟梁と棟梁の奥さんの想いに始まり、生きていてはできないことを背負う覚悟を決めた棟梁のおかげで隠温羅流と仙龍チーム以外の人達までが協力してくれる熱い展開で泣けたし、あのパグ男先生が協力を申し出てくれる上にいい人まで!っていうのもよかったねぇって泣けたし、最後のシーンはすべてが悪いほうに転がりだすところで歴代導師達が支えに来てくれるところでもう号泣…
コーイチがしぬんじゃないかとハラハラしてしまった
春菜ちゃんはもうなんか信頼があって、やってくれると信じられてしまった
本当にドラマチックで最高のクライマックスでした
これでお別れなんだと思うとすごく寂しいなぁ
内藤先生作品はチームみんなとお別れする感じがして最終巻の読後とても爽やかな切なさと寂しさを感じる…
Posted by ブクログ
前巻の『蠱峯神』と合わせてシリーズの最後を飾るお話。
個人的には前巻が『隠温羅』、本巻が『蠱峯神』といった内容の気もしている。もちろんそれではタイトルとして締まらなくなるので今のままが収まりが良いのだろうが。
冒頭から棟梁が死んでしまう。前巻の末からの急転。先代から順々に古い年代の導師が呼びにやってくると思っていたので、まだ一月くらいは猶予があると気を抜いていてショックが大きかった。
主要人物の棟梁が死ぬのならば、他の誰かも死んでもおかしくないという緊張感を持って話を読み進めた。
棟梁の出棺の場面はシリーズの振り返り、総決算でもある。これまで解決してきた事件の関係者から塩が送られてくる。皆が悲しんでいる様子にもらい泣きしそうになるのを堪えた。
メタ的には、導師の葬式(;42歳で連れていかれる様子)は物語を通してのハイライトで描写したいが、仙龍でその場面をやるわけにはいかないので代わりに棟梁がその任を負ったのだなと思った。
告別式の仙龍の言葉にあるように棟梁は隠温羅流の因縁を解くことに文字通り生涯を捧げた人物なのだなと思った。最後はこの世のことは次代の職人や春奈らに任せ、あの世の側から手助けをする役目に回った。これはご先祖とも相談の上だったのだろう。彼岸にいる隠温羅流のご先祖と此岸の仙龍たちの強力な橋渡しになったと思うと心強く感じた。
読み終わってみれば、棟梁はあの世の理による手助けだけではなく、告別式では隠温羅流に関係する業者、浄化された因縁の力を一つに合わせる機会を整え、浄化に苦戦する最後の場面では歴代の導師、職人達と現れて隠温羅流の職人に活を入れている。彼岸、此岸どちらでも背中を押す役割を果たしている。また、どの場面でも現世の人間に声をかけるのも彼だけである。登場シーンは少なくても最終巻の影の主役は棟梁だったんじゃないかなと思えた。
シリーズの最終盤に際して春奈のサニワも極まっている。棟梁の力添えもあるのだろうが、本作では当たり前のようにこの世ならざる現象が見え、感じている。
物語の所々で因縁に対するレーダーの役割を果たしており、吉郎の家を訪れるシーンは描写の端々が怪談めいているのに『怨毒草紙』のときのような怖さは全くない。
シリーズのクライマックスということもあって、春奈(= サニワ)の目を通して過去の因縁の描写や記憶(『鬼の首』、『憑き御料』、『魍魎桜』、『堕天使堂』)も各所で細かく描かれる。
謎解きの部分はこのシリーズには珍しく、大きな裏がある展開。
仙龍の言葉で「次々に明らかになる情報のつながりはミスリードである可能性」が示唆されていたが、春奈のサニワまで含めて金屋子神の企みの内だったとは・・。
今回の敵は金屋子神のミスリードもあり姿がコロコロと変わる印象で、なかなか正体が掴めない。蠱峯神の文字や被害者の様子から最初は蟲の怪異と思われたが、穴だらけの状態は『鉧』であり金屋子神の仕業だと明らかになる。この金屋子神は飛龍と混ざり合って蠱峯神となっていると思わせて、実際は朽ちることもできず苛まれる飛龍とそれにとり憑きながら根無草で弱っていく金屋子神という構図のままであり、蠱峯神として祀られる事で本当に合わさり二神一体の神となる事を目論んでいた。邪な者を呪い殺すのも金屋子神がその悪意を吸って力を蓄えるためであり、ずっと封印だと思われていた屋根裏の鏡も産床という忌まわしさだ。
本作では、浄化が段取り通りにいかないのも特徴的だった。
これまでの作品は浄化を段取りすればあとは粛々と進み、仙龍らが頼もしく安心して見ていられたが、本作は隠温羅流の呪いを解くという大仕事で一筋縄ではいかずハラハラとさせられた。
終盤まで登場せず、現れないのかと思っていた昇龍だが、一番良いところで登場する。
絶体絶命の仙龍を前になすすべがなく絶叫する春奈。その肩に手をかけて登場する謎の導師、というのが実にかっこいい。彼が息子を支えた(これは春菜が棟梁に語った『導師を引き込む鎖を奈落の底から支えてやれば・・』を行っているようにも見えた)のを皮切りに先人達がワッと現れ現役の者達と共に家を曳く。その大舞台で音頭を取って皆を仕切るのは彼此の要となった棟梁である。隠温羅流の総力をもって一族、縁者にかけられた呪いを解く様は物語のクライマックスにふさわしい盛り上がりだった。
先人達の引き際もこのシリーズらしいものだと思った。隠温羅流最大の浄化であっても、コトが終わると跡形も無く消え去っている。宿願を遂げた棟梁ですらなんらの余韻も残さず、昇龍が仙龍と言葉を交わすこともついに無かった。思いを遂げた彼岸の者は此岸にグズグズと居残ったりはしないということだろうか。
エピローグはいつもの通りサラリとしたハッピーエンドになっている。
そこは今を生きる者達の物語で、今とこの先の未来を見ている。しかし、過去の者達は忘れられたわけではなく、写真や各人の胸の中で見守っている。という終わり。
「流派にかけられた因縁を断ち切ってしまったが今後の浄化に影響はないのか?」とか、「導師に霊感が戻りサニワがいらなくなるのでは?」のような疑問は残るが、『導師が本当に42歳を越えられるようになっているのかはまだ分からない』と春菜が言っているように、ハッピーエンドでも万事解決ではなく、多少の疑問や問題が残っていてそれを頑張って乗り越えていこう、という終わり方はこのシリーズらしくて良いかなとも思う。
物語の終わりでページも尽きる。
本作でよろず建物因縁帳のシリーズは終わりとなるのだが、あとがきのようなものは無く、著者自身の言葉は一切無かった。作品を作っている際の裏話や着想、悩みなどを読むのは好きなので少し残念なのだが、この著者は余計な自我を出さないスタイルなのかなと思った。
Posted by ブクログ
シリーズ完結。楽しみだけど、終わるのが悲しいと思いながら夢中で読んじゃいました。
プロローグからいきなり悲しくなって、どうしようと思ったけど( ;´Д`)
蠱峯神の正体、金屋子の思惑、パグ男の変化と驚きがいっぱいありましたw最後まで面白かった!
まだまだこのシリーズが読みたいと思ってしまいます。
Posted by ブクログ
祝完結!
楽しいシリーズでした♪ 金子屋神と陰温羅流との因縁の複雑さには、凄いなぁ、よく調べてあるなぁと思いながら読んでました。(民俗学大好き)
最後のクライマックスには圧倒。
そして、次のシリーズは刑事ものにオカルトですが、『おもてうら交番』みたいな感じになるのかなぁ?
Posted by ブクログ
2022/5/6
くそう、イチャイチャしねぇのなw
最後くらいもっとイチャイチャして欲しいという私としては珍しい幕引きでした。
長いシリーズ終わってしまって寂しいけど、大事な人が死んでしまったのも悲しいけど、終わりどころはここやったかもしれんね。
パグ男まで見せ場作ってお見事でした。
返す返すも仙龍のイチャイチャは見たかったけどな!
Posted by ブクログ
遂に完結しました。前巻の棟梁の死にへこみ、最終話までまた誰かの死を見なければいけないのかと思って、ドキドキしながら読みましたが、それが杞憂に終わってよかったです。
過去の繋がりを見つけ出して、秘密を解き明かしていくところが凄い面白かったです。曳家という職業を中心に、いろいろな仕事と人との関わり方を知ったのも面白かったです。
そして、クライマックスの疾走感が良かったです。動きが目まぐるしく、視点が変わった先に見どころが準備されていて盛沢山でした。それにしても、棟梁がかっこよかったです。かっこよすぎて、完全に周りが霞んでましたが。