あらすじ
母子の壮絶なる「轍」の物語、完結。
転落事故の影響で生きる気力を失ったママを、自宅に連れ帰った静一。ママはもはや静一が誰かを認識できず、日に日に衰弱していく。そんな”解(ほど)けていく”ママを、静一はじっくり観察する。毎日、毎日。
やがて夢の中で始まったのは、静一とママの「最期の会話」。
今、彼女と僕の世界は消失し、物語は終焉する。
若く美しい母・静子から溺愛されている中学2年生の静一。
クラスの女子・吹石に淡い思いを寄せたり、従兄弟のしげると遊んだり
ごく普通の中学生として暮らしていた彼の日常は
夏休み中に両親としげる一家との登山中に起きた事故から明確に壊れ始めます。
事故当時に母が取った行動が信じられず、彼女の一挙手一投足に過敏になる静一。
静一の心境を知ってか知らずか、吹石と静一の関係の進展を露骨に阻み、抑圧する静子。
抑え込んでいた苦しみと狂気を解き放ち始めた母と、静一はどう闘っていくのでしょうか?
事故の真相が明らかになるかどうか、というサスペンス要素もあり、
とにかく緊張感がすさまじい一作です。
感情タグBEST3
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初めて一気読みしてしまった。
ただの毒親の物語ではない。
人とは 生きるとは 問いかけてくれる。
問いかけてくれるた。あまりにも描写がリアルすぎて吐き気がしてしまったが、この本を読めたことを本当に誇りに思うよ。
Posted by ブクログ
完結。
自己を形成する最も大切な時期、そして多感な思春期にこの毒親が繰り出す出来事。全てが精神を抉るほどのものでした。
確かに清子は静一を愛していた、けれど歪み切った愛情でした。もしかしたら、無意識のうちに過干渉、過保護になっていて毒親に化している、なんてこともあるのかもしれません。親として子を愛すること、自分の分身ではなく1人の人間として育てることって当たり前のようで当たり前には出来ない難題なのではと思います。度が過ぎてしまったり、はたまた足らなかったり、丁度いいが1番難しい。いずれ母親になった時にまた読み返したいと思う作品でした。
押見先生の臨場感があり表情ひとつで感情が伝わる画力が素晴らしかったです。
Posted by ブクログ
感想として言葉を選ばずに言えば
押見さんの作品の中で1番好きな漫画だった
面白かった
いや、面白かったという表現に語弊が生まれそうなほど内容は酷ではあるのですが、面白すぎて息をするのも忘れて読み進めあっという間に見終わりました
押見さんの描く毒親は、誰よりも毒親でどうしようもなくて、でもやっぱりほっとけなくて
脆くて、くるしい。
Posted by ブクログ
遂に完結編まで完読してしまいました。
前回は10巻まで読みましたが、
今回はオサライもあって4~17巻まで一気読み。
そして「そうか~そういう終わり方か~」と少しモヤモヤが晴れた。
若い頃は、私の周りにも「親が嫌い」とか「親なんて」という友人が
何人も居たけれど、歳を重ねると親の介護や後を継ぐとか、
若い頃と違い、現実的に家族の事を考えたり行動するように変化して来ました
静一もママに支配されていた青年時代を過ぎ、
何とか社会に交わり、そして看取り(見る)の時期に差し掛かる。
『精神的に辛い作品』の評価を沢山読んだけれど、
主人公である静一が人間的な最後で良かったと思っている。
どんな酷い親でも親は親なのである。
静一のお父さんが亡くなる時は涙も出た。
ママが逝ってしまう時にも静一にとっては、
優しく美しいママのままの思い出なんだろう。
そして、看取り(見取り)って大切な事なんだと思った。
実の両親共々看取れなかった私の想い。
Posted by ブクログ
表現がリアル
歪んだ愛情ではあったが確かに愛されていた
最後主人公が自分の人生を穏やかに過ごせていたのがせめてもの救いだった
しげるが夜中に来たのはホラーだったし行動も意味不明だったのはなぜなんだろう
突き落として捕まる描写で必要だったのかもしれないが行動は理解できなかった
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作者の心の傷を抉り出して描かれた作品でした。
読む方の気持ちも抉られるので読むのに覚悟が要ります。
エンタメとしては楽しめないけど、読者に何らかの爪痕を残すアートな作品だったと思います。
Posted by ブクログ
凄まじい親子の情!旅の終わり!
母親を婉曲的に殺す事によって、主人公の呪いは解除された。が、全ての感情も同時に失われたかの様でもある。最終話の静一、老人に見えて実はまだ40代くらいなんじゃないだろうか?と邪推してしまうなー。
これを描かずにはいられなかった。とゆう押見修造センセの執念。後半にかけて筆致にも想いが載りまくってて凄まじい。全巻イッキに読んでしまった。
匿名
変な感想かもしれませんが、読んでる最中は作品全体に作者らしいな、という思いがいつもありました。あとがきを読むと、いろいろな憶測をしてしまいますが、私個人としては、自身の中にいる「愛されたかった何者か」によく似た人はこの世にたくさんいるんだろうな、そういう物語なんだろうな、と。勝手な思いを重ねつつ読みました。
親に愛情を求める気持ち、諦める気持ち、恨む気持ち、いっそ死んでくれという悲しみ、苦しみ。そういうものを持つ子ども。
事件が起こったり、追い込まれて病気になったり。そういうものが物語にはありますが、表面化していないだけで、世の中のみんなが意外に持ってるもんだと思います。
2023年4月。こども家庭庁ができました。
子育てを楽しく幸せなものだと感じられる社会を目指しているそうです。そうなると良いなと思います。本当に。
Posted by ブクログ
作者が勇気を出して、世に残したいという作品はそうしてあげたい。
フィクションとノンフィクションが入り混じる本作だと思うが、作者が伝えたい想いは、表現できていると思います。
気持ちは、ズーンと落ちることが多いですが、実際の社会も同じじゃないのかな。
Posted by ブクログ
終わり。
毎巻読み終えるたびに息が細くなっていたので、深呼吸をしなければならなかった。
このような作品を世に存在させてくれた押見先生に感謝です。
完結
母子の物語、完結。
他の作品からの影響は感じられるが、類を見ない作品だと思った。
最終巻も大コマが多くてあっという間に読めてしまうものの、
深い内省によってその後の静一の人生が穏やかであったのなら。
作者のあとがき、どこまでリアルが含まれていたのかと考えさせられてしまう。
お疲れ様でした。
静一と母静子の壮絶な物語がついに完結しました。正直途中苦しくて読むのを止めようと思ったこともありましたが、押見先生が命を削って描き上げている作品なので最後まで向き合おうと思いました。毎回あとがきを読む度に先生のことが心配になりましたが、完結を向かえることができて本当によかったです。静一がこれから心穏やかに自分のために生きていけますように。
147話が印象的でした。
匿名
ずっと読み続けていくと思う
兵士は死ぬときみんな「お母さん」と言うそうだけど、このことはすごく恐ろしいと思う。
痛みをともなう表現だけが真実と言わないが、この作品は異様に美しくて、耐えがたく醜くて、どんなに疲れていても感情が新鮮に揺さぶられる。
ずっと読み続けていくと思う。
Posted by ブクログ
ーー人はなぜ、子を欲するのだろうか。
これは私自身、常々答を探っている問いでもある。
そして現時点での答も、一応持ってはいる。
それは、「自らの内から生まれる命と会ってみたい」。
エゴ以外の何物でもない、何とも自分勝手な欲望だ。
そして、自分のために子を欲する、という点で、
これは静子と共通している。
だから私は、この作品を読んで、他人事でなく恐怖した。
「私も静子と同じようになるのではないか?」と。
自分が救われる為に、静一を欲した静子。
自分が受け取れなかった愛を静一に注ぐことで、
自分の穴を埋めようとした静子。
けれど、それでは埋めることができなかった。
なぜ?
自らの救いを、幸せを、
他人に託すこと自体が間違ってるのではないか。
きっと彼女は、他人から注がれる愛によって、
自らを満たそうとした。
自分で自分を満たすことは、彼女には出来なかった。
だから静一にとっての幸せも、
他人からの愛(特に両親からの愛)で満たされることだと考えていた。
静一を捨てて、ほんとうの自分の人生が始まると、
顔を輝かせていた静子。
けれどやはり、彼女はきっと、ひとりでは生きてゆけなかった。
一方で静一は、自分で自分を満たすこと(それは主に読書によって)が徐々に出来るようになったのだと思う。
これは、ほんとうの意味で生きるよろこびか?
人はほんとうにひとりで生きていくことが出来るだろうか?
人との繋がりが、社会との繋がりが、ない状態で生きることは出来るだろうか?
他人のために生きることをほんとうの意味とした時に、人ははじめて真に生きるよろこびを感じることが出来るのではないか?
これらの問いもまた、この作品に関係なく、
私が自分自身に常に問うていることである。
彼女を救うことは、誰にも出来なかったのだろうか。
Posted by ブクログ
ついに終わってしまいましたか…惰性で(!)読んできた漫画とは言え、こうして終わってしまうとなんだか寂しいような…感慨深いような…何とも言えない気持ちになりますねぇ…社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
割とあっけなく終わったというか、主人公が大人になってからの話も書くとはまさか思いもしませんでしたので、まあ、このような結末もあり得る? かな、とは思いますが…社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
にしても、この作品は相変わらず文字数が激烈に少なく…そのため一瞬で読めてしまいますねぇ…いいのか悪いのか…まあ、面白かったからいいんですけれどもね…。
この作品は押見先生の実体験が入っているのか!? そんなことを匂わす"あとがき"でしたねぇ…。
さようなら…。
ヽ(・ω・)/ズコー