あらすじ
皇帝・珀陽に文官の高みを目指す宣言をした茉莉花。その意を受け珀陽が命じた先は――皇帝位を巡る内乱の危険性をいまだに残す【赤奏国】だった! 国の建て直し と敵軍との「和平交渉」を任された茉莉花は……!?
【電子特別試し読み】「紅茶執事のお嬢様 恋がはじまる一杯目」収録
中華風の架空の世界が舞台。
自称「ちょっと物覚えがいい」後宮女官の茉莉花が、皇帝の珀陽にその才能を見いだされ、官吏として成長していくお話です。
この茉莉花の「ちょっと物覚えがいい」というのは、「一度見たものは忘れない」というすごい能力なのですが、そこで簡単に「天才のサクセスストーリー」へとは繋がらないのがこのお話の面白いところ。
珀陽からは理不尽とも思える難題を与えられ、若い女だからと周囲から舐められるのは普通で、うまくいかないことの方が多いかもしれません。
しかし、だからこそ、そんな逆境の中で徐々に才能を開花させ、最終的には周囲が期待した以上の功績をあげていくところは毎回、痛快ですっきりします。
また、皇帝としては完璧な珀陽が、茉莉花と二人きりの時には素の顔を見せたり、茉莉花もそんな「特別扱い」にドキドキしたりと、この二人の恋の行方も見どころです。
※同著者の『十三歳の誕生日、皇后になりました。』シリーズは本作のスピンオフ作品となります。
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赤奏国編
ますます茉莉花のチートっぷりの際立つ巻ですね。
私は好きです。
冷静に考えるとこんな展開ありえなくない?とは思うのですが、読んでいる時はワクワクして続きが読みたくなりました。
赤奏国という、いわば荒れ地も荒れ地。そんなところにいくら天才とはいえ小娘一人行ったところで、なはずなのに、まぁ、すごいですね。
海成という新しいキャラが出てくるのですが、そのキャラもまたいい。男版茉莉花という位置付けなだけあって能力は高いのですが、茉莉花のチートっぷりといったら…。
でも、もちろん、茉莉花一人の力では無し得なかったことと感じさせる話運びです。
珀陽と離れてしまってどうなることかと思いましたが、なんてことない。全体的にとてもワクワク楽しめました。
むしろ今までで一番。
ただし、全然違う話が最後に入ってます。
茉莉花官吏伝で余韻に浸りたいのに、違う話が入っているのは個人的には残念でした。
しかも、完結ものでは無さそうですし。
ページの都合上仕方なかったのかもですが。。
ともあれ、赤奏国編は次の巻まで続きますが、赤奏国での茉莉花をもっと読みたかったので嬉しいです。
茉莉花の成長が素晴らしい
赤の皇帝の元に1人で派遣された茉莉花ですが、他国の皇宮で勝手もわからないまま官吏のまとめや指導を任せられるという無茶振りに応えます。
16歳の新米官吏になんて重いものを負わせるのかと驚きますが、茉莉花の控え目ながらもずば抜けた記憶力と気遣い溢れる差配で何とか乗り切ります。
他国の内線を起こさせないために命をかける強さを持つ主人公が格好良かったです。