天才と、天才のまわりの人たちの話。作品とは何の関係もないですが、大ファンだった芸術家の方と一緒に仕事をした際、その性格の破天荒さに、「この破天荒さだからこの芸術を生み出せるのか」と、ファンとして一定の距離を置くことの大切さを実感したことがあったな、というのを思い出す作品でした。周りに影響されない自分の世界を持ち続けていられることが、人とは圧倒的に違う芸術を生み出せる理由なのでしょうね。
というわけで、主人公は集団生活的にはかなり問題のある高校1年生の女の子・響。彼女が出版社に新人賞応募原稿を送るところから始まる、学園生活と出版業界のお話です。ぶっ飛んだ天才少女が世間とつながっていられるのは、いつも傍にいてくれる幼馴染の男の子の存在がとても大きくて、彼が響を理解してフォローを欠かさないでいてくれるから、この全体の関係性が成り立っているんだな~というところにも注目して読むと、私はなんだか世界っていろんなバランスでできていて、面白いなと思うのでした。
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天才に出会った凡人たちの話
主人公とは得てして特別なものであり、特別なものであるということはつまり他とはありとあらゆる扱いで一線を画すということである。
それは、言ってしまえば主人公が「唯一作品の外にいる」としてもいいということである。
この漫画は鮎喰響の物語ではなく、鮎喰響の周りの人物の物語だ。
読者は響ではなくその周りに共感を覚え、胸を痛みつけられるだろう。それがはっきりとわかってくるのがこの巻からだと思う。
だから、響の小説の凄さが全くわからなくても響の暴力性に嫌気が差しても、極端に言えばそんなものは関係ないのである。
鮎喰響は主人公であり普通の主人公ではないということを念頭に置いて読めば、それなりに面白い漫画だと思う。
Posted by ブクログ
【あらすじ】
響が新人賞に投稿した小説は、それを読んだ審査員の人生観を変えてゆく。その圧倒的な才能に惚れ込んだ文芸編集者の花井は、編集部で、響とはじめて打ち合わせをする。響のことなら、なんでも知りたい花井。しかし天才少女は、自分の尺度と現実とのギャップを埋められず、発する言葉も行動も
予測が不能。響の目にこの世の中は一体どう映っているのか。花井は響に当惑するほどに、響とは何かをますます知りたくなる。
【感想】