あらすじ
教会暦526年――。世界には魔女がいて『魔術』が普及していた。そして、世界はまだ『魔法』を知らなかった。そんな時代、人々に”獣堕ち”と蔑まれる半獣半人の傭兵がいた。日々、魔女にその首を狙われ、人間になることを夢見る彼だったが、ある日森で出会った美しき魔女がその運命を変える。 「――戻りたいのか? 人間に。だったら傭兵、我輩の護衛になってくれ」 ゼロと名乗る魔女は、使いかた次第で世界を滅ぼす可能性すらある魔法書【ゼロの書】を何者かに盗まれ、それを探す旅の途中だという。傭兵は、ゼロの力で人間にしてもらうことを条件に、大っ嫌いな魔女の護衛役を引き受けるのだった……。2人は【ゼロの書】のカギを握る魔術師 “十三番”を追って王都を目指すのだが――!? 禁断の魔法書をめぐって絡み合うそれぞれの思惑! 気高き魔女と心優しき獣人による極上ファンタジー登場!!
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[再読] 2017年アニメ化作品、2014年の出版作品をアニメ視聴後に読了。
この巻でアニメ化範囲を網羅しているけど、その後に11巻まで続いた事で興味はあったが、何となく永らく積読状態だった本作。
獣堕ちの傭兵と泥闇の魔女ゼロとの掛け合いが、互い語調は平坦な中に感情の込められた趣き深い本作。
あとがきで著者が書かれているとおり典型的ファンタジーの皮を被った本巻ですが、それだけに初巻でシッカリ完結している本作がどう続くのか、完結後の続編まで刊行されている中、今更ながら読み始めたいと思う。
Posted by ブクログ
シリーズ一巻目になります。
魔法を発明したゼロという少女が書いた本が何者かによって盗まれてしまいます。
ゼロが穴蔵から初めて外の世界へ出て、先に本を探しに行った相棒の13番という魔法使いの行方を追う話です。
魔法が当たり前にある世界感がとても丁寧に描かれていて、面白かったです。
ゼロの旅の仲間になる人々もとても味があり、その人たちだけでも充分に面白い話がたくさんでてきます。
本作だけでも奇麗に物語は終わっていますが、とても面白いのでゼロをはじめ他のキャラクター達のお話も読んでみたいと強く思いました。
是非、次巻が読みたいです。
Posted by ブクログ
ある異世界で魔術の世界に静かな革命が起きようとしている。そんな時、魔術師と一人の傭兵がであって……という話。主人公とヒロインの関係性が、主人公とヒロインの個性とうまく重ならないようマッチングしてありました(合ってるのか合ってないのかどっちだ)。厭世家をきどっていて人情味ある主人公がよかった。意表をつく、いい意味で読者の期待を裏切ってくれる箇所が多々あり、また悪役にも共感できる余地がきちんと作られているあたりとても良作になっています。
Posted by ブクログ
電撃小説大賞作品。
『すごく王道な作品』というのが率直な感想…でもそこがいい!世界観もわかりやすく、サクッと読める。獣人が主人公というのも新鮮だ。
Posted by ブクログ
一応バトルものなのだがキャラ立てが『狼と香辛料』とかそっちふうでちぐはぐ
もっと主人公とヒロインが最強最高でなければならないのだが
そういう組み合わせが個性なのかもしれないが
先人がしていないのは思いつかなかったからではなく
したけど失敗して埋もれたからだと思うがどうか
そのちぐはぐさを除けば全体に良くできてるだけに残念
内容には関係ないがヒロインが「美女」には見えないけれど
イラストレーターに描けないとは思えないので
編集の要望なのだろうか(陸奥でなく島風にしろという)
美女と野獣なファンタジー
主人公が獣人です。
それもネコ耳とかそんなレベルでなくまるっきり二足歩行する獣です、見た目は。
この1巻の表紙には出ていませんが2巻の表紙で座られてるのが主人公ですね。
仲間やヒロインが獣人というのは多々ありますが主人公がとは珍しい。
物語は魔法/魔術を題材にしたファンタジーで、軽くミステリー的な要素が入ってます。
序盤に事件が発生して、旅を進めるうちに少しずつ事実が明らかになっていって、最後に犯人というか黒幕的な人物と対決、と。
あまり戦闘には重点がおかれておらず、どちらかと言えば人との繋がりや説得など頭を使う方で解決を目指します。
ただ3巻まで読みましたが総じて黒幕が甘いというか、終盤でペラペラ喋り出しちゃうのでクライマックスの盛り上がりがイマイチなところがあります。
とはいえ文章は丁寧に書かれているので読みやすく、容易に情景に思い浮かべながら読み進められます。
私は十分に面白いと感じました。
表紙に出ているヒロインのゼロは保護欲的な意味で可愛いです。
文中では絶世の美女とされていますがイラストも相まってあまりそういった感じはしません笑
主人公への懐き方も恋愛というより大きな保護者に甘える感じで微笑ましいです。
美女と野獣な組み合わせが好きな人にはおすすめです。
Posted by ブクログ
とても丁寧で、キャラクターそれぞれに生き様と人間味を持ったお話で楽しめた。
惜しむらくは終盤の駆け足感。分厚くなっても、もっとゆっくりじっくりとした展開で読んでみたかったかも。
Posted by ブクログ
いやー、期待通りに面白い秀作でしたね。
素晴らしい。
舞台は魔術が存在する上で、魔女狩りが存在する異世界。
そして魔女の標的にされやすい"獣堕ち"という体質の獣人主人公と、
長年穴倉の中で過ごしていた究極の魔女が出会い、物語が始まります。
設定の下地と物語の展開が綺麗にマッチしてて、
スッキリ読みやすい王道ファンタジー。
ちょっと伏線があからさま過ぎるきらいはありますが
逆にキッチリ理屈が考えられてるところが個人的には高評価です。
そして何よりキャラがすごくいい感じなんですよね。
中毒性の強い萌えキャラなどではありませんが、
世間からズレてるわりに聡く人情味のあるヒロインとか、
獣人として若干卑屈ながらもなんだかんだ優しい主人公とか。
会話の絡みも面白いし、説明セリフもくどくなくて読みやすい。
もし続きが出るならすげえ読みたい。
まだまだ出せるポテンシャルは持ってると思う。
詠み月の魔女と後天性ライカンスロープの話とか、
ゼロのお師匠さまの話とか、
話広がりそうだよなー。
とにかく、大賞に相応しい作品でした。
次回作も期待させていただきます。
Posted by ブクログ
著者のデビュー作。あとがきにも書いてある通り、王道のファンタジーである。
全体的にややのんびりとした空気は感じるが、魔法や武器を使って戦う場面などはそれなり燃えるし、主要キャラクターがみんな「いいやつ」であり、とても魅力的に描かれている。主人公が獣の姿をした獣人であるのも特徴的で、その身体能力を生かした行動や戦闘も見どころである。
個人的には可もなく不可もなくといった印象だったが、硬派な文体と王道なファンタジーで、かなり優等生的な安心感のある作品だと言える。
Posted by ブクログ
世界には魔術が存在していた。そして魔法は知らなかった。
そんな時代、半人半獣の傭兵とゼロと名乗る魔女が、出会い、魔法の書を廻って…。
第20回電撃小説大賞「大賞」作品。
一言で感想をまとめると好みじゃない。
ファンタジーって世界観が重要だと思ってるんだけど、あんまり入ってこなかったし、登場人物も好きになれなかった。
展開的には王道でいいとは思うんだけど、入り込めない分グッとこなかった。
ってかさ、主人公の名前を書かないってファンタジーでは致命傷な気がするんだけど…。
Posted by ブクログ
“獣堕ち”ーーー獣姿の容姿のせいで人から恐れられ、常に魔女に命を狙われてきた主人公。
平凡で平和な生活を望みながらも、傭兵として生きるしかないと諦観した彼が出会った不審な旅人は、主人公が嫌悪する”魔女”そのものだった。
警戒する主人公に「ゼロの書」なる魔法の書を取り戻すために護衛をしてくれたら普通の人間に戻してやると魔女は契約を持ちかけ…普通の人とは大きくズレた二人の旅が始まった。
◆魔術と魔法、それぞれを異なる概念として丹念に設定が作られ、それが物語と上手く融合しているのが見事。
その為の説明がものすごく多いですが、飽きないように工夫されています。でもやっぱりちょっと多すぎかも。
伏線も随所にちりばめられ、回収も丁寧です。
どのキャラクターもイキイキとして会話が楽しく、特にメイン二人の掛け合いがとても微笑ましかったです。
獣人という見た目に反して小心者な主人公も良い意味で人間臭く、魅力的でした。
惜しむらくは表紙からだと本編の内容を伺いしれない所でしょうか…
人じゃないものとか、人じゃないものと人間のロマンスとか、そういうものが好きな方にすごくオススメです。