【感想・ネタバレ】クジラの子らは砂上に歌う 2のレビュー

あらすじ

砂の海を漂う巨大な漂泊船“泥クジラ”の子どもたちは外の世界に憧れていた。記録係の少年チャクロは無邪気な好奇心から。問題児グループ“体内モグラ”のリーダー・オウニは焦りから。たった30年という命を宿命付けられたこの世界で、彼らはそれでも希望を探していた。やがて砂海の果てから、災厄がやってくるとも知らずに――。「この島が、私たちの大事な世界のすべてだった」

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果てない砂の海を漂流する漂泊船「泥クジラ」。チャクロはその泥クジラの「記録係」であった。
泥クジラの住人の多くが、情念動(サイミア)と呼ばれる不思議な力を使い、そして彼らは短命であるという。
若い仲間の死に何度も傷つきながら、それでも彼らは穏やかで平和に暮らしていた。
しかし、ある日廃墟船に偵察に赴いたチャクロは、衰弱した少女・リコスに出会い、それにより状況は一変する。
泥クジラ以外の世界、そこに住まう人間を見たことがない住人たち。そんな彼らにとって残酷な真実を知るリコス。
外の世界はどうなっているのか、住人の祖先たちはなぜ泥クジラで生活していたのか、そもそも泥クジラとは一体なんなのか…。
すべての謎が明かされ、自分たちが短命である理由を知った住人たちは、新天地を目指し泥クジラの舵を取るのだった。

このお話はタイトル通り、「クジラの子」、すなわち泥クジラで生きる子どもたちを描いています。
「泥クジラ」という聞きなれない場所に住んでいることで、どこか遠いところの話に聞こえますが、彼らは楽しいも悲しいも感じる、感情を持った普通の人間でした。
というのも、外の世界には感情を持たない人間がいたからです。リコスもまたその1人でした。
そんな彼女ですが、チャクロやその仲間と過ごすうちに、自分の感情を取り戻していきます。
そしてクジラの子たちを助けたい、彼らと生きたい、そう願うようになるのです。
しかしそれは決して簡単な道ではなく、何度もクジラの子たちは絶望し、立ち尽くすのでした。

残酷な真実ばかりの世界で、悲しみがあふれる世界で、それでも人間は感情を持つのが正しいのでしょうか。
チャクロは言います。「痛みや苦しみすべてが俺たちの生きてきた記録だ」と。そしてだからこそ忘れることはできないと。
仕事や人間関係で嫌なことがあったとき、悲しくて泣きたいと思ったとき、何度でも読み返したくなる1冊です。

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感情タグBEST3

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過去の罪人と、船の動力の謎。

祖先の罪は、後世まで償わなければいけないのかな。意見は、人それぞれだろうな。
泥クジラには、良い子達が沢山いるから、罪を負う必要はあるのかな。

泥クジラの心臓部に、驚いた。動力が恐い。

#切ない #ドキドキハラハラ #ダーク

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2024年03月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

悲惨な戦闘が続きます。リコスが、実は敵?側の人間だったとは。
サミがかわいそうでかわいそうで…。
砂葬で普段は感情を隠すみんなが涙を流していたのが印象的でした。泥クジラの秘密、世界の秘密が知りたいです。続きが気になります。

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2015年06月17日

Posted by ブクログ

なんて哀しいことばかりの物語だろう。感傷的だけど同時に(砂クジラの住人の視点では)恐怖と滅びがすごい速度で迫り寄るパニックホラー。その中での生へのあらがいが胸を打つ。あとギンシュお姉さまは自分に正直すぎてとても良いと思います。

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2014年05月27日

Posted by ブクログ

突如として泥クジラを襲撃してきたピエロマスクの集団。殺される理由も分からないまま終わりを迎えようとする泥クジラの人々。そんな中チャクロは決断する時を迎えようとするしていた。
1巻で衝撃的なラストを迎え、2巻冒頭はあえてチャクロでなく他の主要キャラに焦点を当てるのが上手い。そして、チャクロが何があっても記録を取り続けたように、敵の総指揮官オルカも記録を取ることに重きをおいている。1巻冒頭のチャクロと2巻冒頭のオルカ、主人公と敵がリンクしているのも伏線が張られていて上手い。さらに言うと泥クジラに起こきることは残酷で悲しいことばかりだ。事情を知るものは諦め、事情を知らぬものは戦う。一体、何が死を受け入れるまでの罪なのかがこれから少しずつ分かるだろうが、ここで1巻の泥クジラの年号が砂刑歴というのが効いてくるのも上手い。
とにかく1巻で想像力と創造力がすごいと思ったが、もはや化け物レベルだと感じる。話の設定ももちろんだが、キャラの設定も魅力的で記録者チャクロ、仲介役スオウ、守護者オウニ、来訪者リコス、この4人がメインだと理解できた。

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2022年07月31日

無料版購入済み

オウニの生き方が本当に切ないです。本当に不器用すぎで優しすぎる。サミのこと切ないです。リコスとチャクロが恋愛関係になるの応援できそうにないなあ。

#泣ける #切ない

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2022年09月28日

Posted by ブクログ

 二巻では、自分たちで幕引きを図ろうとしている長老会と、チャクロを中心としたそれに反対する勢力のせめぎ合いが展開されている。
 この世界の秘密が少しずつ詳らかにされているのだが、実はただ触れているだけで、その内実は明らかになっていないものが多い。これから披露されていくのだろうが、少しじれったいところではある。
 繊細なタッチで描かれる世界はどこに向かっているのか、まだまだ予断を許さない内容である。

 今回もまた星四つ半相当と評価して様子を見たい。それにしても、後書きの質の高さは異常だ。詩はご自分で書かれたのか、はたまた本当に元ネタがあるのか。どちらにせよ、世界への付け足しとして素晴らしく機能している。

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2015年07月31日

Posted by ブクログ

どんな理由があるにしろ、泥のクジラでささやかに暮らしている人々を虫けらのように扱い、殺すなんて許せない
彼らがいちばん人間らしい生活をしてるはずなのに。
しかし、チャクロもやっぱりすごい能力の持ち主なんですね。
そして、この作者の想像力の豊かさはすごい。
またそれを表現できる画力もすばらしい。
そして、物語はいよいよ動き出した感じですね。
面白くなってきました。

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2014年12月07日

ネタバレ 無料版購入済み

敵襲とか

長老陣は一定、自分たちの事情を知っていたようですが、何でも自分たちだけで決めようとするのが、ちょっと老人支配のダメな政治っぽいです。どうやら流刑にあっているらしい、とは示唆されていますが。
砂に沈めようとする長老陣と、それに対抗しようとしている勢力と。7日後に本格的な敵襲も見込まれていて、リコスさんとま、どうなるのでしょうか。
やはり電子版ならカラーページはそのまま収録して欲しいです。

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2023年07月26日

Posted by ブクログ

2巻はなかなかに衝撃的な展開。けっこうビックリした。このマンガは書き込みがけっこう丁寧にあるので、読むのにちょっとパワーがいるかな。まだ世界観にハマる感じではないけれど、面白くなってきた。

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2016年11月01日

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