【感想・ネタバレ】クジラの子らは砂上に歌う 4のレビュー

あらすじ

【BookLive!限定特典/梅田阿比先生描きおろしペーパーを収録!】こどもたちの戦争は佳境へ……。砂嵐の中で次々と倒れる“泥クジラ”の仲間たち。希望を、覚悟を、約束を、胸に抱いたまま散り果ててゆく。そんな悲しき戦場の片隅で、いま二つの“狂気”が相見えようとしていた。

...続きを読む

果てない砂の海を漂流する漂泊船「泥クジラ」。チャクロはその泥クジラの「記録係」であった。
泥クジラの住人の多くが、情念動(サイミア)と呼ばれる不思議な力を使い、そして彼らは短命であるという。
若い仲間の死に何度も傷つきながら、それでも彼らは穏やかで平和に暮らしていた。
しかし、ある日廃墟船に偵察に赴いたチャクロは、衰弱した少女・リコスに出会い、それにより状況は一変する。
泥クジラ以外の世界、そこに住まう人間を見たことがない住人たち。そんな彼らにとって残酷な真実を知るリコス。
外の世界はどうなっているのか、住人の祖先たちはなぜ泥クジラで生活していたのか、そもそも泥クジラとは一体なんなのか…。
すべての謎が明かされ、自分たちが短命である理由を知った住人たちは、新天地を目指し泥クジラの舵を取るのだった。

このお話はタイトル通り、「クジラの子」、すなわち泥クジラで生きる子どもたちを描いています。
「泥クジラ」という聞きなれない場所に住んでいることで、どこか遠いところの話に聞こえますが、彼らは楽しいも悲しいも感じる、感情を持った普通の人間でした。
というのも、外の世界には感情を持たない人間がいたからです。リコスもまたその1人でした。
そんな彼女ですが、チャクロやその仲間と過ごすうちに、自分の感情を取り戻していきます。
そしてクジラの子たちを助けたい、彼らと生きたい、そう願うようになるのです。
しかしそれは決して簡単な道ではなく、何度もクジラの子たちは絶望し、立ち尽くすのでした。

残酷な真実ばかりの世界で、悲しみがあふれる世界で、それでも人間は感情を持つのが正しいのでしょうか。
チャクロは言います。「痛みや苦しみすべてが俺たちの生きてきた記録だ」と。そしてだからこそ忘れることはできないと。
仕事や人間関係で嫌なことがあったとき、悲しくて泣きたいと思ったとき、何度でも読み返したくなる1冊です。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

 戦争絵巻に終止符が打たれる四巻である。何も解決していないが、事態だけは終結した、といったところだろうか。
 これでようやく序章が終了し、物語は大きな流れへと移っていくのではないかと思われるのだが、ここまでで出てきた世界観ではやはり不足が多い。謎が多すぎるというのが個人的な感想である。
 ただ、やはりそれでも、魅力的な世界・ストーリーを紡いでいるとしか言いようがない。ギンシュのような、さりげなく描きながらもとても良いキャラが活躍していて、何人もの喪失を描きながら明るさを失わない。それこそが哀しくもあるが、物語としての深みはだいぶ出ているだろう。

 星五つと評価した。これでこのマンガがすごい!の10位だというのだから、知らない名作の多さが想像されるところである。少女漫画ももっと読んでみたいところだ。

0
2015年07月31日

Posted by ブクログ

決戦の高揚、リョダリの苦痛、オウニが浴びた言葉の悲惨、ニビの最期、送葬歌の美しさ。たまらなく叙情的でいて本格派戦争ファンタジー。たった1話でリョダリを嫌な奴からもっと先を見せてほしいキャラクターに変える手際。哀しいことばかりの話なのに、まだしばらく読んでいられそうなことが嬉しい。

0
2015年04月15日

ネタバレ 無料版購入済み

犠牲者少なからず

突撃隊に助っ人したオウニ、本来は力が封印される区域でも戦闘力を発揮して、相手に船の心臓部を打ち破り、なんとか来襲した敵の船を撃沈させるのに成功しました。
ただ、新たな長となっているスオウはこれ以上、無益な戦いで犠牲者は増やすまい、と誓っていて、やはりそうするしかなさそうです。
謎も多く、多分もっと精読しないと作品世界、読み解けなさそうです。戦闘下なので敵味方問わず、埋葬者がかなり出ていました。
で、最後にまた新たな船も。

0
2023年07月26日

Posted by ブクログ

長老会を説得し泥クジラを沈めることを止めたチャクロたち。だが、敵艦スキロスからの攻撃は始まろうとしていた。泥クジラの住民は戦うことを決意し、突撃隊は敵母艦を沈める作戦を決行する。
相変わらず容赦なく泥クジラのメンバーが死んでいく。おそらくチャクロ、スオウ、オウニ、リコス、この4人以外はいつ死んでもおかしくないと改めて感じた。
基本泥クジラの人々は良い人ばかりでそんな世界あるのかと思うが、唯一の協調性ゼロなのが自警団団長とその母親のラシャ。泥クジラや世界の謎を知ってる感+秘密を知ってる上から目線で基本無気力。特別感を出しているが、あの世界の中にいるとそういう役割なのだろうが不快だ。正直特別なのはチャクロとオウニで十分だ。
少しずつ泥クジラの謎が明かされるが設定が細かく専門用語も多い上にどういうことなのか分からない場面もある。なのでついていけない人も一定数いると思う。キャラの行く末と泥クジラの謎が気になる気持ちだけでこの先読んでいけるかは謎だ。

0
2022年08月17日

Posted by ブクログ

先の見えない砂塵の中で戦うクジラの子ら。生きようと抗うことは傷つくということ。醜悪でさえある。戦場に残された屍の前で何を想うのか…?
避けられない戦争でした。惨たらしい死に哀しみながらも、自分たちは無力ではないと自覚したのではないでしょうか。"ヌースを破壊する力"がさらなる争いを生むのか、和平交渉の切り札になるのか。それは統治者の手腕によりますね。

0
2015年05月04日

Posted by ブクログ

泥クジラ防衛戦。

今まで戦いとは無縁の子どもたちが、殺し合う姿に違和感を覚える。

チャクロたちが見た、打ち上げ花火の風景。
砂の世界が、現在とどこかで繋がりを持っているのだろうか…

0
2023年04月12日

Posted by ブクログ

”印”の短命の秘密など、この世界のことが徐々にわかってきた4巻。けっこうエグい殺し合いが増えてきて、主要キャラといえども油断ならない感じ。

0
2016年11月05日

「少女マンガ」ランキング