【感想・ネタバレ】クジラの子らは砂上に歌う 3のレビュー

あらすじ

楽園の500人に、選択の時……。話題沸騰、“喪失”の砂漠戦記! 砂海の巨船“泥クジラ”に危機は迫る。奇しくも、彼らの脅威は大人たちだった。砂海の果てよりやってきた侵略者。いちはやく未来を放棄した長老会。その命令にただ従う自警団。子どもたちは選択する。それはきっと、善悪ですらなく、 彼らにとって必要であったから……。

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果てない砂の海を漂流する漂泊船「泥クジラ」。チャクロはその泥クジラの「記録係」であった。
泥クジラの住人の多くが、情念動(サイミア)と呼ばれる不思議な力を使い、そして彼らは短命であるという。
若い仲間の死に何度も傷つきながら、それでも彼らは穏やかで平和に暮らしていた。
しかし、ある日廃墟船に偵察に赴いたチャクロは、衰弱した少女・リコスに出会い、それにより状況は一変する。
泥クジラ以外の世界、そこに住まう人間を見たことがない住人たち。そんな彼らにとって残酷な真実を知るリコス。
外の世界はどうなっているのか、住人の祖先たちはなぜ泥クジラで生活していたのか、そもそも泥クジラとは一体なんなのか…。
すべての謎が明かされ、自分たちが短命である理由を知った住人たちは、新天地を目指し泥クジラの舵を取るのだった。

このお話はタイトル通り、「クジラの子」、すなわち泥クジラで生きる子どもたちを描いています。
「泥クジラ」という聞きなれない場所に住んでいることで、どこか遠いところの話に聞こえますが、彼らは楽しいも悲しいも感じる、感情を持った普通の人間でした。
というのも、外の世界には感情を持たない人間がいたからです。リコスもまたその1人でした。
そんな彼女ですが、チャクロやその仲間と過ごすうちに、自分の感情を取り戻していきます。
そしてクジラの子たちを助けたい、彼らと生きたい、そう願うようになるのです。
しかしそれは決して簡単な道ではなく、何度もクジラの子たちは絶望し、立ち尽くすのでした。

残酷な真実ばかりの世界で、悲しみがあふれる世界で、それでも人間は感情を持つのが正しいのでしょうか。
チャクロは言います。「痛みや苦しみすべてが俺たちの生きてきた記録だ」と。そしてだからこそ忘れることはできないと。
仕事や人間関係で嫌なことがあったとき、悲しくて泣きたいと思ったとき、何度でも読み返したくなる1冊です。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

一瞬一瞬がいい。どろくじらの人たちそれぞれの生き方と考え方に感じるところがある。読みながら終始渦巻くモヤモヤとしたものは、生きていく上でつきまとうものなのかもしれない。

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2017年07月30日

Posted by ブクログ

 泥クジラを救うために敵の船へと侵入したチャクロたちだったが、そこで迎えた運命は極めて残酷であり、希望は見えない。そんな最中に巻が閉じられるのは読者にとっても酷な話であっただろう。
 全面的な戦争を迎え、次々に命が喪われていく。本当に壮絶な物語だ。

 ここでは星五つと評価しておく。容赦なく描かれる物語と、その裏で描かれる後書きでの彼らの姿の対比はとても物悲しい。

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2015年08月09日

Posted by ブクログ

相変わらず壮絶で美しくて凄い。忘れられない昨日とあるかわからない明日を胸に戦いの用意をする姿は、しかしどこか祭りの準備のように楽しそうにも見え、戦いに至っても貴重な今日の一瞬が積もっていく様を噛み締めるように読んでいる。

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2014年10月01日

Posted by ブクログ

1巻~3巻をまとめ買い。

ボニータの編集長がチャンピオンから引っ張ったのだろうか。生き生きと登場人物を描いている様が美しい。装丁のKOMEWORKSさんもとても良い仕事。

注文があるとすれば、書店では平積みの緑スリップで、押しが弱め。タブロウ・ゲートと並べても遜色ない(し、食い合わないと思う)ので、営業さんには頑張って欲しいな、と。

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2014年09月21日

ネタバレ 無料版購入済み

罪の内容や戦闘や

長老陣というか、リコスの話で、泥鯨の人たちは感情を捨て去らなかったから罪人として流刑になり、といったような背景が明らかにはなってきて、スオウ君が次の長として防御と攻撃のチーム分けなどの指示を行い……相手側にも戦闘狂みたいなのもいて、やはり犠牲は出ますね。
砂だらけのイメージというと、安部公房氏の「砂の女」も連想する部分があります。
砂かけ祭りみたいな行事は楽しいのですが。

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2023年07月26日

Posted by ブクログ

アパトイアの襲撃を受け、泥クジラを砂の海に沈めると判断をした長老会。それを阻止して未来を掴みたいチャクロは元アパトイアの兵士で帝国司令官の妹だったリコスの助けを受け説得を試みる。
まだ3巻だが、毎回毎回これからどうなるの?!と衝撃を受ける展開で次に続くので作者は上手いなと思う。少しずつ明らかにされる泥クジラの秘密をじれったいと思う人もいるだろうが、設定が細かいのでとょっとずつの方が個人的には理解しやすくてありがたい。ただ、秘密が分かってもよかったね~とはならず、なんて過酷なんだと気の毒に思い、過去の泥クジラ住民が何をしたらこんなことになるんだと疑問に思う。
今回は戦うことで泥クジラを守ることと、攻めることを同時に進めていくが毎回何かを犠牲しないといけない展開が辛い。戦えないスオウが苦悩し、戦う筆頭のオウニが鼓舞し、そんな2人をチャクロが繋ぎ、リコスが知恵を与える。どうか悲しいことばかりの作戦にならないようにと願うような気持ちになった。

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2022年08月04日

無料版購入済み

絵が、なんだかナウシカの影響を受けているような気がします。もちろん、こっちの方が繊細できれいなんだけれどもね。

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2022年09月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

戦うことを決めた子供たち、戦わせることを決断した大人たち。
次々と仲間が倒れていくのは悲しいですね…
スナモドリの儀式?とか、彼ら独特の慣例が独特の世界観を作り上げてるなあといつも思います。
あとがきまんがも毎回楽しみ。

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2015年06月29日

Posted by ブクログ

穏やかな死より、抗う生を。相容れない者達が互いに殺し合う苦渋の道を選択をしたクジラの子ら。戦力差は歴然。敵船の動力部を破壊する奇襲作戦は成功するのか⁈

純朴で優しい人々が戦闘へと駆り出され、殺されていく。親しい者を失い、憎しみは募ります。どうやらクジラの子らのサイミア能力は強いらしい。彼らはどう変わっていくのか?
ここらへんに咎人として流刑になった理由があるのでしょうね。悲劇が予想されます。

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2014年10月13日

Posted by ブクログ

設定は面白い。絵も多分わるくない。でも、どうしてもハマり切れていないのは、魅力的なキャラにまだ出会えていないからなのかなー。どの子もあと少しインパクトが足りないというか、思い入れを持つに至らない。キャラ萌えでマンガ読むタイプなので、相性の問題です。

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2016年11月02日

Posted by ブクログ

砂の海をゆく船が全て。世界はそこで完結しているはずだった。知りたいと思うことは罪なのか。否、知ることが苦しみだとしても知りたいのが人なのか。

単行本じゃなくて大きな紙面で読みたい、有機的ファンタジー。ナウシカを彷彿とさせる80年代な絵で、ちょっとだけエウレカ。それが最近じゃあ新鮮ではある。1〜3をまとめ読み。

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2015年04月30日

Posted by ブクログ

いろいろ、泥のクジラの外のことが少しわかった。
そして、戦うことを決めた。
ラシャさまが言った言葉も気になる。

だけど、やっぱり殺し合いは切ないだけだ。

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2014年12月07日

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