あらすじ
過食症、ナルコレプシー、ベル麻痺――。小学校にはあなたの知らない病気で溢れている。子供たちの未来を守る最後の砦「保健室」に謎の問題医・牧野(まきの)先生がやってきた! 小学生たちの身近に潜む、名も知らぬ病気の数々――。口も態度もでかい謎のドクター・牧野先生がだれもが見落としてしまう小さな病気のサインにどこか冷めながらも(?)向き合うようですが……!?
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訳アリ校医とこどもたち
小学校を舞台にした本作。
主人公は、産休を取る養護教諭にかわって学校の保健室を預かることになった校医、牧野という男。
性格はぶっきらぼうで無愛想、口も悪い。
そんな性格なので、着任早々子供たちからも他の先生たちからもあまりいい印象を持たれなかった。
そのころ保健室のベッドで休む生徒がいた。
5-2の野咲ゆきは倒れそうなくらいの眠気に襲われることが多く、授業を聴いてられず、周りについていけないこと、友達がつくれないこと、そんな状況が親から理解されないことに嫌気がさしていた。
牧野は彼女の様子からナルコレプシーと判断する。
自分の状況がサボりやズルじゃなくちゃんとした病気だと周りから理解されたゆきは、適切な処置や対処法によって学校生活を楽しむことができたのだった。
担任や保健の先生でも見逃してしまうような病状を見逃さずに最大限学校生活を送れるように対処する牧野の今後に期待したい。
ナルコレプシー
一部ご紹介します。
・すべての神経伝達物質には「目的となるモード」がある。
それは、生物の行動という多くの神経回路が関わる現象を迅速に切り替えるための仕組み。
神経伝達物質のオレキシン・ハイポクレチンは、「覚醒」「レム睡眠」「ノンレム睡眠」を制御する、いわば指揮者の役割を果たす。
・ナルコレプシー(睡眠発作病)は、この指揮者である神経伝達物質のオレキシン・ハイポクレチンが欠乏したために起こってしまう。
そして、状態制御異常(「覚醒」しているべきときに「睡眠」が混じり、「睡眠」に「覚醒」が混じる)、
レム睡眠抑制不能(「レム睡眠」が変な時に生じる)がでる。
・状態制御異常の結果、日中の過剰な眠気、睡眠発作、睡眠の分断が起きる。
・通常ならば、眠るとき、入眠→ノンレム睡眠→90分後→レム睡眠へと移行する。
・レム睡眠とは、無防備で危険な状態だ。幻覚(夢を見る)、脱力(一時的な筋力の麻痺)、を起こしてしまう。
そのため、「覚醒」「ノンレム睡眠」という抑制があるのだ。
・感情の高ぶりが、脱力発作の引き金となる。レム睡眠の抑制が外れてしまう。その結果、一時的な筋力の麻痺、顎の筋肉の抜け(発声できない)となって現れる。
・一見すると、本人も周囲からもただの居眠りとしか見られない。
・周囲の人間が病気を知らないことで、知らず知らずのうちに当人を追い詰める。差別はすぐそこだ。
だからこそ、周りが病気を、治療を理解することが一番大切となる。
・睡眠発作は、日常の睡眠を規則正しく安定させることで軽減される。
毎日決まった時間に2回程度昼寝させれば、突然の居眠りは抑えられるだろう。
勉強になった
とても勉強になりました。こーゆーことがあるんだなあと。親でも気付かないことが多いので知識としてわかりやすく書いてあるのでとてもありがたかったです。
いいお話
保険医がぶっきらぼうだけど子どもの体調不良の原因を的確に突き止め、対処するお話。明らかに様子がおかしいのに何も対処せず怒るだけの大人の描写も昨今の日本の様子を表しているようで変な気持ちになる。が、内容自体は面白くいいお話なので、どんどん読み進められるし、この後はどうなるんだろうとドキドキできるような話の進め方になっている。