あらすじ
イノベーションと企業家精神を生み出すための原理と方法論を具体的に解説。組織に働く人たちが、イノベーションを実践するための、方針と意思決定、機会とリスク、組織と戦略、人の配置と報酬に関して、社会と企業の歴史的考察に基づいて体系化した、ドラッカーの代表作。
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Posted by ブクログ
個人的メモ。興味があるところだけ
イノベーションのための7つの機会
1.予期せぬ成功と失敗を利用する(2種類の月例会議を開き、1つは問題対応を議題とし、もう1つでは目標を上回った分野や予期せぬ市場からの受注を議題とする企業の例が紹介されている)
2.ギャップを探す
3.ニーズを見つける
4.産業構造の変化を知る
5.人口構造の変化に着目する
6.認識の変化をとらえる
7.新しい知識を活用する
イノベーションの原理(156頁)
1 機会分析(上記の7つの機会)
2 理論的な分析と同時に知覚的認識も必要(見て問い聞く)
3 To be simple and focused 単純化する、的を絞る ←凝りすぎべからず。
4 スタートは小さく、具体的に(変更がきくし、調整可能) ←多角化を狙うべからず
5 今ただちに有用であるものを狙う
既存企業
・得意分野でないと成功しない(既存の企業がイノベーションを行うことができるのは、市場や技術について卓越した能力をもつ分野である。新しいものは必ず問題に直面する。そのとき、その事業に通暁していなければならない。)
・イノベーションを育てるには、高い地位にある人に全面的な責任を負わせて新事業の核を担わせるのがよい(既存事業に関与しながら新規事業に取り組むのは無理。その上権力のある人が発言しないとうまく進まないし、中止することもできない)。能力のある人を用いるので報酬を下げると逃げられる危険があるが、報酬は下げないで報酬を動機付けに使うためには成功報酬が有効。
だが人事に特に工夫がいるわけではなく、日常のマネジメントで能力を発揮する人はイノベーションの分野でも成功する(優れたマネジメントというものは、どこへ行っても優れたマネジメントであり、企業家精神は個性の問題ではなく行動、原理、方法の問題である)
・イノベーションは既存事業と収益パターンが異なり、同じ物差しで測ることができないので、(自社と競争相手の)過去の経験からイノベーション独自の成功評価基準を用意し、これを用いてイノベーションの進捗や成果を定期的に点検する必要がある。
ベンチャー
・予期せぬ成功が成長をもたらす。思った通りの市場に思ったように受け入れられると思わないこと。
・売上げを40%~50%伸ばすごとにそれまでの資本構造では間に合わなくなり、資本構造の変更を要する→3年先を見越して最大の必要資金量を想定して計画しておくべし
・マネジメントシステムも同様に急激に陳腐化する→同様に3年先を見越して最重要項目を財務の観点から検討しておくべし(アフターサービス、未収金、在庫など。たいてい4つか5つまでで収まる)
・成長するにつれ、マネジメントは一人の手に負えなくなってくる。トップマネジメント・チームを前もって構築しておくべし。チームは信頼・理解を築き上げ機能するようになるまで3年はかかり、一朝一夕では機能しない。
・創業者は自分が貢献できる分野を探し、他は他人に任せること。外部の人間から客観的なアドバイスをもらうこと。
企業家戦略4つ
1.総力戦略
イノベーション機会についての深い分析と正しい理解、エネルギーと資源の集中、成功後の継続的な努力が欠かせない。リスクが大きく非常な困難を伴うので、大きなリターンを期待できる大きなイノベーションにしか使うべきではない。
2.ゲリラ戦略
a. 創造的模倣 市場志向で行動し、他社が生み出しながら放っておいた市場の需要を満たすことで成長する。
b. 柔道戦略 トップ企業が本気で守ろうとしない海岸の一部を確保し、そこで市場と売上げを手に入れると次を確保する。それを繰り返す(?多分。この戦略の内容についてはあまり詳しく書かれていない・・・)
3.ニッチ戦略
a. 関所戦略
b. 専門技術戦略
c. 専門市場戦略
4.顧客創造戦略
a. 効用戦略
b. 価格戦略
c. 事情戦略
d. 価値戦略
*****
内容も良かったけど、本の体裁もよかった。よくある感じの事例をふんだんに取り入れた文章なのだが、原文は事例も主張もだらっと書いてあるけど、この訳書では事例部分に上線が引かれ、一段低く書かれている。
そのため一般的な訳書にありがちな「文字がきつきつに詰まっていて息も出来ない」という見た目になっていない。
これってけっこうすごいことだと思う。
Posted by ブクログ
・様々な気質の人が企業家として成功し得るが、確実性を求める人は企業家には向かない。
・イノベーションは天才の閃きによってではなく、体系的に、計画的に行われるようになっている。
・科学的な大発明より、些細な社会的改革の方が、市場で大きな成功を収める可能性が高い。
・企業家はリスク志向ではない。むしろいかにリスクを減らすかを考える。彼らがイノベーションを行うのは、行わないことのリスクを避けるためである。
・自分の製品が想定した目的と違うことに使われていることを機会として捉えよ。