あらすじ
病院、学校、公益法人などの非営利組織をどうマネジメントするか。ミッションとリーダーシップ、マーケティング、イノベーション、資金源開拓、非営利組織の成果、ボランティアと理事会、自己開発。非営利組織にこそマネジメントの本質があり、すべての組織に示唆を与える一冊。
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Posted by ブクログ
ドラッカーの名著。
npo編。
メモ
・非営利組織はアメリカにおいて地位のコミュニティになっているということ。、さらにそれは個人が選択可能であるということ。、
・今日の非営利組織の課題
1 寄付者を参画者にすること。
2 あらゆる人に絆としてのコミュニティと目的の共有を与えること。
・重要なのはカリスマ性でなくミッション。組織のミッションを定義することがリーダーが初めに行うべきこと。
・ミッションは行動本意たるべきもの。さもなければ単なる意図に終わる。組織に働くもの全員が自らの貢献を知りうるようにするもの。
病院の場合、健康を維持するといったものでなく、患者を安心させることといったようなもの。
・非営利組織には機会、卓越性、コミットメントの三本柱が不可欠
・優れたリーダーは私を考えず、我々と考える。チームを考える。自分の仕事がチームを機能させることだということを知っている。
・リーダーの能力
人の言うことを聞く意欲能力姿勢
コミュニケーションの意志。自分の考えを理解してもらう意欲
言い訳をしないこと。
仕事の重要性に比べれば自分などとるに足りないことを認識する
・リーダーは部下の可能性と強みを見極め、自己実現できるよう権限移譲を行うこと。未来志向でかつ現実を見たビジョンをもてることが非常に大事。
・リーダーシップとは行動。思索にとどまってはならない。
・非営利組織には四つのものが必要。プランニング、マーケティング、人、資金。
・イノベーション成功の条件
変化を脅威でなく、機会としてみること
責任者となってくれる者を探すこと
戦略を持つこと。あらゆることにニッチの可能性を求めること。
・意思決定において最も重要なのは、何のための決定か、を考える部分。意思決定が見えた通りの問題であることは稀。問題と思ったものは現象にすぎない。
・検討はリスクからではなく、機会から始めるべきである。うまくいったら何を意味することになるかを考え、そのあとリスクを考える。
・リスクには3種類ある。負えるリスク、失敗したら深刻な害をもたらし元に戻せないリスク、失敗すれば害は大きいが負わざるをえないリスク。
Posted by ブクログ
Missionや成果の部分が非常に参考になった。ドラッカーは徹底して「顧客は誰か。何を提供するのか。」を様々な著書で問いかけているが、この本でも基本は同じ。ただ、非営利組織だからこそ考えなければならないのが、Mission。営利組織は、最終的なMissionは利益を上げることに帰着してしまえばいい。でも、非営利組織は違う。社会に貢献するためにどのような役割を果たすのか、徹底的に考え、その成果の定義をしなければならない。なんとなく、社会に貢献してますでは、正直言って必要性はなくなってしまう。また、他の組織と競争する必要性も特にない。一つ一つの切り口に対して、細かく解説が書いてあるので、バイブル的な一冊として側に置いておきたい本。
Posted by ブクログ
そもそも非営利組織といわれると日本ではNPO(以前ではNGO)を思い出してしまいます。それはつまり、大義のためのボランティア団体というイメージでした。
本著の非営利組織とはそうした狭小な定義ではなく「企業以外の組織」としています。学校、病院、協会、組合など、およそ思いつく営利目的でない団体におけるマネジメントを懇切丁寧に説いています。
営利と非営利で分けていますが、根本的なマネジメントは同一です。違うのは、非営利組織のほうが大義だったり自己実現といった精神的な分野をミッションの上位に置いているところでしょうか。
本著では非営利組織のミッションや成果、戦略、イノベーションに合わせて、さらに非営利な団体の理事会、ボランティア、ステークホルダーとの関係、資金の調達に焦点を合わせて述べられていました。
マズローによれば自己実現欲求や承認欲求などの成長欲求は、所属欲求、安全欲求、生理欲求よりも上位に位置するといっています。
欠乏欲求という下位欲求が満足させられると上位の成長欲求を求める先が非営利組織になります。
非営利組織というコミュニティこそ成長欲求を満たすことができるとして、そのマネジメントのために本著を書かれています。
非常に参考になる個所が多く、何度も読み返しました。
真意を理解するために、もっと読み込む必要があります。
要再読。
以下、印象に残った文章。
・非営利組織のリーダーとなった者には、さほどの時間は与えられない。(略)この短い間に成果をあげるには、リーダーは組織のミッションと価値観に沿った役割を果たさなければならない。
・すぐれたリーダーは「私」とは言わない。意識して言わないのではない。「私」を考えないのである。いつも「われわれ」と考える。チームを考える。
・最初に考えるべきものはリーダーシップではない。ミッションである。非営利組織はミッションのために存在する。それは社会を変え人を変えるために存在する。
・リーダーシップとは行動である。思索にとどまってはならない。それはカリスマでもない。演技でもない。行動である。行動とはミッションを書き替え、焦点をあわせ直し、そのうえに新しいものを築き、組織することである。そして廃棄することである。知っているべきことをすべて知っていて、なおそれを行うかを自問することである。
・非営利組織は内部志向になりがちである。あまりに大義にコミットし、正しいことを行っていると信じるがゆえに、組織自体を目的と錯覚する。それでは単なる官僚主義である。「ミッションに貢献するか」を考えずに、「内規に合っているか」を考える。
・非営利組織全体の目線、ビジョン、期待、基準を上げるには、スターを活用する必要がある。仕事のできるものに脚光を当てる。しかも彼らを認めプライドをもたせる最善の方法が教師役に起用することである。したもスター本人にもインパクトがある。これ以上に誇らしい認められ方はない。
・争いをなくすには、意見の対立を利用することが一つの方法である。反対意見を求めるならば、意見を聞いてもらえるとの確信を植え付けることができる。同時に、反対意見の者がどこにいて、何に反対しているかがわかる。そして多くの場合、反対者が受け入れてくれるような調整を行うこともできる。
反対者のほうも、意思決定の論拠を理解できる。全面的に納得するまではいかなくとも、主張を通した側が馬鹿でも悪者でもないことを理解できる。意見が違っただけである。争いはこのようにしてなくことができる。意見の対立は防げなくても、争いはなくすことができる。
争いをなくすには、敬意をもたれている声高な対立者二人を選び、別室で調整してもらうという方法もある。
論点を一つひとつつぶしていくという方法もある。やがて対立点が重要でないことが明らかになる。本質的なところでは意見が一致している。
・意思決定とは行動へのコミットである。ところがあまりに多くの決定が立派な意図に終わっている。
・決定はいつでも撤回できるようにしておかなければならない。そのためには、第一には代替案を用意しておくことである。第二に撤回の責任者を決めておくことである。こうして責任追及に時間をとられないようにしておかなければならない。
・「なすべきことをしているか。活動は正しいか。ニーズに応えているか」。「優れた人材に見合う成果をあげているか」を考えてようやく次に大切なこととして「われわれは今も正しい分野にいるか。変えるべきではないか。今やっていることは廃棄すべきではないか」を考えることができる。
・プランだけでは仕事は行われない。方針だけでも行われない。仕事として行ってはじめて行われる。期限を切られたものが行って、初めて行われる。トレーニングを受けたものが行って初めて行われる。評価されるものによって行われて初めて行われる。成果に責任を持つ者が行って初めて行われる。
・非営利組織に働くあらゆる者が何度も何度も繰り返すべき究極の問いは、「自分はいかなる成果について責任をもつべきか、この組織はいかなる成果について責任をもつべきか、自分の組織は何をもって憶えられたいか」である。
・上司、同僚、部下に対し、「こうしてもらえれば助かる。これは困る。私が役に立っていることは何か。邪魔になっていることは何か」と聞いて回ることである。これで八割方はうまくいく。ただしメモで聞いてはならない。直接会って聞かなければならない。
・理事会を開催する会議室には「理事とは地位ではなく責任である」と大書しておきたい。
・自らの成長につながる最も効果的な方法は、自らの予期せぬ成功を見つけ、その予期せぬ成功を追及することである。ところが、ほとんどの人が問題ばかりに気を取られ成功の証しを無視する。
・最高の自己開発は、他人の自己開発に力を貸すことだと思っています。間違ったり、強引すぎたり、せかし過ぎたりすると指摘してくれます。