囲碁の盤面が織りなすは、白黒つける勝負の世界。
その棋士ひとりひとりには、数多の色に彩られた人生が見えてくる――。
主人公・進藤ヒカルは、囲碁などとは縁遠い活発な小学生。しかし、平安時代の天才棋士・藤原佐為(ふじわらのさい)の霊と出会い、囲碁の世界に身を投じることに。
同じ小学生にしてプロ級の腕前を持つ少年・塔矢アキラや、その父にして名人段位を持つ塔矢行洋(とうやこうよう)。
彼らを始め、数多の棋士達との邂逅を経て、ヒカルはその人生を大きく変えながら成長していく――。
20年ほど前に若者の間で“囲碁ブーム”というものが起きたのをご存じでしょうか?
その火付け役となったのが、この『ヒカルの碁』。
対局シーンでの鬼気迫る表情や額に浮かべる汗、互いの戦略を探り合う思考のせめぎ合いなどを見ていると、思わずこちらも力がこもってしまいます。心理描写を繊細に描くタッチはさすが小畑健氏、囲碁のルールを知らなくても全然違和感なく惹き込まれる…。
中でもメインとなるのが、ヒカルとアキラ、そして佐為の物語です。
子供だった彼らが大人に近づくにつれて、内面や顔つきの変化していく様がとても丁寧に描かれています。あんなに丸顔だったのにこんなにシュッとした凛々しいお顔に…そんなところも少年好きの女性にはグッとくるポイントかも。二人の少年の出会いが囲碁界を変えていく大きな渦となり、生涯のライバルになるまでの長い道のりが本作の軸となっています。
そして、ヒカルの成長を見守る佐為の存在は、彼の良き友人であり、師匠であり、親であるような温かさを感じます。そんな二人の重要な転機となるエピソードがあるのですが…これが涙なくして語れない…。
彼らに限らず、濃密な時間を過ごしたキャラクター同士の関係性があるからこそ生まれる“人間ドラマ”が、本作最大の魅力です!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2017年01月28日
ジャンプ漫画ってのは人気次第で露骨に引き伸ばされたり打ち切られたりするので、起承転結綺麗に着地できる作品があまり無いように思います。
その中にあって、単行本17冊過不足なく見事にまとめきり、清々しい読後感を与えてくれるのがこの作品。(北斗杯編はとりあえず置いといて)
海賊王でも逆刃刀でもなく、碁。...続きを読む少年漫画のテーマとしてこれはちょっとどうなんだ、と初めは誰もが思ったに違いないのですが、こいつが文字通り(笑)お化け漫画に育ってしまったわけです。
特にプロ試験の中盤以降が秀逸。1人1人の描写が深く、じっと読み入ってしまいます。奈瀬が本田に勝ったシーン、切ないですね…。
あとは16~17巻の怒涛の流れ。なんかこう、万感極まってくるんですよね。一緒になって泣いた、と書くと嘘になりますけど、感動した事は間違いないです。
全部読んでも未だに碁のルールがわかってないのですが(苦笑)、それでも大好きな作品です。
アキラに手も足も出ない程度の実力しか無いのに、
無視されたと怒ったりそのアキラがライバル視しているらしいヒカルを侮ってみたり、
無自覚なカッコ悪さむき出しの村上二段。
昨年初参加の若獅子戦では院生順位最下位(1組16位)だった者が、
プロ試験を一発で通過したという事は致命的な弱点などとっくに...続きを読む解消されている筈なのになぜかそうは考えない。
(当然真柴のようにラッキー合格だった訳もない)
おまけに昇段の掛かった手合だから、
ヒカルに不戦敗を続けて欲しかったなどと内心愚痴ったりする。
力もないのにプライドだけはバカ高くそれでいてセコい事は平気で考える。
村上二段が現在何歳でいつ頃プロになったのかは分からないが、
見た目20代半ばくらいで未だに二段の彼が中3でプロになったヒカルをなぜ侮れるんでしょうね?w
一方、辻岡二段は同期でもある圧倒的実力者のアキラがライバル視しているらしいヒカルと対局したいと望み、
期待こそすれ侮る事など決してしない。
同じ二段でもプロ棋士としての精神性は雲泥の2人が印象的。
Posted by ブクログ 2014年10月08日
『佐為編』の最終巻
自分と塔矢行洋名人との対局を見せるために、新しい世代(ヒカル達)がさらなる高みへ歩き出すために、
自分は長い年月を過ごして来たのだと悟る佐為。
佐為が幽霊となっていた理由をしっかりと示して話としてきちんとまとめつつ、
佐為がいなくなることでヒカルと読者に生まれた悲しさを、
...続きを読むアキラがヒカルの中に佐為をはっきりと見つけることで埋めてくれる。
とてもおもしろい作品です。
Posted by ブクログ 2013年04月17日
アキラを追うヒカル。
どこかにつけいる隙があるのだろうか。
小さい頃から王道を歩むアキラに、
古式ゆかしい藤原流+無手勝流のヒカル。
囲碁愛好家ならではの楽しみ方ができる。
Posted by ブクログ 2010年08月14日
佐為編のエンディング。
夢に佐為が現れ、無言で扇子を渡されるヒカル。
新たなスタートを予感させる素晴らしいエンディングです。
カットも見事で、各キャラの動きやストーリーも良いです。
なぜ小畑さんはこんなに絵がうまいのでしょうか。
Posted by ブクログ 2009年10月04日
今まで漫画に取り上げられなかった分野というだけでも画期的だけれども、碁のルールが分からない読者をも魅了するその構成がさらに凄い(碁がまったく一般的ではないタイでも、タイ語のヒカ碁は大人気です)。ちなみに僕が一番好きなシーンは、「くらいついて来るしかねェな」という森下九段の言葉に、ヒカルがぐっと扇子を...続きを読む握り締める部分(20巻)。
小畑健の画の一番の力は「眩しさ」の表現の仕方だと思いつつ、実はヒカルたちの成長こそが眩しいです。そうそう、数年前にとあるきっかけでお会いした監修の梅沢由香里さんは、絵に描いたような素敵な女性でした〜。
Posted by ブクログ 2009年10月04日
こんなに泣ける漫画は初めてでした。囲碁に絡んだ人間ドラマが凄い。ついつい引き込まれてしまう面白い展開と、小畑先生の美麗な絵に圧巻でした。ヒカルと佐為の静かな別れを描いた17巻が一番好きです。
Posted by ブクログ 2009年10月04日
この巻で『佐為編』完結ということで、まあ、そのような内容になっているわけですが……。アキラとの対局後、夢の中でヒカルは佐為と再会します。ヒカルの話に耳を傾ける佐為。何も言わない佐為にじれったくなるヒカル。最後に、佐為は自分がいつも持っていた扇子をヒカルに渡そうとして……。ヒカルと佐為の別れに相応しい...続きを読む締めくくりになっています。佐為の碁はヒカルの碁の中で生き続けるわけですが、うん、やっぱり寂しい。佐為好きだったし。何気にいちばん
Posted by ブクログ 2009年10月04日
この作品は本当に名作です。登場人物も、台詞も、演出も、絵も、全てが本当に素晴らしいです。全体的に語りたい事が山ほどあるのですが、佐為の事を書きます。佐為は何故ヒカルの前に現れたのか。佐為はそれを理解し、そして消えました。そのシーンが素晴らしかった!ベタベタな別れのシーンなんかいらないんですよ。気持ち...続きを読むのいい風が吹いて、眠たいとぶつくさ言いながら打つヒカルと、佐為の目線のまま佐為を写さず消えてしまう。言う人に言わせれば「あっけない」とか言うんでしょうけど、私はこのあっさりした所が大好きです。最後に、夢の中でヒカルは佐為に出会いますね。一言も喋らず、佐為はヒカルに扇子を渡そうとします。素敵です。大好きです。名作です。ちなみに、私の中ではこの巻が最終巻という事になっております。
ようやくライバルとして繋がった。秘密は秘密として抱えながら、ライバルとしての価値をお互い見出しあった。この後の展開を期待させる。
Posted by ブクログ 2021年11月20日
佐為編が完結する。『ヒカルの碁』は純粋な囲碁漫画というよりも、藤原佐為の人気があったのではないか。佐為なしで物語を進めることは思い切った展開である。
Posted by ブクログ 2013年04月21日
伊角との対戦を機に碁を続けるという決心をしたヒカル。
ヒカルがアキラや伊角に言った言葉は力強いものでした。
碁は一人では打てない、っていう桑原の言葉はいい言葉だなぁって思いました。
桑原めちゃしぶとそうだけれども(笑)
冴木さんと芦原、どっちが勝ったのか気になる…(・∀・)
ヒカルやアキラだけじ...続きを読むゃなくて、みんな動いていくんだなぁ。
最後に、夢の中とはいえヒカルと佐為が会えたのは良かったと思います。
言葉はなかったけれど笑顔でヒカルの話を聞く佐為が良かったなぁ。
Posted by ブクログ 2009年10月04日
数年前まで少年ジャンプで連載していた有名な、囲碁ブームを巻き起こした作品。
ほった先生の、深く感情豊かな原作に、小畑氏の神がかった繊細な絵の美しさが合わさって歴史的な作品になってます。
冒頭は、やんちゃな小学生ヒカルに、歴史上最強の碁打ち、藤原佐為の霊が乗り移って始まります。
佐為の持つ平安の...続きを読む雰囲気が好きです。
Posted by ブクログ 2009年10月04日
佐為が消え、自分の力だけを頼りに棋士の高みへと歩き出したヒカル。一方、その傑出した強さで、歴戦の棋士達を脅かす存在となったアキラ。日本囲碁界の新時代を背負うであろうその二人が、遂に真の初対局を迎える!!