あらすじ
「キューショーサンジュツ? なにそれ?」
数学テロ組織「黒い三悪定規」のメンバーによる、立てこもり事件が発生した。犯人たちは5階建ての図書館に人質を取って立てこもる。彼らが投げかけてきた問題は古代中国の数学。当然、警察官たちの手に負えるものではなく、我らの救世主、数学少女の浜村渚が現場に向かう。数学のラビリンスと化した巨大図書館ビルを浜村渚は攻略できるのか!? その他3編を収録!
大人気シリーズの最新刊が久々に登場!講談社文庫書下ろし。
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Posted by ブクログ
九章めの真実
これだけで特大長編一本書いてほしいレベルの内容。さすが古代中国、スケールが違う。数学というより九章算術の説明のようなエピソードだけど、最後に心を動かす行動をとったのが浜村渚ではなく武藤さんだってところがポイントが高い。瀬島の円周率といい、浜村渚以外の人物の数学力が明確に上がっている………?
矢印を抱いて眠れ
これぞ浜村渚!って話が来たな。平面も空間もどっちもベクトルでひとまとめにして出してきたか。なかなかやるな。今思い返すと俺もベクトルを完璧に理解できてないんだよな。何となくパズル感覚ではわかるがしっかりした意味まではわからない。もう一回勉強しなおしてみてもいいかもしれないな。やりたいことが多すぎて困ってしまう。零ベクトルまで出してきたし今までで一番やりたい放題なんじゃないか?でも古典的密室トリックをきっちり数学でも使おうとする姿勢、いつかやろうって考えてたんじゃないかな。
電卓が愛を語る話
数学と近くて遠い数の話。すれ違った親子を思わせる。小学校のときに誰かがどこかから聞いてきて一時流行るあの数式。それの浜村渚バージョンが拝めるとは。同時に、電卓の使い方をあまりよく知らないなぁと思い返す。知っといた方がいいのかな?誰かに密かに思いを伝えたくなったときのために。
ナマギリにきいてみろ
元ネタは絶対都筑道夫の「ナメクジに聞いてみろ」だな。中国といいインドといい国際色豊かな本作。引き算しやすくするために引く数にも引かれる数にも数を足したり引いたりして0を作るやつ、よくショート動画で出てくるやつ。本家はインドだったか。どんな目的から作られたのかとか歴史がわかると面白い。ショート動画でもただ計算してどや顔するんじゃなくてこういうことも教えてくれたらいいのに。インドの不思議な4桁の数も面白かったが、一番心に刺さったのはやはり最後のセリフ。「決めつけられていたとしたら、ラマヌジャンさんは、天才になれたでしょうか」。そうだよな。自分と相容れなくても信じてあげることも必要なんだ。今の僕には特に深く刺さった言葉だ。僕は天才じゃない。でも好きなものを一生好きでいられるための努力をしよう。少し心が軽くなった気がした。こういうことがあるから読書はやめられない。
意外と早い再会になった浜村渚も今度こそしばらくのお別れになりそうだ。次会うときには僕の価値観や思想ももしかしたらガラッと変わっているかもしれない。そのときにどんなことを思いながら浜村渚と出会うのか。ラマヌジャンにもわからない未来に思いを馳せながら別れの余韻の楽しもう。
Posted by ブクログ
待ちに待った4年ぶりのシリーズ新刊、、、!!!
青柳先生の本は片っ端から読んでいるので、4年の間にどれだけ書いていたか知ってはいるものの、この数学が好きな普通の中学生が待ち遠しくてたまらなかった
久しぶりに浸る浜村渚ワールド
この本を読んでる間だけ、数学と友達になれる気がするから好きだ
メモとペンを用意しながら読み進めていくのもとても楽しい
今作はとうとう『天才』が出てくる回が収録されているがラマヌジャンの世界観(インドの様相)をVRで処理するのは良いと思うが、満を持してのラマヌジャンの数式が2つ前のエピソードのベクトルの時の解決方法のような使われ方だったらさらに好きだったなあ
この本に多大なる影響を受けたので、ど文系だったのに理系に進み、今は統計ソフトと睨めっこする日々を送っているけれど、純粋に数学に触れたのは久しぶりな気がする