「人間は運命をかえることができる 豹にない知恵をもって… そしてきみは豹じゃあない そうだろ?」
「バナナフィッシュ」という謎の言葉を巡るマフィアとストリートキッズの抗争が、国家の陰謀にまで発展していくという少女マンガらしからぬ骨太ストーリーと、アッシュと英二の絆がこの作品の魅力です。
高いIQと身体能力、美貌を兼ね備えたアッシュ。容赦なく人を殺す冷徹さと年相応の無邪気さ…十代で二つの顔を持たざるを得なかったアッシュの生い立ちはかなりハードですが、彼の心を救うのは銃を持ったことさえない日本人の英二でした。
第8巻にヘミングウェイの『キリマンジャロの雪』の豹の話が出てきます。“死”について考えたことがあるか、と問うアッシュに、英二は冒頭の台詞で答えます。ストリートキッズのボスであるアッシュに臆せず対等に向き合う英二だから言える、友への言葉。
血腥い世界で見返りを求めない友情がいかに難しく、そして奇跡のようなことか。この作品を読み返す度に涙し、マンハッタンに思いを馳せています。
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出逢いに感謝
ブランカから見たアッシュ、伊部さんから見た英二の、それぞれの少年時代の思い出が描かれています。
ブランカは久しぶりに見かけたアッシュが、英二と心から楽しそうに語らっている様子に驚きます。幼少の頃に強姦され、男娼となり、ゴルチィエのところに来たアッシュ。ブランカの回想の中でアッシュはいつも怒りと恐怖に震えていました。一方、英二は才能のある棒高跳びの選手でしたが、スランプに陥り、跳ぶことができなくなってしまいました。苦しんでいる英二を伊部さんがアメリカにカメラマン助手として同行させていたのです。この二人の背景を、この20巻はより深く私たちに教えてくれています。
巻末に「うらBanana」という4コマ漫画がありますが、切なくて泣いてばかりいた私にはある意味癒しでした。
一気読み
ずっと気になっていた作品。巻数が多いので購入を躊躇っていたのですがクーポンで大人買い、どんどん引き込まれて一気に読みました。19巻が衝撃的すぎて20巻を読むのがしんどかったけど、出会う前のアッシュと英二が知れてよかったかな。あーでも生きて再会して欲しかったなぁ。アッシュの生き様が強烈でまだ読み返せずにいます。勢いで夜叉とイヴの眠りも買ってしまいました。
こんなに素敵な作品を読める時代に生まれることができて幸せです。
最高な作品でした。彼らのほのぼのした未来が見たかったな…でもなくてもそれがまた良かったんだろうな…アッシュ生きていてほしかった。
本編ではブランカがアッシュを気にかけてるから以前なんかあったんだろうなって思わせる程度だった二人の関係性がわかって更に本編をじっくり読みたくなる。
BANANAFISHが始まる前の話なのに、確実にこの出会いがなかったらBANANAFISHが始まらなかった英二と伊部さんの出会いには本当に感謝しかない。
2話とも胸がぎゅっと痛くなるようなとても素敵な話でした。