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Posted by ブクログ
大阪での仕事に行き詰まり、心機一転富山で出直そうとする熊吾。
しかし、実際に富山に行ってみると、共同経営者の優柔不断さが気に入らず、妻子を残したまま一人大阪に戻ってしまう。
確かに事業を興すにはある程度の思い切りの良さが必要なのだろうが、ここにきて熊吾は運から見放されたかのように、やることなすことが上手くいかない。
人と金とのタイミングがことごとくずれている。
占い師の態度といい、なんだかこのまま坂を転げ落ちていくような不安に襲われてしまう。
ただ、困窮しているとはいえ、寿司屋で寿司を食べ、タクシーを使い、困っている人には金を渡してしまう。
遂に房江は自分の着物と指輪を質に入れるまでになるのだけど、あまり悲壮感がないのが人徳ということなのか。
相変わらず伸仁は体が弱いようだけど、生命力というか、人の中で生き抜いていく力は強い。
そして、同年齢の子よりもいろいろ発達が遅いようだけど、そのことに対して熊吾がまるごと受け入れているところがよい。
無理に同級生レベルに押し上げようとするのではなく、この子はそういう子なんだ、と。
ただ、人として道を間違えず、心身が健康であればいい、と。
だから伸仁は実にのびのびとやんちゃ小僧に育っている。
どうか家族三人がまた一緒に暮らせるようになりますように。