あらすじ
「三国志」をいろどる群雄への挽歌が流れる。武人の権化ともいうべき関羽は孤立無援の麦城に、悲痛な声を残して鬼籍に入る。また、天馬空をゆくが如き往年の白面郎曹操も、静かな落日を迎える。同じ運命は玄徳の上にも。――三国の均衡はにわかに破れた。このとき蜀は南蛮王孟獲に辺境を侵され、孔明は五十万の大軍を南下させた。いわゆる七擒七放の故事はこの遠征に由来する。
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Posted by ブクログ
いよいよ、世代交代の波が訪れる巻だった。
ここまで読んできて長く連れ添ったような気持ちになっていて、切なくてなかなかページを進められなかった。
中でも関羽の死は無念だった。張飛も失い、残された玄徳の苦しみはどれほどだっただろう。それがあの敗戦へと繋がったのだろうから悲しさも一層増す。
どんな者にも平等に、死によって分かたれる時が来て、そうして時代は移り変わっていくのだと思いながらも、そう簡単には気持ちが切り替えられなかった。
南洋諸国での孔明の手腕は流石としか言いようがなく、面白く読んだのだが、夥しい死者を前にどう折り合いをつければいいのかまだはっきりとした答えは見出せていない。
Posted by ブクログ
図南の巻、出師の巻。荊州の守りについていた関羽の死から、相次ぎこれまでの主要登場人物(張飛、曹操、玄徳等)が死んでいく。残された孔明は南蛮を治めるため戦い、ついに曹操亡きあとの魏へ乗り込んでいく。
Posted by ブクログ
結末がわかっているので、なかなか頁が進まない。
劉備帝国の設立もまもなく、関羽が痛恨の死。老いた曹操も病に没し、やがて悲運は張飛、さらには玄徳の身にも。
英雄と言えども人の子、些細な油断が命取りになるという教訓。関羽の短慮さは年のせいなのだろうか。
玄徳はお人好しだったのか、後継者に恵まれていない。養子は部下を見捨て、実子の王太子は愚直。劉備亡き後の孔明の苦悩が目に見えるようだ。
その孔明が呉に競り勝ち、さらには南蛮国への大遠征にのりだす。五度戦って五度敵を許すいたちごっこは、コメディみたいで笑ってしまう。ただ中国内の英傑との決戦ではないので、冗長で退屈だった。自策を楽しむあまり、遠征に軍費をかけすぎたきらいもある。
いよいよ次の最終巻では、孔明が魏と直接対決。
Posted by ブクログ
関羽・・・・・・遂に死せり。
弔い合戦が始まる。
7巻は、とにかくみんなが死んでしまう。
ひとつの時代が終わりを告げる。
(そして私の集中力も・・・)
ただひとり残された孔明の孤独はいかほどか。
まるでそれを紛らわすかのように、南蛮へと侵攻し、矢継ぎ早に北へと向かい、留まることを知らない。
*印象に残ったこと*
・張飛のむごい死に様は、仏教の因果応報を彷彿とさせた。
・関羽は、確かに思慮深く、人望も厚い。が、神とまで崇められるようになった所以が、一読しただけではわからなかった。
(本の感想ではないけれど、それを考えていて改めて実感したのは、自分の中で”神”像があまりにも清廉潔白だったこと。そうじゃないよな、と改めて形として捉えてみてわかった。八百万でもなんでも、時に非情で残酷であることを、どうして忘れていたんだろう。)
三国志の戦いでは(とくに孔明は)よく自然の力を利用している。
映画”Red Cliff”では、曹操は風向きに負けた。
自然の力は国の将来を、多くの人命を大きく左右する。
時にはげしすぎるほどに、風は轟き、豪雨は地面を打つ。
それを、昔の人は、身体の一部として、知っていたのだ。