木下斉のレビュー一覧
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ネタバレ「何をやったらいいんでしょうか」。
地域の再生には都合のいい答えがあるという幻想を象徴する質問。
優れたひとがそれを知っていて解決できるという思考の土台が、幻想にとらわれた人の発想だ、と著者は釘を刺します。
実際にある地域再生への道は、
自分達で考え、予算の範囲内で失敗を繰り返し、改善を続ける、地道な作業。
どこかで成功した結果だけを真似ても意味がない、といいます。
そのために必要なマインドセットの転換。
外部任せでない地方経済の在り方について、
スペインのバスク自治州の労働者協同組合の例が挙げられていました。
賃金格差是正、地元消費のしくみを生み出しているのだけれど、
その根底にあるのは、自分たちでより良い地域経済、より良い暮らしを作って行こうという考え方なのだと理解しました。
・・・
・人口論と切り離す
日本では、2014年から地方創生政策なるものが実施され、資金が投入されました。
東京の一極集中が地方人口の減少を招いた、という前提が間違いだとし、
東京への人口流出による地方の人口減少は、地方経済の衰退の結果だといいます。
そして、人口ではなく、価値を生み出しているかこそが、地域の存続、発展に大事であるという点を述べられています。
フランス、イタリアの地方、人口は少なくても小さな集落の魅力がある。
人を引き付けるライフスタイルを提供している。
今は、「新たな付加価値の生み出し方と向き合う時代」だ、と。
日本では、二丹別のブルーチーズのお話がありました。
付加価値の創造にも、考え方を刷新する必要性があり、
具体的なアドバイスもなされていました。たとえば、
ー粗利率、利益率にこだわる。
ー安さを売りにしない価格設定。
ー持っているお金でできることからして、小さく資金回収を回す。
ー海外と国内、コト経済とモノ経済のバランス。内需も十分ある。体験だけではなく、実際に地域に根差したり強みであるモノの存在も大事。
・人が来ない、とは。
働き手がいない、長時間・低賃金の需要がないだけ、というのは、全国に多様なところがあるのかと思いましたが、
地域は特にそうなのかもしれません。
本気で地域を創生するならば、高い給与で良い人材を雇って本腰を入れる必要があるはずです。
一方で、
2017年の地方自治総合研究所の調べによると、
域創世の総合戦略の策定の際には、
1342自治体の約8割が地コンサル等の外注、
うち5割は東京本社、とのこと。
2020 男女共同参画基本計画の際に、地方での女性への偏見が一つ挙げられていたこと。
女性の上京理由には、地域の治安への懸念、成長の機会に乏しい、などが報告されている。
職場環境や雇用条件にプッシュ要因がありそうです。
著者は、雇用形態、そして職場での人間関係の在り方を刷新する必要性を論じられています。
【思考の土台から変える地方創生】
東京も満員電車とかで大変、というけれど、
他の地域に比べればまし、みたいな感じなのかな。
チャーチルの民主主義の話みたいですね。
・・・
国際協力の支援依存に似た構造であるようにも感じました。
外部の専門家を頼ることは良いことだと考えますが、
介入策がその後も意味のあるものにするためには、
現地に主体性がある、あるいはないのであれば、その意思が醸成されること、
そして能力強化、エンパワーメントがなされることが欠かせない。
国際協力の開発では、意識啓発をよく実施しますが、
木下斉さんはこの本で、まさにその意識改革を唱えている、と言えるのかと思います。
著者はまた、一人だと惑わされなくても、集団になると流されてしまう。
安定とは変化をしないことではなく、変化レベルをちゃんとわきまえること。
今はまず、女性が気持ちよく暮らせるまちづくりを目指したいなーと思いました。 -
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◯問い
地域再生に行政の支援は必要なのか
◯答え
・補助金による支援は必要ない
・地域支援も今の時代に合わなくなったらやり方変えるかやめる。その際従来の考え方の人たちとなぜ対立するのかに着目する。
・人材養成、情報発信、他地域や企業団体とのつながりづくりでは支援できる余地ある
・中長期的に見て支援することで投資回収できそうだったら支援する
◯根拠
・補助金は短期的にはインパクトあるかもしれないが、予算切られたら終わり。地域を補助金に依存させることは行政の罪
・地域も高齢化や人口減進む中、ニーズ多様化している。従来のやり方は継続できない。
・企業や団体とつながり作りやすいのは行政の強み
◯やること
・何を言うかより誰が言うかで人は動く。気にかけていることが伝わるように日頃から振る舞う。
・やらなくても人の命に関わらない事業をやるとき、なぜそれをやるのか、全員で共有する。
・打合せでは次にやることと期限まで宣言してもらう。 -
Posted by ブクログ
成功事例や補助金頼みのまちづくりが多く本当の意味で地域に活力が生まれるというケースは少ないという印象だったので、納得感があった。
まずは自分たちが地域をどのような地域にしたいのか、自分たちで試行錯誤してできることから小さく始めていくことで少しずつ地域に活力を与えることができるのだろうな。
地方鉄道の活性化の議論が語られることが増えてきているが、同じことだと思う。鉄道は残さなければならない。そのためには観光を活性化させて外の人を連れてきて利用を増やす、補助金を入れる、観光列車を導入するなど。本当にそれが持続的で活力ある取り組みにつながるのか、懐疑的なものが多い。
地域として本当に鉄道でなければいけないのか、どこを目指すのか、本質的な議論をしなければ、他を真似ただけの小手先の鉄道利用促進策だけでは解決はしない。
本著はこれからのまちづくりを考えていくうえで、取り組む姿勢を示した良著であると思う。 -
Posted by ブクログ
地域創生コンサルタントの著者による、地域における創生ビジネスの進め方。ニーズを把握し、魅力あるサービス、製品と提供すること、きちんと利益の出るエコシステムを作ること、計画変更は柔軟に行うこと、撤退基準を明確にしておき、だめならやり直すこと。民間企業ならあたりまえのことなのだが、これらが地域行政では行われていないという。しかも、国からの補助金を目当てにした単発プロジェクトばかりだという。本書はビジネスの基本を説く書であり、そして、現実のお役所仕事の駄目さを赤裸々にオープンにする書でもある。
以前、講演会を聞かせてもらったこともあるが、本書にあるように、まっとうなビジネスの基本、考え方を、地域創生でも使うことが重要と力説されていた。 -
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ネタバレ一部通用しない部分(これはCOVID-19)のせい
がありますが一応それのカバー方法は出てきます。
ただしそれは地方の…にはならないのが残念。
この本をベースにカバーできる方法を
というのがベターなところでしょう。
ある「シンボル的なもの」が時にブームになります。
一見すると地域貢献に思えるでしょ?
だけれどもその地域にお金が落ちるかというと
一番落ちてほしい部分には落ちないのです。
あとはある種の納税もそう。
結構極論で「廃れる」言っていましたが
その提供するサービスが以前取り上げられたことのある
「アレ(ルールに抵触)な奴」が当たり前だったり
その地域の色濃いものではなかったりすれば
ただの節税対策で廃れると思うのです。
タイトルこれ…失敗例じゃないんだよね。
どうすればよくできるか、でしょうよ。 -
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audiobook.jp の聴き放題に来ていたので聴いてみた。
内容はタイトルの通り。地域再生について。1人称視点の物語仕立てで描かれる。
主人公は、良い大学を出て、東京の良い会社で働いていた男性。実家の用事で地元に帰省した際、ひょんなことから地域再生に関わり始める。
地域再生に関して、主人公はこれまで培ってきた自分の能力が通じないことを実感。挑戦心を掻き立てて、東京の会社を退職。フルタイムで地域再生に関わり始める。
地域再生の内容は本格的。地元のイベントの出店してみたり、法人化してみたり、古民家シェアハウス事業を始めてみたり。具体的な内容が出てくるので、とても勉強になる。
しかしもちろん事業は万事順調というわけではなく…。補助金をちゅーちゅー吸い取るだけのコンサルや、思い通りにいかない相手を排除しようとする行政担当者など、地域再生の苦労もよく描かれている。
面白かった。この分野について全くの素人なので、とても興味深く読んだ。筆者は他にも、地域再生の書籍を出版している模様。新書の方が良い読者にとっては、そちらもオススメになるのかもしれない。 -
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以前は「転勤するなら福岡」だったが、今や「移住するなら福岡」。職住近接のコンパクトシティ代表格。その福岡市の強さの源泉を木下斉氏が分析・解説。九州といえば維新の雄である薩摩藩の鹿児島県、鎮西鎮台を有した背景から第五高等学校を構えた熊本県が廃藩置県後の主役であった。その後工業化の波に合わせた国策である官営八幡製鉄所の北九州市と比べて、福岡市は目立たぬ地味な自治体であった。流れが一変したのはアジアの貿易・交通の要(朝鮮戦争含む)として、その地理的優位性が注目され時代の要請に応じた民間主導のコンパクトシティを作り上げたことにあろう。高度経済成長期やバブル期での右倣えの没個性的なまちづくりに走ることなく、産官学一丸となって「地方都市としての役割・機能」の指針を見失わずに先人たちが愚直に邁進した結果がいまの福岡市の飛躍的な成長と類を見ない成果に繋がったといえる。
本書では著者が歴史的な背景を紐解き、制約や弱さをクリエイティブな強みに変えていった経緯を学べる。難点としては後付け的にほか自治体比較での優れた点を網羅・列挙しすぎて、コアな部分・概括的にはどうかが読み取れないところか。読んでいて「結局どういうことだろう?」と思う部分があり、もう少ポイントが絞られていると良いかもしれない。 -
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1.地方創生に興味を持っていたころに買っていたことを忘れていたので読みました。
2.地方創生が失敗する根源は「地元の人」にあることを気づかせてくれます。成功体験を真似することは良いですが、補助金目当てに成功しないプロジェクトへ予算をばらまき、案の定失敗します。そうして、「まちづくりは失敗するもの」というマインドが形成され、新規移住者に無言の圧力を与えてきます。
このようなことが当たり前に行われているから日本の地方創生は失敗が大半です。大切なことは地元の人たちがまちづくりに対して真剣に取り組み、自分の保身と常識を捨てて門徒を広くし、地域経済を潤すことで人口が増えていくということです。
3.思えば、地元で勉強している大人を見たこともないし、公務員で凄いと思える人もいなかった。つまり、自分は将来こういう人になりたいと思える人は5人もいませんでした。地元に住んでいた自分ですらそうなのに、移住者ならなおさらだろうなと思いました。
地方創生を成功させたいのであれば、ビジネスとして成立させることが絶対条件です。これは、沢山儲けろということではなく、最適所得を実現するということがまず第一歩です。年配の人には理解されない思考ですが、若者がこれを普及していく必要があるのだと思いました。 -
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このたび九州旅行に行くことになり、フェリーの中で予習を兼ねて読んだ。
福岡には3回訪問したことがある。それぞれ新幹線と飛行機でアクセスしたが、コンパクトに交通機関が纏まっていて驚いた。ちなみに、私は会社で新潟支社にいたことがあるが、新潟から最も近い支社は、東京ではなく九州支社だった。その理由も納得できる。
今でこそ九州の中心都市、アジアに近い世界都市として、福岡は揺るぎ無い地位にあるが、戦前は長崎や熊本よりも人口が少なく、重要拠点ではなかったことを知って驚いた。
行政手動ではなく、強い信念を持つ個人(民間)達が、型破りな戦術を次々と実行して、福岡市を発展させてきたことを知った。当時、他の都市に劣る制限要素をチャンスに変えてきたことは素晴らしいと思う。
他人に嫌われてでも、目先の「出来ること」ではなく「やるべきこと」に、福岡発展の立役者達は強い気持ちで向き合い続けたのである。
それに対して、地域活性化を建前としながら、国から補助金をもらうことが目的化しているような政治活動は意味をなさないことを痛感した。
補助金を貰ったところで、その使い方には何かと制限がかかるのだろう。公務員主導で、スピード感と情熱を伴う意思決定と予算執行は難しいと感じた。