Posted by ブクログ
2016年11月23日
「大全」という著名にふさわしく、地方創生に関する課題を一気に整理し、処方箋を提示しており、著者の日頃訴えている内容が見事に網羅されています。
地方創生、地方活性化、地方経済の担当者はもちろん読んでいただきたいが、それだけにとどまってはいけないと思う。
この手の仕事は、役人がすべきこと、と片づけてし...続きを読むまいがちですが、その方針を決めるは、選挙で選ばれた首長であり、議員。そして実行するのは民間企業や市民であったりします。
地方創生は、そこに住む人すべてに関わる問題であり、なるべく多くの人、多くの立場の人に読んでいただきたいと思います。
普段は、気になったポイントをメモしたりしますが、ポイントだらけで、まとめることができませんでした。
今後新たな政策が出てきた際、著書に書かれている内容を思い出し、厳しくチェックしていきたいと思います。
<目次>
第1章【ネタの選び方】「何に取り組むか」を正しく決める
ゆるキャラ
大の大人が税金でやることか?
→地元経済の「改善」に真正面から向き合おう
特産品
なぜ「食えたもんじゃない」ものがつくられるのか?
→本当に売りたければ最初に「営業」しよう
地域ブランド
凡庸な地域と商材で挑む無謀
→売り時、売り先、売り物を変え続けよう
プレミアム商品券
なぜ他地域と「まったく同じこと」をするのか?
→「万能より特化」で地方を救おう
ビジネスプランコンペ
他力本願のアイデアではうまくいかない
→成功するためには「すぐに」「自分で」始めよう
官製成功事例
全国で模倣される「偽物の成功事例」
→「5つのポイント」で本物の成功を見極めよう
潰される成功事例
よってたかって成功者を邪魔する構造
→成功地域は自らの情報で稼ごう
第2章【モノの使い方】使い倒して「儲け」を生み出す
道の駅
地方の「モノ」問題の象徴
→民間が「市場」と向き合い、稼ごう
第3セクター
衰退の引き金になる「活性化の起爆剤」
→目標をひとつにし、小さく始めて大きく育てよう
公園
「禁止だらけ」が地域を荒廃させる
→公園から「エリア」を変えよう
真面目な人
モノを活かせない「常識的」な人たち
→「過去の常識」は今の〝非常識〟だと疑おう
オガールプロジェクト
「黒船襲来! 」最初は非難続出
→「民がつくる公共施設」で税収も地価も高めよう
第3章【ヒトのとらえ方】「量」を補うより「効率」で勝負する
地方消滅
「地方は人口減少で消滅する」という幻想
→人口増加策より自治体経営を見直そう
人口問題
人口は増えても減っても問題視される
→変化に対応可能な仕組みをつくろう
観光
地縁と血縁の「横並びルール」が発展を阻害する
→観光客数ではなく、観光消費を重視しよう
新幹線
「夢の切り札」という甘い幻想
→人が来る「理由」をつくり、交通網を活かそう
高齢者移住
あまりにも乱暴な「机上の空論」
→「だれを呼ぶのか」を明確にしよう
第4章【カネの流れの見方】官民合わせた「地域全体」を黒字化する
補助金
衰退の無限ループを生む諸悪の根源
→「稼いで投資し続ける」好循環をつくろう
タテマエ計画
平気で非現実的な計画を立てる理由
→「残酷なまでのリアル」に徹底的にこだわろう
ふるさと納税
「翌年は半減する」リスクすらある劇薬
→税による安売りをやめ、市場で売ろう
江戸時代の地方創生
なぜ200年前にやったことすらできないのか?
→江戸の知恵を地方創生と財政再建に活かそう
第5章【組織の活かし方】「個の力」を最大限に高める
撤退戦略
絶対必要なものが計画に盛り込まれない理由
→未来につながる前向きな「中止・撤退」を語ろう
コンサルタント
地方を喰いものにする人たち
→自分たちで考え、行動する「自前主義」を貫こう
合意形成
地方を蝕む「集団意思決定」という呪い
→無責任な100人より行動する1人の覚悟を重んじよう
好き嫌い
合理性を覆す「恨みつらみ」
→定量的な議論と柔軟性を重視しよう
伝言ゲーム
時代遅れすぎる、国と地方のヒエラルキー
→分権で情報と実行の流れを変えよう
計画行政
なぜ皆が一生懸命なのに衰退が止まらないのか?
→誤った目標を捨てよう
アイデア合戦
現場を消耗させる「お気楽アイデアマン」
→実践と失敗から「本当の知恵」を生み出そう