佐藤健太郎(ライター)のレビュー一覧
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傑作である「スパイス、爆薬、医薬品」にひけを取らない良書。海外経験のない日本人研究者がこれほど読みやすい文章を書け、俯瞰的視点が持てるとは驚き。
・イギリスは阿片の自国流通は厳しく規制
・狩猟時代の1日の労働時間は3時間程度
・人体が甘味を感じる仕組みは謎。各種甘味料の構造式に共通点無し
・将棋の「桂」はシナモン「香」はナツメグ、クローブ
・タバコ擁護論者は他では論理的だが、好きなものに対するバイアスが多大にかかっていて、ニコチンに操られているかのよう
・400リットルのウィスキーには樽由来成分が2kg近い
・チンパンジーに貨幣経済を教えると売春、強盗が発生する
・石油の由来について、無機起源 -
Posted by ブクログ
食べ物にしても、着るものにしても、住むところにしても、そして僕らの体も、あらゆるところに炭素化合物がある。炭素なくして文明は発生しなかったし成立もしない。本書は、炭素からなるいくつかの物質が、それぞれどのように人類史に関わってきたかを説く。この手の話は好きなのだ。人類最大の友・エタノールだとか、世界を制した合法ドラッグニコチンとか。僕は喫煙習慣がないが、これを読んだらタバコを吸ったほうがいいかもな、などと思った(本書は断じて喫煙を勧めてはいないが)。しかし、章ごとが物質で区切られていて、文明を築いていく俯瞰という風にはなっていないのが残念。とはいえ、物質毎の人類へのコミットぶりは愉快でもあり悲
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研究者としての経験も交えた創薬のお話。基本的なことから要領よくまとまっていて有益。4年ほど前の本で,来るべき2010年問題について詳しいけど,そういえばあの危機の顛末ってどうなったんだろ?
20世紀に比べて新薬開発が厳しくなってきてるのは確かなよう。昔から製薬会社では,ほとんどの研究者は一つも新薬を作り出すことなく終わるということだったが,作れる薬は既に作られていることや,既存薬を超える優位性が必要になってきたこと,副作用への警戒などからさらにハードルは上がっているらしい。三つの新薬を世に送り出した伝説の研究者による講演が,時代遅れもいいところの期待外れだったというエピソードが印象的だった。 -
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今や何するのもリスク、リスク、リスク。対策、対策、対策と。
世の中息苦しい。
そしてリスクは、誰かが口に出した途端、抗し難い強制力を持つ。しかし、それが定量化されてない以上しょうがない側面もある。
本著ではリスクはまず、「あるのかないのか」(定性)、「ある場合はどの程度のものか)(定量)を判断し、そして「ある場合」においても、その確率と影響度合いについての見極めが必要というお話を展開する。
もう確かに仰る通り。
(でもその定量化が難しいんだけどね)
そして我々がどのようにリスクを見誤る傾向があるかについて、本著で触れている。これは是非必読レベルなんでオススメしたい。きっと時間とか金とか、そ -
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確証バイアスについて知りたかったので、ネットで検索したところ本書がヒットした。内容的には少しずれるような気がしたが面白そうだったので読んでみた。
人はなぜリスクを読み間違えるのかというテーマのところで、確証バイアスが出てくる。
確証バイアスとは、本書でも引用されているユリウス・カエサルの言葉「人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。多くの人は、見たいと欲する現実しか見ようとしないものだ」に集約されていると思う。
また、孔子の「学びて思わざれば則ち罔し、思いて学ばざれば則ち殆し」という論語の一節を引用している。
つまり、「正しい知識を身につけた上で、考えろ」ということだが、
この正 -
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はじめに
第1章 人はなぜ、リスクを読み間違えるのか
第2章 「天然」大好き、「化学」は大嫌い……の罠(――真実はグレーの中に)
第3章 ゼロリスク症候群という罠――メタミドホス禍から学ぶ
第4章 「発がん」の恐怖――という罠
第5章 「狂った油」「血液ドロドロ」の罠――トランス脂肪酸について、ひと言
第6章 善意の砂糖玉・ホメオパシー――代替医療(疑似科学)の罠
第7章 「改めまして、放射能基礎講座」――放射能の恐怖、という罠
おわりに
【ポイント】
7/現在,企業の花形部門といえばコンプライアンスを扱うCSR部だ。
しかし,これは本来,会社の利益を生み出す部門ではな -
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いい・悪いは別にして、近頃の自分の中のテーマが「懐疑主義」になりつつあるこの頃。
こういうテーマの本ばかりになってしまうのも仕方ない、と思いたいです。
思考が偏っているとは言いたくない不思議。
・「リスク」という概念と、それがいかに正しく評価されないか
・「天然」と「人工」のイメージ格差
・放射能に関する基礎知識とリスクの考え方
ざっくりまとめると以上のような内容が記されています。
科学者の方の目線であるため、数字や化学知識が多く出てきて、私のような文系人間には難しいです。
しかしそれを差し置いても、色眼鏡をかけないで物事を評価する姿勢が真摯に伝わってくるために、がんばって読み進めようとい -
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リスクの読み違えは確かに自分もしている。
天然物至上主義は根本的に誤った認識。
そもそも人間に食べられるために生きている植物は一つもない。
むしろ食べられないために
様々な天然の毒物を作っている。
化学物質拒否も誤っている。
身の回りのもの全て化学物質。
人体も女性ホルモンや男性ホルモンなどなど発がん性物質を生産している。
発がん性物質はありふれている。
特定のものだけ忌避するより
バランスの良い食事を心がけたほうが賢明かもしれない。
中国食品の健康被害リスクは、
母数(輸入量)が多いので実際のリスクは
他の国に比べても高くない。
1万分の1のリスクは許容するように考えてはどうか。