佐藤健太郎(ライター)のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレビジネス新書なのに、泣けた。
例えば、「スタチン剤の生みの親、遠藤氏は自分の化合物が会社方針でつぶされかかったとき、社に無断で勝手に臨床試験を行うという恐ろしい「暴挙」に出ている。難病に苦しむ少女を救うためでもあり、安全性、有効性について確信があったからこそ試験に踏み切ったのであろうが、何か事故でもあれば間違いなく氏の首は飛んでいたところだろう。こうして自分の存在証明をかけてあらゆる障害と闘う人がいるからこそ、新薬は生まれるのだ」
研究者の最大のインセンティブは研究それ自体の喜びであり、患者を救いたいという強い思い、使命感だ。これは決してきれいごとではなく、研究に喜びを感じない人に対し -
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Posted by ブクログ
医薬品業界という産業は新薬を創りにくいものの、一つ一つの医薬が膨大な利益を生む観点から考えれば、非常に高収益でかつ不安定な業界特性だ。
膨大なR&Dを経て次々に登場する新薬から巨大な利益をあげ、世の景気に関わりなく右肩上がりの急成長を続けて来た医薬品業界が、本当にここに来て初めてつまずきを見せているのならば、この不可解な現象がなぜ起きたのか。医薬の進歩は本当に限界を迎えたのか。そしてこれから一体何が起こるのか、という論点を考えることは多分色んな面で今後役に立つと思う。
~“経営コンサルタント、証券会社のアナリストといった人々は、「クリティカルマス」「スケールメリット」などの言葉を -
Posted by ブクログ
おもしろかったですね〜!分かりやすくて読みやすいです。うんちくがふんだんで好みでした。
人類はずっと昔から病と共存していて、今の私たちはそれらの蓄積の上に、生きていることがよく実感できます。
直近ではコロナウイルスの流行がありましたが、あれから数年、気づけば以前の生活にすっかり戻っています。
今更ですが、それは本当にすごいことに感じました。世界中で蔓延しているということは、そこに投資することにまず正当性があったのだと思いますが、きっと個人単位ではこのウイルスをどうにかしようと思って、尽力してくれてたのだと思います。
コロナウイルスのピークの状況が具体的解決策となく続いていたとしたら、それは恐ろ -
Posted by ブクログ
最近、メディアやネットを通じての炎上も度を越した「過剰反応」、企業ではオーバーコンプライアンスというように「ゼロリスク志向」を目にすることが増えた。やりすぎで、本末転倒になったり、逆に同じ貉として加担してしまっているケースだ。善悪二元論で分かりやすく、正義を演じる快楽にも浸りながら、つまりは思考停止状態とも言えるのではないか。そんな危険性について、ゼロリスクこそリスクであるという逆説的な論調で痛快に皮肉っていくのが本著。
問題を起こした企業こそ、リスクマネジメントやCSR、コンプライアンスが金科玉条となり、それを優先していく傾向にあるが、それは間違えではないのだが、日本経済が長らく不況に苦し -
Posted by ブクログ
人類の歴史を作ってきた炭素化合物のはなし。炭素原子は電荷に偏りがなく4つの腕の結合を使って強固で長い結合を作れる。地球上に質量比0.08%しかないのに多彩な化合物を作り出した。
デンプン、砂糖、香辛料、グルタミン酸、ニコチン、カフェイン、尿酸、エタノール、ニトロ、石油...
人類の歴史は炭素の歴史だと感じる。
■人工甘味料
アセスルファム、アスパルテーム、スクラロース...甘味受容体と結合して脳に甘みを感じさせるゼロ低カロリー甘味料
■香辛料
カプサイシン(唐辛子)、ピペリン(胡椒)、ミリスチシン(ナツメグ)
■アルカロイド
植物が作る毒素。肉体は拒否するのに精神は欲してしまう。 -
Posted by ブクログ
炭素の歴史といえば、「火の発見/活用」による(食材の軟化で)脳の発達にはじまって
穀物栽培≒炭水化物食により定住、人口増加…。
大航海時代になると新世界植物、食物だけでなくタバコや酩酊草、ゴム…火薬の威力により植民地支配…/近代化学の定量分析で分子構成の一部解明…/
1856年、リン酸肥料確保の必要からアメリカは「グアノ島法」を成立させ、グアノ=海鳥糞のある島に領有をアメリカ人誰でも宣言可とした→ウェーク島やミドウェー島領有。
1898年、英国科学アカデミー会長就任のクルックスは「文明は窒素肥料枯渇で衰退」と宣言→空中窒素固定法開発を促した。それは成功したが、高性能火薬や毒ガスも開発 -
Posted by ブクログ
炭素が主役なので、元素や化学がメインの話かと思いきや、どちらかと言うと、文化史。勿論、炭素を切り口として、人類がどのように社会を発展させてきたのかという内容で分かりやすく面白い。
スタートから説明が易しい。素人向きだ。
元素と元素が互いに結びつき、化合物と言うものを作る。紙ならばセルロース、食肉ならばアクチンとミオシン、衣服ならばナイロンやポリエステルといったように、身の回りのものは全てこの化合物の集まり。
中でも木材や皮膚、絹糸などの物質は有機化合物と呼ばれる。有機とは生命力が生み出したと言う意味。現在では有機化合物と言う言葉は、炭素を基本とした化合物と言う意味合いで用いられている。そ -
Posted by ブクログ
地表における元素存在比0.08%の炭素が成り立たせる生命の世界。
我々の生活を支え、文明・文化のあり方に深く影響を与える物質を化学的視点から考察。
◯炭素が本領を発揮するのは、「化合物を作る」段階だ。今までに天然から発見された、あるいは化学者たちが人工的に作り出した化合物は7千万以上にも及ぶが、これのうち炭素を含むものはそのほぼ8割を占める。
・エネルギー源のグルコース、貯蔵形態としてのデンプン
・様々な化学構造で甘味を感じる不思議
・肉食、保存用途があった頃の香辛料の重要性。農業発達・冷凍技術で嗜好品化。唐辛子のカプサイシンは16世紀にアジアにもたらされて食文化を形成。発酵文化、新鮮