金ひかるのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ主人公は、平凡な会社員である一実。
彼は実は、人には言えない秘密を持っている。
それは、高校時代の友人と便宜上で呼んでいる2人から、抱かれ続けている事である。
大学を卒業後も大学院に進み、そのまま大学に残り研究を続けている理知的な英章。
傍若無人だけれども、やる事はきちんとやる大企業の御曹司・克彦。
そんな才能溢れる人間がどうして、自分を抱くのかと疑問を覚えながらも自らその関係を断ち切ることもできず、ただただ流されていくだけの一実。
2人の執着の理由がわからないまま月日は流れ、体の関係だけはズルズルと続き、 3人は28才になっていた。
そんなある日、 1ヵ月の海外での仕事を終え戻ってきた克彦に、改まった話がしたいので、3人で克彦の持つ別荘に行こうと誘われる。
英章に異論がない以上、一実はいつもの通り2人の決定に従うしかなく、翌日、克彦の車で別荘へと向かった。
一実はそこで2人から別れ話を告げられるのだとてっきり思っていたのだが、それどころか、 2人はもう一実を共有したくないので、自分を選んで欲しいと言ってきた。
終りになることを覚悟していても、まさか自分がどちらか一方を選ばないといけない日が来るなんて想像していなかった一実は困惑する。
そして、一実の出した結論は……
という話でした。
結局のところ一実は、実は頑固な一面を持っていてその一面を存分に発揮して、どちらも選べないからどちらも手を離してほしいという結論を出します。
すると、手を離すよりは共有する方がいいと考えた他の2人が折れてハッピーエンド?
今まで通りの関係で行こうという結論に落ち着きます。
いわゆる三つ巴話ですね。
個人的には、あんまり三つ巴話好きじゃないんですけど、これはまだ共有する側の人間がどっちかを選んで欲しいと言い出しただけ、ましな部類に入ると思います。
それすらもしないしそれでいいよね的なのが続くのはさすがにちょっとあんまり好きじゃありません。
というわけで、三つ巴話が好きな人にはお勧めします。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ一穂さん作品群の中で特に好きかと言えばそうでもないけれど、嫌いかと言われれば全然そんなことはないという感じ。
大学に入学したばかりの4月、これから出会うすべてのものへの期待、恐れ。それら全部で、つい体が浮き足立ってしまうような季節。塁は突然知らない誰かに『ヒカリ』と呼び止められる。もちろん自分は『ヒカリ』なんぞではなく、きょとんとする塁に人違いだったと謝ってきた男。自分と同じ新入生の槙志だった。見た目通り浮ついたところのない誠実な人柄の槙志と塁は本来の気安さを最大限に発揮してすぐに打ち解ける。
塁は『ヒカリ』に似ているのだという。人違いだと頭ではわかっているのに、つい声をかけずにはいられなかった、あの切羽詰まった感じが塁はいつまでも忘れられない。何事にも慎重で落ち着いた槙志に似合わないと思ったから。
気になって気になって、それが単なる好奇心なのか、いっそ自分が『ヒカリ』の代わりになりたいのか、塁はだんだんわからなくなる。いつまでも槙志の心の一部を占めている『ヒカリ』
知りたくて仕方ないのに、でも本当は何も知りたくないような、ひとりで空回る気持ち。
そして何の前触れも言葉もない、突然のキス。
えっ何いまの…と戸惑いながらも、塁の気持ちはごくごく自然に恋愛感情にシフトしていく。
そしてようやく明かされる『ヒカリ』の秘密。
外見のしっかり者っぽいイメージの下に隠されていたナイーブで怖がりな槙志。
男と付き合った経験こそ皆無だけれど、そんな槙志への気持ちを募らせていく塁。
素直に高まる気持ちをぶつける自分とは対照的にどこか理性的な槙志につい焦れったくなってしまう。
かみ合わないことが、さらなる焦りを生んでお互い誤ってばかり。こんなことになるくらいなら、好きだけど元の友達に戻ろうと告げる槙志。
こういう展開デタ━━(゚∀゚)━━!!!
慎重で臆病で相手を想うあまり、かえって相手の気持ちを置き去りにしてしまうパターン。
槙志の過去を思えば致し方ないと頭ではちゃんとわかっているはずのに、心が納得できなくてついていけない。
最終的には塁の屈託のなさが、臆病な槙志の心を融かすから、まぁいっか、なのだけどさ。
とにかく塁が嫌みのない、健やかないい子だった。あのご両親あっての塁なのだと強く思う。
槙志も表面的にはしっかり者でそつがないのに、内面に脆さを持っている、そのギャップ感が、塁とは対照的でまた良かった。
一穂さんにはめずらしめの等身大の大学生のモダモダ恋愛してる感じが新鮮で悪くなかったけども、だからこそ尚更『イマジナリーフレンド』なんて特異な設定じゃなくてもよかったんじゃないかな~とも思った。