学研教育出版のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「とっかえべえ」
どこから来たのかこの男。薄汚れたはんてんに、大きな樽をぶら下げて、あっちへふらり、こっちへふらり、そこで叫んだこの男、「とっかえべえ」。
頼んできたのは市井の人々、大男には「とっかえべえ」、奥方様にも「とっかえべえ」。
さてさてそのあと頼んできたのは小さな童。
母を想ってとっかえべえ、父と我が身を変えとくれ。
健気で優しいわらしゃんど。
一回限りのとっかえべえ。
親子の愛はとっかえねえ。
とっかえとっかえとっかえべえ。叶えられるのは一度きり。
とっかえとっかえとっかえべえ。
「高価な魚釣り」
私の弟は魚釣りが好きで、よくルアーや雑誌などをプレゼントしたものだ。
そしてそれら -
Posted by ブクログ
面白いという感情には、えてして黒いものが含まれているものだ。
普段は気づかないし、気付きようもないけれど、人間の心がいかに複雑なものかわかろうというもの。
だて、私の感情にはどんな黒いものが含まれているだろうか?
「神父と死刑囚」
カトリックが多いイタリアのイメージで読んだ。
神父の黒い服がどうしても「あの」イメージとつながる。
希望とは儚いもの。
されどたったそれだけで人生を変えられるもの。
どんな結末であっても、希望を持ち続けていた方が人生は楽しく幸せに違いない。
「あたま山」
古典落語の名作だ。
読めば読むほど、エッシャーの世界のような「ありえない世界」に迷い込む。
そういえば小さい -
Posted by ブクログ
熱帯夜が続く毎日。
短夜とはいえ、寝苦しくてたまらない。
夜中にふと目が覚め、小さな明かりを灯して本を開いてみよう。
伸びる影が背後で笑っている。
超有名な作品、「猿の手」。
これの怖さは、大事なものと引き換えに何かを失う、ということはもちろんだが、それ以上にいくら大事なものであっても「元のまま」でなければ何の価値もないことに気づかされるところにある。
イザナギが伊弉冉姿を見た時のように、「死」は絶対的なものなのだ。
「たどり着けない星」
痛烈な風刺の効いた作品。
星新一の作品かと思ったが、クレジットがなかったので別物なのだろう。
しかし、この手の風刺というのは決して珍しい話の展開ではない -
Posted by ブクログ
古今東西の名作達を短くまとめた本書。
どれもこれも、こんな結末になるとは、というものばかり。
児童書の棚にあるからといって読み飛ばしてはもったいない。
『100ドルを借りにきた男』
これはオープニングにふさわしい。
人を傷付けない、ユーモア溢れる作品。
なぜこの男はたった100ドルを借りにきたのか?
男の担保に注目。
『神様の病気』
悲しみを微笑みに変える物語。
子供の言葉に勇気づけられる。
子供は純粋であるからこそ残酷な面も持ち合わせているが、それがまさに表裏一体だと感じさせる。
『犯行動機』『任務』はそれぞれ法廷での物語。
特に後者はやり手がはまるワナをブラックな笑いにしている。