神田橋條治のレビュー一覧
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ネタバレ神田橋先生の、年に一度の九大医学部講義の記録。
医学部生に向けたものだけど、対人援助職の人でもジーンときたり、悶々と考えさせられたりする内容なのかなと思った。
鬼のように厳しい方なんだろうけど、人への向き合い方が何て素敵なんだろうと思った。
・精神療法とは広い意味で「自助の能力を本人の中に育てる」ということ。育てられた自助の能力が本人の自然治癒力と共同して大過なく生きていけること。
・うつ病になりやすい脳は生きがいを求める脳であるということがだんだんわかってきた。その人の性格がそうなの。
・修復活動の先端にあるのは、宗教と哲学の興隆であるように思う(2013)。 -
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2008年から始まった創元社セミナー「かしまえりこのスクールカウンセリング・ケースカンファレンス」の宿泊研修で、著者の一人神田橋條治が受講者の質問に答えるかたちで語った助言の数々を、セミナー講師であるかしまえりこが「カウンセリングの技法」「治療論」「問題とされる行動」「発達の課題」「医療と薬」などテーマごとに分類し、それぞれの言葉によって連想される現場からの考察を解説として追加し、まとめたもの。
卓越した治療観と臨床技法、子どもたちやその家族、教師に対する深い洞察が、学校という現場でこころの支援に携わる人たちに向けてやさしい言葉で語られる。そしてそれらの言葉を、まずは「こころの臨床」全般から広 -
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ネタバレ名人芸といわれるけど、ほんとに仙人、魔法使い、超能力者、この方々にはいったい何が見えているんだろう。
心より言葉より体。わかったわけではないけど面白くてどんどん読み進められた。
・クライエントは治らなくても治療者は治る
・心理療法の根源にあるのはエンカウンターである
・人生は学問とか業績とかじゃないんだなということです。納得、自分の人生に納得することがいちばん大事なんだと、その先生から教わった気が僕はしていています。(村山)
・体の軸についてこの頃考えているのですが、おそらくそういうものが、その不調を調整できるようになると、それにつれて「心」も変わってくる。(成瀬) -
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P:364 推定文字数:349440(20行×48字×P) 抜き書き:21988字 感想:2653字 付箋数:48
(対ページ付箋:12.63%、対文字抜き書き:6.29%、対抜き書き感想:12.06%)
※付随して読みたい本
登校拒否児への援助 稲垣卓
精神症状の把握と理解 原田憲一
大脳疾患の精神医学―神経精神医学からみえるもの 三好功峰
「現場からの治療論」という物語(岩崎学術出版)
スクールカンセリングモデル100例(創元社)
うつ病治療―現場の工夫より(メディカルレビュー社)
中井久夫の著書の中で、「芸術療法を言葉でやる」と発言するなど伝説的な精神科医の神田橋先生。幾つか著書を -
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もっと早く出会っていれば良かった。
事例研究もここまで集めれば凄い。
本書の中でも「家庭訪問」と「躁うつ体質」に関する記述はとても参考になった。
振り返ってみれば,「躁うつ体質」ではないかと思われる事例は少なくない気がする。これまでそういう事例は自分としては理解が難しかったので,こう考えることで少し視野が広がった気がする。
また,身体の動きに着目して,動作法的な介入をしている事例がいくつか掲載されていたが,このような見立てと介入も未知の領域だった。自分にはまだそういうことは出来なさそうだが,こういう切り口もあるのだと参考になった。
他にも,医師に診断の修正を進言するあたりは少々驚いた。 -
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ICD11にてあらためて再評価された「複雑性PTSD」。精神医療を当たり前に出来るようにされている原田先生が座長?として、4人の精神科医の座談会とそれを補強する形で、エッセイを寄稿され、最後に原田先生の「複雑性PTSD」に対する考え方の変遷や現在の治療について述べられたものである。座談会はPTSD研究の第一人者である飛鳥井先生、稀代の先進療法家、神田橋先生、ACTから最近はODで有名な高木先生と多士済々のタレントをそろえての対談本でつまらないはずがない。まず飛鳥井先生から「型」の話があり、神田橋先生より「型」崩しの話、神田橋先生からコモンセンスサイキアトリーと言われる高木先生の意外?と基本的な
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神田橋先生の割と新しい本です。25年間の講義録集で、その後の著作になる前の発想集と著者も言われているが、原酒のような味わいがある。これまでの著者の著作の変遷が時代の変化とともにわかる作りになっている。そのため後半は漢方、整体、鍼灸の話になっていくが。この辺りは今一つ今でも理解できにくいところではある。前半部分は精神療法の関わりの基礎の部分を述べられており、改めて基本に立ち返らせる気分になる。印象に残っているのは、「痴呆」老人への対応で、「相手の人と自分とが過ごした関係とその時間が、まず自分にとって価値のある過ごし方だったと感じられることが、何より第一です。その上で、その同じ関係と時間が、相手の