あらゆる臨床家に進めることのできる精神療法の指南書。
しかも引用や事例が豊富で飽きさせずきわめてリーダブル。
僭越ながら、著者にはもともとは精神療法のセンスが乏しい。しかし、だからこそどのように精神療法的に患者に関わるか、粘り強く修練を重ね、自ら得たもの、気づいたことを丁寧に後進に伝えてくれている
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それゆえこの本はすべての臨床家に役立つものとなっているのである。
最後の高木俊介との誌上討論は、いろいろなことを考えさせられる。
学びの材料にするにしても、他の医者の自死に終わった事例について、オレならこんなふうに治療をした、と論じる原田の神経は私には理解できない。
とはいえ、原田の臨床眼とその手法には見るべきものがあり、その主張にはたしかに一理ある。しかし一理しかない。
個人的には、高木の応答は読みごたえがあり、胸に迫るものがあった。