あらすじ
著者は,精神療法の最も重要な因子をロジャーズの中核三条件「受容-無条件の積極的関心,共感的理解,一致」と解し,日常臨床において,認知行動療法(CBT)を適宜活用した効果的心理療法を実施している。本書はその臨床経験に裏打ちされた,このうえもなく実践的な臨床指導書である。
理論編においては,神田橋條治,宮内勝,土居健郎,成田善弘,村瀬嘉代子ら先達の技法論を引用しながら自説を展開し,臨床応用編では,初回面接,見立て,治療のゆきづまりなど具体的場面での対処,さまざまな精神疾患への臨床応用までを詳述している。読者は,これら理論的記述と症例検討をたどることで,自らの心理面接技術を着実に向上させることが出来るであろう。
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Posted by ブクログ
さすがの原田先生。日常臨床で認知行動療法を無理なく活かすためのヒントが日常語とともに記載されており、改めて自身の臨床をブラッシュアップしようと考えることが出来ました。
Posted by ブクログ
あらゆる臨床家に進めることのできる精神療法の指南書。
しかも引用や事例が豊富で飽きさせずきわめてリーダブル。
僭越ながら、著者にはもともとは精神療法のセンスが乏しい。しかし、だからこそどのように精神療法的に患者に関わるか、粘り強く修練を重ね、自ら得たもの、気づいたことを丁寧に後進に伝えてくれている。
それゆえこの本はすべての臨床家に役立つものとなっているのである。
最後の高木俊介との誌上討論は、いろいろなことを考えさせられる。
学びの材料にするにしても、他の医者の自死に終わった事例について、オレならこんなふうに治療をした、と論じる原田の神経は私には理解できない。
とはいえ、原田の臨床眼とその手法には見るべきものがあり、その主張にはたしかに一理ある。しかし一理しかない。
個人的には、高木の応答は読みごたえがあり、胸に迫るものがあった。