竹内真のレビュー一覧
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ネタバレ〇 概要
銀座にある文壇バー「ミューズ」には,大御所ミステリ作家の辻堂珊瑚朗,藤沢敬五といった面々が現れる。彼らは,さまざまな謎や事件について,鮮やかに推理する名探偵でもあった。ボーイである了の目を通して描かれる日常の謎系の短編ミステリ集。「シチュエーションパズルの攻防」の続編
〇 総合評価 ★★★☆☆
全編を通した謎はないものの,全編を通じ「海無し県殺人事件」のバラエティー連動企画の映像化という軸が存在する。その軸をベースに,いわゆる,日常の謎といった謎と解決が示される。
前作以上に辻堂珊瑚朗のライバル,藤沢敬五が頻繁に登場する。二人で会話を進める中で謎解きが進むという展開が多い。
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ネタバレ東天高校の文化祭を舞台とした青春ミステリ。青春ミステリといっても,ミステリとしての側面は弱めで,この作品の主たる謎は,「DJネガポジ」の正体は誰か?という部分である。
青春ミステリの「青春」の側面は,盛りだくさんである。野球部の元エースである山則之の斉藤優里への恋心,自分の投げたボールで壊れた大時計を改めて動かそうというチャレンジ,東天高校の文化祭の各種イベント,そしてこれらを盛り上げるDJネガポジによるラジオ放送…。すっかりおっさんになってしまった社会人にとっては,完全なるフィクションの世界として,気楽に楽しむことができた。こういう作品を,高校生時代に読んでいると,作品に登場する主人公, -
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仕事が変わってちょっと本を読むスピードが落ちた。
この本はランキングを物色して、皆さんの評判が良さげだったので買ってみた。
夫が失踪し離婚が成立したのを機に、学校司書として働きはじめた詩織。元々本好きなこともあり、丁寧な引継ぎ書を残してくれた前任者を探し訪ねたり、生徒が持ってきた本のことを調べたりする内に、司書の仕事にやりがいを覚えるようになって…というお話。
お話の中で色々な本が紹介され、本を読みながら他の本を読みたくなったりする。
出てくる人は皆善意の人々で、お話もうまいこと進んで、全体に些か薄味な感じはするものの、それでも最後のブックトークは生徒たちの心情が伝わってきて、なかなか良かった -
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夫が失踪し独身になった詩織さん30歳が高校の図書室のなんちゃって司書になって。。。。というお話。
図書委員の高校生たちや校長先生、前任の学校司書など魅力的な人々が登場します。そして高校生たちの中で行われるブックトーク活動。その中で様々な本が紹介されて行きます。
ただ、多くの要素を込めすぎ、全体の印象が希薄です。竹内さんの「本の紹介」を物語化することを目的にしたような、ストーリーより本の紹介の方に力が入って居る感じがします。さらには主人公の詩織さんの持つ特殊能力などと言うものも混ざりこんで。これは無くても良かったんじゃないかな。
もっと紹介本を絞り込んで、その分ストーリーをしっかり描き込めば、も -
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ネタバレ竹内真という名前は聞いたことがなかったが,本屋さんでたまたま見つけて,裏表紙に載っている解説を見て購入した作品。5つの収録作品からなる短編集。登場人物などは共通だが,北森鴻の共犯マジックや,若竹七海のぼくのミステリな日常のように,全ての短編を通した謎が存在するわけではない。いわゆる,日常の謎系のミステリであり,探偵役は,辻堂珊瑚朗というミステリ作家である。銀座に辻堂珊瑚朗やライバル作家である藤沢敬五が訪れるバーが存在し,主人公は,そのバーのママである佐貴ミーコの甥である大学生。バーに務めるホステスが目撃する拉致事件の真相を辻堂珊瑚朗が推理する話(1話:クロロホルムの厩火事),銀座の伝説となって
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戦後をジャズトランペッターとして自由奔放に生きた祖父は、何処か「東京バンドワゴン」の我南人を思わせます。
600ページ近い長い物語は、祖父から3人の孫たちに生前に形見分けされた根付を通じて祖父の祖父の代まで遡り、5代にわたる家族の年代史であり、孫たちの10数年わたる成長記でもあります。
なかなか良い話なのですが、やや冗長感があります。
それは家族以外の人物造形がやや浅いこと、ミステリー仕立てで同じような推理が何度か語られることによるものと思います。
もう少し整理して、孫たちの周辺人物をきっちり造形できれば、もっと良い物語になったとちょっと残念。 -
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僕らが子供のころの移動手段は自転車だった。というかそれしかなかった。小学生低学年の頃の自分にはとなりの町に自転車で行くことすら「冒険」だった。
しかし、大人になるにつれてこの乗り物は「遠いもの」になっていく。私自身もそうだった。
この「自転車少年記」は自転車に乗っていた頃の「子供心」をいつまでも持ち続けて大人になっていく人たちの物語だ。
一般的には「大人」と「子供」対比は「子供」に軍配があがるに違いない。なぜならば、大人になると責任や人間関係などが重くなり、子供の「無邪気さ」がいっそう尊く感じられるからではないかと思う。
でも、この物語は大人になることが楽しいと思わ