木村泰司のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
前半は副題の「近代絵画の軌跡」のほうが内容を表していたように感じる。印象派が当時の保守的なアカデミーの芸術観に対して何がすごくて、浮世絵とかのジャポニスムもどう影響を与えたのかという初歩的なことからピサロらをはじめとした個別の画家をテンポよく紹介して印象派入門としても使える。
中盤以降はゴッホとゴーギャンの関係を軸に2人の伝記パートで、作品解説は少ないが短いコメントも的確で満足できる。最初期のバロック的なゴッホの作品や象徴主義とゴーギャンの関係なんかは知らなかったので勉強になった。いわゆる日本人のイメージする近代絵画史のトロの部分を味わえる本。 -
Posted by ブクログ
ゴッホの激動の人生が見える伝記
最愛の弟、テオとの関係に時折涙が出そうになった。
癇癪持ちで、家族から距離を置かれてしまうようになっても兄を支え続けるテオとそれに答えようと悶えるゴッホ..
最期に弟を想い、自ら命をたった兄。
それに続くように亡くなる弟。
有名で精緻な表現をする偉人な反面、不器用なゴッホに同情せざるを得なかった。
家族構成や実は同じ誕生日、同じ名前の兄がいた事も衝撃。
たとえ僕の人生が負け戦であっても、僕は最期まで戦いたいんだ。
虫だって光が好きなのと嫌いなのと2通りあるんだ。人間だって同じだよ。
考えれば考えるほど、人を愛すること以上に芸術的なものはないということ -
Posted by ブクログ
なんと言っても、名画がカラーで載っている! これだけで買い。
西洋絵画の見方をやさしく教えてくれる。まず、絵画ジャンルのヒエラルキー。
歴史画>肖像画>風俗画>風景画>静物画
この歴史画の中に、宗教画と神話画・寓意画が含まれていて、2章を割いて解説がある。
この本を読む前に、古事記の本や神話についての本を読んでいたので、非常に興味深く読む事が出来た。
「モナ・リザはなぜ斜め前を向いているのか?」では、15世紀より前のイタリアでは、横向きの「側面像」が古代ローマを起源とする伝統的な描き方だったものが、経済発展でネーデルラントで起こった肖像画文化により「四分の三正面像 -
Posted by ブクログ
ネタバレ教養という単語にひかれて購入。
ビジネスエリートってデカデカとかかれると、別にグローバルな仕事をしていないのに意識高い系かと思われそう。
西洋美術はキリスト教と切っても切り離せない。
各国の宗教をめぐる対立や政治的な思惑と絡み合って複雑そう…と尻込みしていたけど、体系立てて書かれているので、理解しやすい。
絵がモノクロなものも多いが、世界でいちばん素敵な西洋美術の教室はフルカラーかつこれも古い時代からの作品から掲載されているので、カラーで絵を見て、これを読んで時代背景を理解するのがわかりやすくてオススメ。
●古代ギリシャ…アテネを中心とした美=善という考えの文化。ギリシャ神話の神々も美を好