木村泰司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
最近ビジネス書や自己啓発本を読む事が多く、内容もマンネリ化してきたため、毛色を変えて美術史に目を向けてみた。個人的に世界遺産が好きで資格も持っているが、美術に目を向けた事がなかったので本書を手にした。
[before]
特に美術に関しての知識や教養はなく、有名な人しか知らない上に、作品の背景についての知識も皆無であった。
[要約]
本書は、紀元前から現代までの社会の変化、文化、価値観、市民の変化を美術という観点で辿ってゆく。アルカイック、クラシック、ヘレニズムから始まり、ロマネスク、ゴシック、ルネサンス、バロック、フランス古典主義、ロココ、新古典主義、印象派と言うように各美術史の歴史の変遷を代表的な作品とともに理解する事ができるので純粋に教養が広がる。
一方、表題のビジネスに関する内容は一切ないため、単純な西洋美術史としての読み物である。
[after]
今まで絵画の背景について理解することはなかったが、本書を読んで、作品は見るものなく、読むものであるという言葉が自然と理解できた。階級や、社会、貧富の差など様々な要因が絵画にも浸透している事が容易に理解できた。イタリアから始まり、フランスやオランダ、アメリカまで広がる西洋美術史の深さ、面白さを十分に堪能できた。今後も教養を深め、絵画だけでなく世界の文化にも目を向けたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ欧米人にとって美術は感じるものではなく読むもの、というのは自分にとっては新鮮な視座で、発見と気付きの多い一冊でした。
これまで、世界史を勉強しているとちょいちょいコラム的に差し挟まれる文化史としてしか「美術史」を勉強する機会はなかったなぁ。
「美術史」という一教科として日本の教育の中で定着して欲しいと思いました。
(と言う意味で、本のタイトルが、中身に対してあまり適切でないと個人的には感じました…)
以下、印象的だったところ。
・「日本人は、どうしても美術を見るときに『感性』という言葉を口にしがちですが、美術を知ることは、その国の歴史や文化、価値観を学ぶことでもあるのです。」(p.3)
・プラトンの本名はアリストクレス。プラトンは肩幅が広いというあだ名(p.18)
・キリストを象徴する魚。「『イエス・キリスト、神の子、救世主』の頭文字を組み合わせると魚(ギリシャ語で『イクテュス』)となり、キリスト教が公認されるまでは、魚の図像がキリスト教徒の隠れシンボルとなっていた」(p.49)
・フランク王国で誕生したゴシック様式。「後にルネサンス時代のイタリア人が、軽蔑の意味を込めて『野蛮人(Goth/ゴート族)の様式』と呼んだことで生まれた不名誉な名称」だが、それを抜きに西洋の建築を語ることができないほど重要な形式。支柱、尖頭アーチ、天井の交差リブ穹窿が上昇感覚を高め、ステンドグラスから光が差し込む。「『光=神』という絶対的な価値観」(p.51-53)
・14世紀イタリアで興ったルネサンス。「美術家は、労働者的な職人という社会的地位から、文化人貴族的な地位へと徐々にその地位を向上させていきます。(中略)その人物の精神や知性が反映された作品が、『商品』ではなく『芸術品』と見なされるようになるのです。」(p.66-67)
・「15〜16世紀のネーデルラントは、経済的・政治的、そして文化的にも、美術史だけでなくヨーロッパ史において大変重要な地です。」(p.75)
・1517年ルターの宗教改革、カトリックvsプロテスタント→新たな宗教芸術・バロック美術。17世紀フランドル(南ネーデルラント≒ベルギー)の絵画王ルーベンスについて。「デザイナーがデザイン画を描くように、ルーベンスは油彩下絵(モデッロ)で絵画構想をまとめ、それを手本に助手たちが制作を担い、ルーベンスが最後の仕上げのタッチを加えたものが『ルーベンス作』と見なされたのです。現代におけるデザイナーズブランドの社長のような存在だったのが当時の大画家たち」(p.102-116)
・17世紀オランダの絵画ジャンルのヒエラルキー。歴史画>肖像画>風俗画>風景画>静物画(p.120)
・1789年フランス革命→1804年皇帝ナポレオン→ブルボン家ルイ18世→オルレアン家ルイ=フィリップ→1848年二月革命、1852年ルイ=ナポレオン・ボナパルト。美術界にも社会主義者の画家ギュスターヴ・クールベが登場。クールベは二月革命による第二共和制を支持した共和主義者であり、社会主義思想にも共鳴していた。「『私は天使を描くことはできない。なぜなら、私は天使など見たことがないからだ』と語ったとされる彼は、造形的には古典主義やロマン主義とも距離を置いた写実主義(レアリスム)の推進者でもありました。」(p.176-178)
・「戦後の日本における大衆化した成金的ブルジョワジーのことではありません。今や日本では絶滅寸前と言ってもよい、一部のエスタブリッシュメントに残っている古きよき時代の控えめなエレガントさを湛えたブルジョワジーです。」(p.216) -
Posted by ブクログ
2019年11月に日本で公開される英仏米合作映画『ゴッホ 永遠の門』を視聴する前提知識として読むことにした。
印象派の登場で大きく動いた西洋美術が20世紀に歩を進めるまでの道程を、特に後期印象派、ゴッホとゴーギャンを中心に紹介してゆく本。西洋美術史は大学時に一コマ受講していたが、大分忘れていたので助かった。
また、この本は美術史における技術的な面を解説する一方で、ゴッホとゴーギャンの人生そのものにも焦点を当てている。彼らが当時のフランス社会・フランス美術界にどう影響され、またどう影響を及ぼしたのかを、彼らの人生を基に紐解いてゆく記述はとても面白かった。
尾崎放哉然り太宰治然り、波乱万丈な芸術家気質の生き様は、歩みたくはないと同時に強く惹かれるものがある。幸不幸という価値判断を寄せ付けない、自分の命を燃やして眩しく輝く恒星のような生き方は、やっぱり読んでいて気持ちが良い。 -
Posted by ブクログ
子供の頃、たまに美術館に連れて行かれてまったく楽しくない記憶しかなかったのだが、自分も親の年齢に近づいてきて、何となく興味が出てきた所に、本屋でお勧め書籍として平積みされてたので、手にとってみたら、カラーで絵画の紹介がされていたので買ってしまった。過去に読んだ、『まなざしのレッスン』は、内容は良かったんだけど絵画が白黒で物足りなかった記憶があっただけに。
本書は、題名に「ビジネスエリート」とか、付けなくても良くね?って思う。売れる為のワーディングなんですかねぇ。確かに、美術の専門系の方達からすると当たり前の事が書かれているんだろうから、絵画について何も知らないし興味もそんなにないけど沢山存在してるサラリーマンをターゲットにするのは自然なことか…
この本は、至って普通のサラリーマンに対して、過去の名作たちが、何をメッセージしているのか、作者がどういう人生を送って、その絵の発注者がどういう人間だったか、そして絵の中に隠された秘密を教えてくれる。ただの絵として通りすがりの視界に入る物から、その絵が描かれた時代にまで想いを馳せる事が出来るようになれるのは有難い。
絵画のジャンルのヒエラルキーなども、そういう重みみたいなものと組み合わせてみると、確かにトップは歴史画だよね!とか、肖像画は、ほにゃららでみたいな感覚を少し付けられた気がする。
絵画ジャンルのヒエラルキー
歴史画
肖像画
風俗画
風景画
静物画
こういう本があって、過去の名作がなぜ名作と言われるのか?について技術的な話は少なめで、当時の時代背景から教えてもらって、旅行のガイドさんが必要な事が分かったw
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Posted by ブクログ
序章に、【「赤の他人の肖像画なんかを観て、何が楽しいんだろう」と感じる方もいることでしょう】とあります。まったくそう思っていた私ですが、この本を読んで、描かれた人の物語を知った今、肖像画を見る目が変わりそうです。
ヨーロッパの宮廷で行われてきた政略結婚、権謀術数、その背後にある愛とロマンなど、今でもお偉方の世界では行われてる駆け引きにも似た物語の数々、面白く読めました。
15人の女性が取り上げられていますが、麗しいポーズの裏で、野心に燃えていたり、運命に翻弄されたり、ジェットコースターのような人生を送っていた彼女たち。人生いろいろですねぇ。
新書だけども、絵の写真は良かったです。簡単なものでいいので、年表や地図がついていれば、さらに分かりやすいかな。 -
Posted by ブクログ
アン・ブーリン、エリザベス1世、メアリー・スチュアートや
ポンパドゥール夫人、マリー・アントワネットなど
中世、近世の13人の有名な女性。
彼女たち自身の肖像画と、
彼女たちの人生に深くかかわった人たちの肖像画が
カラーで紹介されます。
さらに、写実性は写真に譲り、美しいだけの肖像画を描いた
ヴィンター・ハルターが描いた貴婦人を紹介し、
最後に、写真で現代の女性、
ジャクリーン・ケネディ・オナシスのポートレートを紹介。
やっぱり絵は面白い。
肖像画に残された女性たちの人生も、それぞれに波乱万丈で興味深い。
個人的に、一番面白かったのは、エリザベス1世。
13歳のときに質素なドレスを着た可憐な少女だった彼女が
年齢を重ねて、権力を掌握するとともに
服装や背景が華麗に、豪華に、変貌していく。
ちりばめられた宝飾品、だんだん大きくなるドレス
そして、地図を踏み、地球儀を背にして、威厳を示す。
強大な大英帝国を統治するカリスマ性を
絵によって示すメディア戦術だ、と筆者は見る。
なるほど~
絵がカラーできれいなのが、とても嬉しい。