木村泰司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ外見の理想化ばかりしてモデルの内面を描くことができなかったことに対して、美術史でヴィンターハルターに厳しい評価が下るのは致し方ないのかもしれません。
「名画の言い分」の木村氏の最新刊。美術も歴史もどちらもお腹いっぱい堪能できる一冊だ。冒頭のヴィンターハルターは、あの有名なエリザベートの肖像画を描いた人。でも確かにこの絵は知っているけれど、ヴィンターハルターさんについてはあまり知られていない。肖像画を見る時、「眼光がすごい…」「怖そう!!」「わがままそうだもんね」など、つっこみを入れたくなるものだが、このエリザベートは、「すてき~」「きれい~」しか出てこない。一国の主たる者、そんなアイドルのプ -
Posted by ブクログ
なるほど、絵を見るにしても、その背景とか絵の中に隠れた意味を知った上で鑑賞するのでは、きっと記憶も違うと思った。
本の表紙を飾るのはフラゴナールの「ぶらんこ」。
制作された1767年当時、ぶらんこに乗ることは性行為を意味したそうで、片方の靴が脱げているのは、貞節の喪失を意味している。暗くて判りにくいがスカートの中を覗いているのが愛人。腕を立てているのは性的興奮を表している。ぶらんこの後ろで綱を引く初老の男性が彼女の夫。左上で口に指を立てているキューピットは「内緒」と囁き、娘の背後の童子は、事の成り行きを見守っていると、、、
そこまでは読みきれないな。
また知りすぎると逆に興ざめしてしまうところ -
Posted by ブクログ
ネタバレ・美術を知ることは、その国の歴史や文化、価値観を学ぶことでもあるのです。
・ギリシャ人にとって人間の姿は、この神から授かったものであり、美しい人間の姿は神々が喜ぶものと考えていました。「美=善」という信念・価値観があった。
・ギリシャの男性に兵役の義務があった。つまり、体を鍛えることはギリシャ人男性にとって必須であり、その結果、肉体の優秀性を競い合うことになった。
・古代ギリシャでは主に男性美を追求したギリシャ彫刻が発展する。
・ペロポネソス戦争以降、粛清が行われるなど恐怖政治がアテネを支配する中で、美術における嗜好はその反動から享楽的なものを求めるようになる。
・紀元前5世紀の崇高で荘重