斉藤悦則のレビュー一覧

  • 自由論

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    J.S.ミルの自由論は,学生時代からHarm Principleとの関係で注目して読んでましたが,岩波文庫の訳がなかなか読みにくくて文意がとれないところもありました。この新訳は,長々としたミルの文章を適宜分説するなどして読みやすく翻訳してあり,非常に新鮮な感じを受けました。ミルの大胆だけれども,いちいち頷かされる思想に存分に触れることができます。

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    2015年12月19日
  • 人口論

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    [人>>>食の図]等比級数的に駆け上がっていく人口数に対して、どれだけ尽力しても等差級数的にしか食糧の量は増加しない故、人口は一定数にとどまざるを得ないということを明確に指摘した古典的作品。マルクスを始めとする社会主義者から徹底的に嫌われる一方で、今日に至るまで影響力を有している一冊です。著者は、その名にちなんで「マルサス主義」という言葉も生まれたトマス・ロバート・マルサス。訳者は、フランスの社会主義者であるプルードンの研究で知られる斉藤悦則。


    名前とおおまかな内容は他の作品での引用中の言及などで知っていたのですが、改めてしっかりと内容を読んでみるとその説得力の強さに驚かされます。どうして

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    2015年02月17日
  • 自由論

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    宗教(主にキリスト教)の知識がほとんど無いので、そこについての記述はある程度割り切って流してしまったが、社会と個人という関係性についての名著であることに間違いはない。原著、岩波文庫版等を読んでいないのでどこまで”意訳”なのかが定かではないが、光文社古典新訳文庫の訳はとてもわかりやすく、かつメモしておきたくなるフレーズが非常に多い。

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    2014年12月18日
  • 人口論

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    マルサスの提示した有名な命題が、果たして今も有効であるか?ということについての議論が決着していないことは、その命題が提示した議題が現在進行形のそれである、と言える。

    産業革命以降、マルサスの命題はかろうじて破られてきているが、いよいよ食糧問題が危機的になるにつれて、改めてこの命題が輝きを放ち始めることになる。それが果たして幸せなことなのかは、分からない。

    この命題に対して明確な反論が出来ていないことに、我々は、もっと畏怖すべきではないのか?そう、これは未解決の問題なのだ。

    この新訳は、その読みやすさから、新たな読者が増えることが期待できることを併せると、意義深い出版だと信じる。

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    2014年07月27日
  • 自由論

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    ヘイトスピーチは言論の自由か?。それだけではないが自由についての古典を読まねばと手にとった。意外と具体例を挙げなから自由を述べているので、想像しやすい。また、文体はも平易。今、気になっている言論の自由についても一章が設けられている。自由について考察するときまずは読むべき一冊だと思う。(もっと早く読むべきだったかも)

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    2014年03月19日
  • 人口論

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    「人口は等比級数的に増加するが、食料は等差級数的しか増えない」のフレーズで有名なマルサスの古典的名著『人口論』。

    巻末の言葉が印象的だった。

    「この世に悪が存在するのは絶望を生むためではなく、行動を生むためである。」

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    2012年10月25日
  • 人口論

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    人口のこと調べるんなら、この本だよね~、的に某I氏に言われて読みました。
    内容としてはひたすら「人口は等比級数的に増加するけれど、食糧は等差級数的にしか増えない」、つまり人口は爆発的に増えるけど、食料はそんなに増えないから、結局養えないんだよね、そこで人口の増加はセーブされるんだよねって話をマルサスさんはしています。
    難しいことをいっているようで、データとか細かいことを言わないので、とても読みやすいです。人口論というより哲学チックなところも多い気がします。

    この本は1798年(本居宣長が古事記伝書いてた頃)に刊行されているんだけど、もう地球とかエコノミストっていう単語がでてくるあたりに感動し

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    2012年08月19日
  • 寛容論

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    都度に有名なヴォルテールの「寛容論」。
    内容はタイトル通り《寛容》を説くものである。ヴォルテールが生きた時代の知識や教養が無いと読み辛い個所が多々あるが…
    (注釈を読むだけでも結構苦労する)

    ヴォルテールの言う《寛容》は主に宗教上の対立であり、キリスト教のみを正しいとし、その中でも派閥間での争いが多々あることに対する戒めであったのだと思う。
    狂信的な信仰・不寛容が生む悲劇を憂い、信仰の異なる人々の間での和解なき闘争に心を痛めていたヴォルテールは、人が人を認め合う《寛容》な人間関係を深く望んだ。

    だが、ヴォルテールの《寛容》は、世界には多様な意見を持つ人々が存在することを認め、互いの違いを排

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    2025年10月18日
  • カンディード

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    人間が思う「正しさ」など幻想だ。そうでないならば、なぜ人間の欲望は直感的にその正しさに反するのだろうか。反するからこそ、誰かが暴走しないように約束事を決め、その遵法精神により「都合の良い正しさ」を人間社会共通の価値観にしているだけである。所詮、我々には我々の範囲で語り得る信仰を生きるしかないはずだ。

    私はこのように考えるが、この思考と響き合うはずの書がこのヴォルテールの『カンディード』。だが、単純な読み解きはできない。

    ライプニッツの「最善説」は、私にとってはカルヴァンによる「予定説」を想起させるもので、起こり得る事は〝人間の価値によらない“という類の思想である。人間にとっての幸も不幸も時

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    2025年10月05日
  • 自由論

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    原題 On Liberty 1859年発行

    世界史の教科書ではベンサムの次の典型的な「功利主義者」(お父さんがベンサムの盟友らしい)だが、著作はまったく読んだことがなかったので読んでみた。

    自分自身はリバタリアンだと思っているので、「元祖はこの人か」と感心する記述が満載だ。

    異論反論を言う言論の自由の重要性を主張するにあたり、攻撃の対象となる言説が間違っている場合に異論反論が価値があるのは当然として、正しい場合であっても、異論に耐えるプロセスを経ることで質が上がるため、歓迎すべきである、という説明は説得的だ。

    女性の権利に関しても、当時としては相当進歩的と思われる主張(男性と全く同

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    2025年08月09日
  • 寛容論

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    痛たましい事件を題材に、ヴォルテールがドラマチックに当時の歴史的出来事を描く。寛容性について深く考えさせる。

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    2025年07月22日
  • 自由論

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    この本を読んで、私は、驚かされた。
    何故なら、今の日本社会が悩まされている事に対して、200年前のイギリスのミルが同じ事で、頭を抱えていたからである。

    そして、彼の思想は、現代日本社会においても、通用する内容であり、彼の先進性が伺える。人間というのは、いつの時代でも、普遍的な者であると思わされた。

    人間は、自由である。他者に危害を加えない限りは、抑圧してはならないという考え方は、これからの人間関係において意識をしておきたい。

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    2025年03月29日
  • 自由論

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    学生時代に勉強のために読んだ本
    新訳で再読

    少数派の思想の中に真実の一部が含まれているかもしれない
    規制するのではなく意見を戦わせることで真理はより一層の真理に近づく

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    2024年11月02日
  • 人口論

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    ちょっと難しかったけど食糧からみる人口論、切り口が面白かった
    またもう少し知識を持ったら読んでみたい

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    2022年12月10日
  • カンディード

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    ライプニッツの最善説、カトリックに対する痛烈な皮肉だが、そうならざるを得ない苛烈な現実認識があり、その元となった「リスボン大震災に寄せる詩」も収録されている。
    カンディードは、どんな無体な現実の体験をしても、哲学の眼鏡を通してしか認識することができないが、最後になってようやく、目の前の畑を耕すことの方が重要である、と言う事実に気づくことになる。
    カンディードのあまりに過酷な経験に目を覆いたくなったり、キリスト教的な道徳や、救いの少ない結末に違和感を持つ読者もあるだろうが、それが、リスボンの大震災の経験に基づいている、と思うと日本人としては途端に親近感を覚えることも事実。

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    2022年03月14日
  • 人口論

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    社会の原理や問題点が200年前のそれに相通ずるものがあることを確認するとともに
    現在の我々においてはより人口内部の健全性をいかに保つかが重要であろう。

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    2021年10月25日
  • 自由論

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    「正当な理由なしに他人に害を与える行為は、いかなる種類のものであろうとも、周囲の人々の不快感によって、さらには周囲の人々の積極的な干渉によって、抑制されることが許される。
    もっと重大な場合には、その抑制は絶対に必要である」(P137)

    現在、リアリティ番組「テラスハウス」に出演していた木村花さんの死の原因がSNSによる誹謗中傷であるとして世間を騒がせている。
    自民党の三原じゅん子議員が座長として、自民党政務調査会にインターネット上の誹謗中傷・人権侵害等の対策PTが立ち上がり、法整備が検討されているが、詳細は発表されておらず、三原議員がTwitterで明らかに偏向的な発言に賛同するような考えを

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    2020年05月30日
  • 人口論

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    フランス革命直後に書かれ、当時の地球の人口は1億程度、農地拡大の限度が人口限界と看做されたが。現在、文明国では貧困層も肉食が普通となり、適切に配分されれば70億でも餓えることは無いはずで。マルクスの「労働者団結せよ」は大間違いであったが「生物は繁栄するほどより困難なボトルネックに直面する」と指摘したマルサスの正しさは否定できない。著者の言う「性欲は不変」は子孫繁栄願望だが、今日先進国各国は少子化で移民受け入れしないと人口を維持できない。予期しなかったが都市化の最大の問題は失業で良質の仕事が不足しているのだ

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    2019年03月25日
  • カンディード

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    バーンスタインがミュージカル化しているこの作品。ミュージカルは観てないけど、気になっていたので読んでみた。登場人物が皆悲惨な目にあってるのに結構あっけらかんとしていて、コメディタッチで読みやすい。途中で著者の私怨も盛り込まれていたりしてもう何でもあり。机上の空論より身体を動かして働こう、と登場人物たちがオプティミスティックな思想が最後リアリスティックになるのがなるほどと思った。途中で出てくる登場人物ですべてを批判する人、一般の人が美しいと思っているものに欠点を見つける人は、それを楽しめないことを楽しんでいる、と分析しているのはとても腑に落ちた。

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    2018年11月17日
  • 自由論

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    訳が素晴らしく読みやすかった。
    簡単な言葉で書かれているが立ち止まり考えてしまう本だった。
    今読んでも全然古くなく現代でも当てはまることばかりで驚いた。

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    2016年04月30日