斉藤悦則のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ古典派経済学を代表するイギリスの経済学者マルサスが著した本。
一般的に「マルサス主義」といわれる法則は大雑把にいえば『人口は、何の抑制もなければ、等比級数的に増加する。生活物資は等差級数的にしか増加しない』という一文にまとめられる。
豊かさこそ人口増加を引き起こす原因だと仮定し、貧民を適当に飢えさせることが長期的な社会の安定につながるとしたマルサスの論は現代において痛烈な批判の対象になりえる、しかし、それでもこの論が100年以上生き残ってきたのは他人と自分に優劣をつけ自らの優等性を確認し続けたいという人間の本性を捉えているからではないだろうか。 -
Posted by ブクログ
これは何だろう。議論が荒すぎてビックリ。
加えて、300ページ弱の紙面を費やしてこれか。
改良の余地があることと、無限に改良できることは違う、という命題の説明が9章で議論されていて、その命題自体の真偽はマルサスの言う通りだと思う。
(例えば、人間の平均身長はまだまだ伸びるだろうけど、火星までは届かない、といったレベルの話。非常に単純で、分かりやすい。)
他の章はともかく、この9章の内容はそれだけ分かりやすい内容であるだけに、筆者の議論の運び方、展開の仕方に目が集まる。
だが、たったこれだけのことにどれだけ似たような話を挙げて、先人を批判すればいいのか。自己擁護と他者攻撃が過剰すぎる。正直よく分からない他の章も、同じような論調なのだろう。
中盤、名前が出ないページがないと言っていいほどのゴドウィン氏批判も過剰の一言。救貧法も批判。ハリネズミ?
本書の主張としては、食料が増え方に比べて人口の増え方の方が急であるため、貧困が生じる。これは、特権階級からその他へ食料を分配しても状況の解決には至らない。食料配分の仕方によらず、食料が増えればその分人口も増えるため、常にどこかで貧困が生じる。貧困は神が与えた試練であり、試練を通して人間は精神上の優れた特質を獲得できる。
工業は農業と違って国を豊かにしない。と言っている辺りはさすがに時代が変わったなぁ。
最終盤の、神は試練を与えた、という部分はキリスト圏だなぁ、と思わされる。特に関心のない人から見れば、なんで神が議論に出てきたのか分からない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「人口は、何の抑制もしなければ等比級数的に増加するが、食料は等差級数的にしか増えない。」で有名な本です。人口と食糧の増加率の不均衡、つまり人口過剰は、貧困と悪徳(疫病や戦争等)によって均衡される、よって貧困は資本主義の欠陥などではなく、自然法則から発生するものであり不可避であるとしています。終章では、人口の原理は人々を苦しめるが、それはキリスト教的神による創造のプロセスにおいて必要な悪の成分の一つであるとしています。悪が存在するのは、絶望するためでなく行動するためで、我々は耐え忍ぶのではなくそれを無くすために努力することが神の意志の実現につながると結んでいます。
キリスト教ではない私には、神の創造プロセスや意志の実現にはピンとこないのですが、不可避である事に直面したとしても、絶望して佇むのではなく、行動する、というのには賛成です。
この本を読んだダーウィンが、生物全般に敷衍して考えて進化論の基本概念を導き出すのに役立ったというのも面白いです。