諸富徹のレビュー一覧
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簡単ななまとめ
情報技術の進歩とタックスヘイブンの登場によって、企業の利益や高所得者の所得への課税が困難になり、その穴埋めとして消費税等、移動制の低い税金に財源が傾斜しているのが昨今の情勢である。
グローバル企業は商標権など、妥当な金額で評価することの困難な無形資産を、租税回避地に所在する現地法人に低額で譲渡する。別の現地法人にはその無形資産の使用料を高額に設定してそれを費用に計上して、租税回避地ではない現地法人の税引前利益を少なくする手法をとる。
租税回避の解決策として 3 つの案が提案された。わかりやすく解説されていたのだが忘れてしまった。
また EU といった超国家的な統治機構が -
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昨今の(ときに安易な)脱成長、アンチ資本主義に一石を投じる。
日本企業は、モノ生産中心の産業構造からの転換(著者の言葉で言う資本主義の非物質主義的転回)に乗り遅れ、余剰資金を投資どころか配当に回し、蓄積を失った。
労働力への教育的投資も怠り、今や環境負荷を下げることもできずにいる。
重要なポイントと思うのは、類書(例えば「人新世の資本論」)などと異なり、この本の著者は、環境破壊や格差拡大は経済成長至上主義が原因という立場をとっていないこと。むしろ、正しい成長路線を採ることでこうした問題の解決に向けて踏み出せるとの立場。
その具体的な施策のキーワードが、「社会的投資」。もっと言えば人的投資 -
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ネタバレ以前、探究活動で「地域活性化」をテーマにいた生徒がいたので、こちらも少し調べておこうと思って購入した本です。ずいぶんと積ん読していました。
人口減少時代の都市は従前のように経済発展を前提としていてはもはや持続させることができません。税収減によるインフラの維持の困難や空き家問題など、さまざまな問題が生じます。しかし筆者はこの危機をチャンスととらえ、都市自身がエネルギー事業や鉄道事業など公益性の高い事業を自ら手がけることで財源を確保し、その収益を住民の福祉に役立てることや、緑地公園の整備など自然資本への投資を通して都市の魅力・価値を高めること、住民自治の涵養によりボトムアップ型の都市経営を目指すこ -
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いやー、なかなか面白かった!
市民革命などの歴史を、税制度に着目して考えたことないし、納税を権利だと考えたこともなかったし。(とはいえ、私の場合は別に納税に対してネガティブでもなかったけど)
あと、哲学的な話かと思いきや、意外にもグローバル税の話にも十分な紙幅を取って言及されていた感じだし、アトキンソンが言ってたような、最近の格差拡大と税金種別の割合の話などにも触れられていた。多国籍企業の税金対策などについても。金融取引税の話も興味深かったな。
あ、あと、世界の話だけでなく、ちょいちょい日本の現状にも触れられているのが良かった。
これだけいろいろ触れられていて、専門性もありながらも、一般 -
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[「られる」一辺倒の卒業]給与明細を見るたびに、なんとなく「取られている」と感じてしまう税金。そんな税金がどのような思想を背景として成立し、国民国家内に取り入れられてきたかを解説するとともに、「上からの税金」とは一線を画した考え方について提唱する一冊。著者は、京都大学で教鞭をとられ、財政学を専門とされている諸富徹。
税金というと複雑かつ難解という印象を受けますが、その成立を根本から整理してくれているので非常にわかりやすく、税を(良い意味で)身近なものとして感じられるようになるのではないでしょうか。特に、財政調達と政策達成という二つの手段が税に内包されていることを指摘しながら、ドイツやアメリ -
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ネタバレ本作ですが、かなり面白かったです。
税金の本ではあります。いわゆるGAFAなどのデジタル多国籍企業への課税をどのようにして可能にするか、というのが端的なお題目。
これを論ずるにあたって、本来の課税というのは国ごとに行われ、そしてPEという恒久的な施設があることを前提として収益に対して課税していたと。
ところが多国籍企業は重税を逃れるように本社を低税率国に移し、当初の国と移動先との国とで指導料とか、ブランド代とかintangibleな形のない財をやり取りして当該国での収益を低くし課税逃れに走るようになった。移動先の国では低税率で大儲け、当初の国では低収益で課税額も少ないと。また当初の国で経 -
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税の歴史と現在の税のあり方を概観するのにとてもよい本だと思います。
アメリカやイギリス、フランスでは、市民が権利を獲得していった経緯があるがゆえに、税金を権利(政府の方針を選んだり、予算の使い方に同意したりするための権利)と捉えている点は、初めて知りました。
それに対し、政府側が作った制度に則って政治が進められてきたドイツ、そして、そのドイツの制度を中心に取り入れた日本では、納税は義務と捉えられているわけですが、自分には、納税は義務(日本国憲法にもそうあるので)、という考えの方がしっくりきます。
が、民主主義のあり方を考えると、「権利」と捉える方が健全な気がします。
資産に課税するのか(