人口減少を迎える日本。それは都市の縮小を意味する。
この避けられない自体でどのように都市は適応すべきか?をといた本。
まず著者は人口減少の本格化を以下のように記述。
「日本社会はこれから少子高齢化する。
人口はますます減少する。2020年を境に加速する。2050年には1億人をきる。
大都市圏への人口は集中度があがる。東京都は総人口の10%。南関東全体でいくと30%になる。
あわせて高齢化も加速。2040年には全自治体の約半数が生産年齢人口(15−64)のほうが少数派になる
高齢化するのは人だけでなく深刻化する問題が社会資本の老齢化。
高度経済成長期に大規模な社会資本投資が実施されこれが耐用年数を超えてくる。2030年には半分の社会資本(道路、橋、河川、トンネル)が維持更新が必須になる。
現在、公共事業が6兆円。それとほぼ同額のコストが社会資本の維持に必要になる。つまり新規は不可能で維持でせいいっぱいになる。」
つまり、人口減少、高齢化、社会資本老齢化の3つが直撃し危機的になると予測。
それによって財政構造もおおきく影響を受ける。
まず過去20年の財政トレンドを以下のように紹介
「1995年と今を比べると、増えてるのが民生費(12-23%へ)。土木は15-7%へ減少。教育は21−17%へ。
過去20年の自治体財政で歳出を膨らませる最大の要因は高齢化に伴う社会関連経費。この傾向は継続するだろう。たほう、土木は一貫して削減されてきた。今後はこの状況を考えると社会資本の更新費用を確保するのはきわめて困難になる。」
で、さらに人口が減ることで都市の財政が
「
まず基幹税の一つである個人住民税(国税でいくと所得税)が減少する。さらに固定資産税や都市計画税も影響をうけるのに注意を。これらは土地や不動産の価格(評価額)に連動する。人口がどんとへると固定資産税と都市計画税は減少する。」
と。
一方で歳出に関しては扶助費が増加する。扶助費と高齢者や児童、低所得者、母子家庭などのほうで定められて支給される金銭的、現物によるサービスの給付を指す。
このような危機的な財政のなかでどうするか?
今後、人口減少、高齢化、社会資本の老朽化はさけられず、そうすると歳入は減り歳出は増えるがどう対処すべきか?
それは
「あれもこれも」から「あれかこれか」へ人口減少時代の都市経営はスタイルをかえる必要がある。
である。
投資とリターン(税収)の考え方をしないといけない。
都市財政をシステムループをかくといかになる。
都市財政ー(投資)ー>都市経済ー(税収)ー>都市財政
このシステム循環が重要で、何に投資して何の税収をあげるかを考えること
では都市は何に投資すべきか?物的要素への投資からひっ部室的要素への投資へ。
経済における利潤創出点は、工場や社会資本などの物的要素からソフト、デザイン、アイデアなどの非物質的要素へ。これらはすべて人からうまれる。
あたらしい投資対象はモノではなく人間。経済学用語でいう人的資本への投資。人間の創造性を伸ばすための教育や訓練に対して資金を手厚く配分するのが重要。
過去の歴史を振り返ってみても都市の財政、発展の歴史は参考になる。
資本主義の発展の歴史は都市の発展の歴史である。
もともとは自由放任な都市政策だったが諸問題が噴出。都市問題は自由放任では解決できないことがあきらかになりイギリスで都市社会主義が生まれる。都市のインフラ、交通を市有化、市営事業化し都市問題を解決する財源にしようと。
イギリスではフェビアン協会になり、日本では第7代大阪市長の関一が担う。
関一は、御堂筋を建設する。当時は6メートルの幅員が標準だった時代に一挙に44mに拡張。道路直下の地下空間には市営として初めての地下鉄を開業。並木をうえ、沿道の建築は100尺(30m)にそろえて景観も美しい街並みをつくった。国からの財源移譲ができなかったために、自らの財源確保に工夫をする。市営事業を育ててそこから生まれる料金収入で増収を確保。(しかし市営事業の稼ぎ頭であった電気供給業は戦争中の統制令のなかで国に没取されて大阪は電気供給という貴重な財源をうしなうことになった)
戦後では美濃部都政は課税自主権で国とたたかった。新財源構想研究会を理論的バックボーンとして実行に。この報告書は、税制が東京都の抱える都市問題と正面から取り組むように要求。それまでは税制は単に金をとるだけだったが、この研究会は社会問題の解決の役割を税でになおうとした。3つの都市問題で。
一つ目の都市問題は、集積の利益と集積の不利益。第二は都市への集積による外部不経済(たとえば環境問題)や混雑現象。問題の発生原因者に課税することで外部不経済を混雑を抑制すべしと。
これらの歴史的経緯を踏まえていまからわれわれはどうすべきか?
都市のコンパクト化。既存ストックの所有と利用の分離。自然資本への投資がポイントと。
来たるべき本格的な人口減少社会に対応可能な構造へ移行させること。この構造転換をしないと都市はやばい。
日本の現実の都市で進行する可能性が高いシナリオはスポンジ化。都市のおおきさそのものはさほどかわらずスカスカになる状態。
上手に縮退政策を行い縮退都市にしないといけない。
縮退政策の本質は、郊外の開発抑止と中心部への人口誘導で漢方薬のように時間をかけて徐々に都市を集約(コンパクト)していくこと。今後の日本の縮退都市政策は、1 この悪とかと矛盾する郊外開発促進政策 2、中心市街地における巨大再開発 3、採算性の見込めない安易な補助金スキーム の3つと手をきること。
うまくやってるのは富山市。ここでは、鉄道、ライトレール、バスなどの公共交通機関の充実が中核的要素。公共交通機関沿線への居住、引越しのインセンティブをつけてゆるやかに人口を移動させてコンパクト化。中心市街地に集中投資をして開発し地下をあげて税収をあげる。
人口減少が進むとは不動産と土地が過剰になる。資産価値の下落が常態化する時代。2033年には秋葉あ30%をこえる。そして大問題は所有者不明の土地が全国の私有地の2割に達していること。これは九州の面積をこえている。所有権を持っている人がわからないため適切な管理利用ができない状態がうまれる。ここに日本でも、米国中西部都市で利用していランドバンクの可能性がある。ランドバンクの最重要の仕事は空き家に関する情報をしっかり管理しDBを構築。所有者をつかむ。所有者不明や固定資産税滞納で差し押さえて空き家は所有権をランドバンクに移転。
これまで都市の自然資本ストックを維持するために開発規制をすることは経済成長にマイナスといわれてきた。結果として都市空間の経済的利用が優先。が、いまは違う。自然資本の維持と経済成長はトレードオフでhなあい。自然資本がおおいほど住宅価格は高くなることが証明されている。グリーンインフラストラクチャー。人口減少で開発圧力がよわまってるからこそ自然資本に投資をし都市間競争にかつ。
欧米でも急速な都市化のなかで、nyのセントラルパーク、ロンドンのリージェントパークをつくった。それによって固定資産税がふえた。ブルックリンではプロスペクトパークの隣接不動産は公園建設本格後に1.5倍になった。公園整備ー>良質な宅地開発ー>固定資産税アップのサイクル。
また水辺環境への近接が住宅価格決定の有力な要因であることも明らかに(山縣2007)
縮退都市化は、都市空間を物理的に縮小させることだけを意味しない。中心市街地と公共交通機関の沿線への居住を促すことで自動車依存から歩いて暮らせる街への転換。
持続可能な都市へ。
都市を持続可能にするとは、環境面だけではもはやない。人口減少での人口での持続可能性、地域経済などの経済の持続可能性、貧困格差などの社会的な持続可能性、社会資本の更新など社会資本の時速可能性もある。
人口は減るのはさけられない。大事なのは減るのを直視しないことと、適応しないこと。適応すれば生き残れる。それが拡大路線から縮退路線へ。
人口減少をむしろチャンスととらえてこの機会をまちづくりにプラスに働かせる。
目に見えないもの(拡張された社会資本)への財政資金の配分を費用とみなしてきたこれまでの発想からこれを投資とみなす発想へ。
中心市街地への投資で固定資産税をあげる政策。
欧米の都市では公園/緑地の整備が隣接する住宅の価値を引き上げてそれが固定資産税の増収を生み出すことがしられている。
国は巨額の財政赤字があるため国から金をもらうのはあきらめたほうがいい。関一のように自らで財源を生み出す工夫が必要だ。
ドイツでは地域経済循環を高めるために意識的に自治体産業政策がやられている。シュタットベルケはエネルギーの地産地消の仕組み。これで収益をあげてたまった富を公共交通や上下水道を通じて市民に還元。