諸富徹のレビュー一覧
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人文社会科学としての経済学が、「社会に対して果たせる役割」・「経済学の変遷とその背景にある各経済学者の課題認識」・「現在の諸課題に対する経済学の意味合い」という3つの柱から、大学に入って経済学を初めて学ぼうとする初学者をメインターゲットとして、アカデミックな語り口ながら極めて明快にまとめられている。
経済学の入門書という位置づけであるが、本書で一貫している著者の課題認識は、数学や統計学などの定量的技法を唯一社会科学の学問の中で有している経済学が、貧困や公平性、正義の問題などに目を背けた「冷たい科学」になっているのではないか、というものである。この課題認識は、アダム・スミスやマルクス、ケインズ -
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少し堅く言えば、租税を通して見た国家論です。扱っている範囲が近代の欧米、それも英米仏と独が中心なので、そういう意味での限界はあるでしょうが、現在の日本国民が考えなければいけない項目はキチンと提示されていると思います。バランス良く叙述しながら、これからの最大の課題である、国境を超えた金融取引と課税回避行為について、読者が前向きに考える材料を提供しています。
国家の役割と限界、グローバル化してゆく資本主義経済の制御、そのためのトービン税(金融取引税)など新たな税制の可能性、と書くとなんだかとっつきにくそうな印象を受けるでしょうが、大学教養課程程度、かつ、表現も平易で読みやすい本です。 -
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岩波のヒューマニティーズ・シリーズの経済学は、京都大学大学院経済学研究科准教授(環境経済学)の諸富徹(1968-)が担当。
【構成】
はじめに
1 社会認識の学としての経済学-経済学は社会の役に立つのか
2 経済学はどのようにして生まれたのか-そして、それはどのように発展を遂げたのか
3 経済学の未来はどうなるのか-または、経済学はこれから何を考えていくべきか
4 経済学を学ぶ意味とは何か-読者への期待を込めて
5 経済学を学ぶために何を読むべきか
おわりに
本書は、最新のマクロ経済学やミクロ経済学の概説ではなく、経済学史である。ケネー、スミス、リカード、マルクス、ピグー、ケインズ、シュン -
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税という社会の仕組み
2027年5月10日 初版第一刷発行
著者:諸富徹
ちくまプリマー新書
税金が政治論争の焦点になる中で、あまり自分自身が税そのものについて知識ないことに気づいた。一度基本的な所を勉強してみたかったので通読。欧米と日本の税金の歴史にさらっと触れたあと、個々の議論。
印象に残るのは、日本の税金システムは明治政府が税金システムを欧州から学び輸入したもので、国民が勝ち取ったものではないということ。自分を含めて納税意識が低いのは、歴史的なもののだと妙に納得してしまった。サラリーマン給料の源泉徴収システムはそれを助長している。
移転価格税制は仕事で時折聞くものの、あまり詳しくな -
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ネタバレ税金は、納税者が改善を求める権利を獲得するプロセス。納税は本来、権利である。
市民革命以降、発言のための権利のために税金を払うもの。
日本では、上から課されるもの=政府を選ぶ、という実感が持てない。
株主主権を徹底すると、タックスヘイブンを利用しない企業は、努力していない、と見なされる。リーマンショックで批判されて、納税を企業の社会的責任とする動きが出てきた。
王権神授説から社会契約説=国家と市民は契約によって国政という仕事を任せ、その対価として税金を払う。
かつては王家の財産で国民の面倒を見ていた。今は無産国家。国家にはなにもない。
税は権利か義務か。公共的仕事をして貰う権利がある。その -
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人口減少を迎える日本。それは都市の縮小を意味する。
この避けられない自体でどのように都市は適応すべきか?をといた本。
まず著者は人口減少の本格化を以下のように記述。
「日本社会はこれから少子高齢化する。
人口はますます減少する。2020年を境に加速する。2050年には1億人をきる。
大都市圏への人口は集中度があがる。東京都は総人口の10%。南関東全体でいくと30%になる。
あわせて高齢化も加速。2040年には全自治体の約半数が生産年齢人口(15−64)のほうが少数派になる
高齢化するのは人だけでなく深刻化する問題が社会資本の老齢化。
高度経済成長期に大規模な社会資本投資が実施されこれが耐用 -
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諸富徹『私たちはなぜ税金を納めるのか 租税の経済思想史』新潮社。市民革命以降の欧米の税制の思想史から税金と共同体の関わりを考える一冊。租税は国家が市民の生命財産を保護することの対価と考えたロック。参加し担うから「仕方なく払う」のではない。税制輸入した日本とは対極的だ。
財務危機が日常化する現在、単純な増税が決していいわけではない。税金を切り口に参加型民主主義を経済の側面から考察する上では、非常に刺激的な一冊。経済行為がやすやすと国境を越えていく現在、著者は租税に関しても国際的な規制(「世界国税庁」)をも視野に入れる。
ややもすれば感情論で扱いがちなやっかない「税」の問題を本書は、国家や市場 -
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環境問題の解決方策を論じるにあたり、経済学からのアプローチを採る。ただしリベラル的な思想背景が透けて見えるようだ。
後半はほとんどパットナムの研究を紹介しつつ、「市民ネットワークの強化」「地方分権」「アンチグローバルおよびアンチ私的資本」「所得再分配と環境税の政策ミックス」を、あるべき公共政策の原理であると匂わせている。
これでは、環境保全についての議論なのか、資本主義批判なのか市民運動の称揚なのかよくわからない。
嘉田知事のようなアンチグローバル、アンチ成長路線、アンチ私的資本という立場は、環境保全や市民の紐帯強化(これを「社会共通資本」とか「社会関係資本」とか綺麗な呼び方をするのだが)と理