【感想・ネタバレ】税という社会の仕組みのレビュー

あらすじ

税を納めたくない気持ちはどこからくるのだろう。税は使い道を選択し、払うことができるものだ。世界や日本の税制の歴史、問題点や展望を見つめ民主主義を実現するための税という仕組みを考える。 【目次】第1章 私たちはなぜ税金を納めるのか/第2章 税制の歴史的発展/第3章 日本の税制の発展史/第4章 これからの世界と税金/第5章 税金を私たちの手に取り戻す

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Posted by ブクログ

近く執筆する原稿で、日本は納税意識が低いということを書く予定であり、傍証となる材料を探していた。
この本の「上からの税制の副作用」の記述は、私の目的にピッタリ合致した。

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2025年09月14日

Posted by ブクログ

税金とは何か?取られるのか?支払うのか?読んでしっくりきた。国によって税金の考え方も歴史も違う。時代と共に変化してきた税金。読めば選挙にも興味が出るかも。

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2025年04月20日

Posted by ブクログ

税の歴史と現在の税のあり方を概観するのにとてもよい本だと思います。

アメリカやイギリス、フランスでは、市民が権利を獲得していった経緯があるがゆえに、税金を権利(政府の方針を選んだり、予算の使い方に同意したりするための権利)と捉えている点は、初めて知りました。

それに対し、政府側が作った制度に則って政治が進められてきたドイツ、そして、そのドイツの制度を中心に取り入れた日本では、納税は義務と捉えられているわけですが、自分には、納税は義務(日本国憲法にもそうあるので)、という考えの方がしっくりきます。
が、民主主義のあり方を考えると、「権利」と捉える方が健全な気がします。

資産に課税するのか(固定資産税のような税)、所得に課税するのか(いわゆる所得税)、あるいは、累進課税にするのか(たとえば所得税)、多くの国民に一様に課税するのか(たとえば消費税)、といった視点は、小中学校などの教育の場で、もっと丁寧に教えるべきことのように思いました。

ちなみに、著者は、どんな制度や思想の中にもメリットを見出し、それを紹介するスタイルをとっており(もちろん、デメリットも紹介しています)、好感のもてる文体でした。
決して簡単ではない内容を、平易な文章で説明している点でも、優れていると思います。
ただ、若干、表現が下手な部分があり、そういった部分は、わかりにくい、というか、誤解を生じやすくなっているのが残念ではありました。

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2024年12月28日

Posted by ブクログ

「納税は義務ではなく権利である」が肝になっているけど、市民革命のなかった日本では、どこまでいっても収奪されるだけのものとしか思えない。「公共サービスの対価」ってのは分かるけど、異議申し立ての機会が少なすぎるし、実効力にいたっては皆無だもんなぁ。
普通サービスに満足できなければ金は払わない。改善要求を突きつけ、改善がなされたなら払うけどね。とにかく払えだもんね。やっぱり収奪なんだよ。

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2024年09月01日

Posted by ブクログ

政治学における税制分野に関して踏み込むまでには食指が動かないが、入門書としての歴史的な前提と今後の向き合い方といった実感的な学習案内としては確かな出来で、機会をみて読み返したい。

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2024年07月28日

Posted by ブクログ

 
 社会科学、特に経済学には苦手意識を持ってきた。
それを払拭するきっかけを与えてくれたと断言まではできないが、経済の仕組みを税という観点から垣間見せてくれる。
 
 世界と日本の課税制度の歴史を概説しているが、納税という行為を通して、民主主義に参加し積極的に社会を支え、担って行こうという意識を持たせてくれる。

本書の論点は、「納税を義務と考えるのではなく、権利と考えるべきである」というものだ。

納税者がその使途に対して発言を行い、改善を求める「権利」を獲得するプロセスだと理解すべき(p16)
との主張が、個人的には新鮮で引き込まれた。

索引や参考文献表が備わっていないのが、残念である。

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2024年07月12日

Posted by ブクログ

税制の入門書としてとても分かりやすい。税の歴史を抑えつつ、納税者=主権者がどのような姿勢で政治に向き合うべきかを解説してくれている。

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2024年07月03日

Posted by ブクログ

税という社会の仕組み
2027年5月10日 初版第一刷発行
著者:諸富徹
ちくまプリマー新書

税金が政治論争の焦点になる中で、あまり自分自身が税そのものについて知識ないことに気づいた。一度基本的な所を勉強してみたかったので通読。欧米と日本の税金の歴史にさらっと触れたあと、個々の議論。

印象に残るのは、日本の税金システムは明治政府が税金システムを欧州から学び輸入したもので、国民が勝ち取ったものではないということ。自分を含めて納税意識が低いのは、歴史的なもののだと妙に納得してしまった。サラリーマン給料の源泉徴収システムはそれを助長している。

移転価格税制は仕事で時折聞くものの、あまり詳しくなく、この本で基礎から学べた。

税制はその時代を反映して変化し続けるもの。また、一国内で完結する時代は終わり初めていて、グローバル企業への課税議論から国際協調がトレンドを生む時代になっている。

自分が投票した政治家・政党が行った政策には、自分が払った税金が使われる。それをよくよく監視する事は、納税者として当然だし、必要な態度となる。

ちくまプリマー新書は入門書、初学者用の新書を中心に発行しているレーベルの様子。


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2025年08月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

税金は、納税者が改善を求める権利を獲得するプロセス。納税は本来、権利である。
市民革命以降、発言のための権利のために税金を払うもの。
日本では、上から課されるもの=政府を選ぶ、という実感が持てない。

株主主権を徹底すると、タックスヘイブンを利用しない企業は、努力していない、と見なされる。リーマンショックで批判されて、納税を企業の社会的責任とする動きが出てきた。

王権神授説から社会契約説=国家と市民は契約によって国政という仕事を任せ、その対価として税金を払う。
かつては王家の財産で国民の面倒を見ていた。今は無産国家。国家にはなにもない。
税は権利か義務か。公共的仕事をして貰う権利がある。その対価として払う権利がある。
ドイツでは納税は義務=国家が国民を保護するから。
日本では、憲法が天皇から与えられた欽定憲法として成立した。
租税義務説=日本、韓国、中国、ロシアなど。
アメリカ、フランス、スイスは義務ではなく、課税を政府の権利と表現している。

所得とは何か=所得とは収益だけでなく、資産の増加分も含む。
ピグーの厚生経済学では、累進課税が経済厚生を最大化することを証明した。
経済学では、効率的という基準はあっても、公平に対する基準はない。

自由落下の法則=ほっておくと格差は広がる。

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2024年08月01日

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