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所得税のフラット化,法人税率の引き下げ,タックス・ヘイブン利用による租税回避・・・.GAFAはじめ巨大多国籍企業が台頭する中,複雑化し,苛烈を極める「租税競争」.その巧妙な仕組みを解き明かし,対抗していくためにEU各国などの国際社会で模索が進む,旧来の国民国家税制と異なる新しい「課税主権」の在り方を展望する.
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Posted by ブクログ
簡単ななまとめ 情報技術の進歩とタックスヘイブンの登場によって、企業の利益や高所得者の所得への課税が困難になり、その穴埋めとして消費税等、移動制の低い税金に財源が傾斜しているのが昨今の情勢である。 グローバル企業は商標権など、妥当な金額で評価することの困難な無形資産を、租税回避地に所在する現地法...続きを読む人に低額で譲渡する。別の現地法人にはその無形資産の使用料を高額に設定してそれを費用に計上して、租税回避地ではない現地法人の税引前利益を少なくする手法をとる。 租税回避の解決策として 3 つの案が提案された。わかりやすく解説されていたのだが忘れてしまった。 また EU といった超国家的な統治機構がこの歪な状況の是正に一役買うことも期待されている。 感想 グローバル企業の租税回避的行動等によって、中低所得層が割を食っている現状を是正することは必要だろう。 しかし GAFAM 等大手テクノロジー企業や VC は貯め込んだ豊富な資金によって有力スタートアップに多額の資金を供給し、科学技術の飛躍的な発展を成し遂げたことも事実である。それは行政の包括的な企業の支援より無駄が少なく、効率的に資金を投入することを可能にさせただろうと思う。 また株主の利益の最大化を目指すことが使命である株式会社や、競争環境に置かれている会計事務所はそれぞれの目的を達成するため最良の手段を取るだろう。そして、現状、租税回避ができる環境である以上、それを利用するのは必然である。 課税の強化を図る必要があるのは、累進性の喪失による中間層の生活苦から極右の台頭を許し、民主制そのもの危機が生じたことや、政府の役割を強化することによって一般的な経済学でよく用いられている、市場の失敗や独占への対処の強化が必要だからであろう。
グローバル化とデジタル化により今起こっていることふまえ、租税民主主義実現に向けたグローバルタックスへの道筋を示す、示唆に富む本。後書きも泣ける。筆者の志の高さに敬意を表したい。
タックスヘイブンとか国際課税について興味がある人向けの本。 グローバルに事業を展開する主にデジタル分野の多国籍企業に対して現在の国際課税の制度が追いついていないことがよくわかった。
パナマ文書の公開依頼、GAFAを中心としたグローバル企業の露骨な税金対策が話題となり、その対策のために各国がGAFAへの課税方法を検討している。 基本的にこうした企業は、無形資産(システムなど)をタックスヘイブンに安値で売却し、その無形資産が価値を生み出しているように見せることで、利益移転をしてい...続きを読むる。 無形資産は固定資産などとは違い、正確な価値の算出が難しいため、この戦略に対する対策は現状ない。 そうした状況下で、OECDを中心とした世界各国が個別課税ではなく、グローバルで共通に課税するスキームを検討している。 元々課税権は国ごとに個別に規定されており、まさにこの課税権こそが国家権力の大きな部分であったが、新たな時代に対応するため、国家の枠組みを超えた超国家での課税が検討されている。 こうした取り組みは連邦制のドイツ帝国でもかつて見られており、基本的に各国の反対に合うものの、第一次世界における敗北により、緊急事態に陥ったため一気に進んだ。 今回のコロナパンデミックで同様の歩みが見られること、特にEUではその萌芽がみられるが、そこに期待である。
多国籍企業が租税回避を行っていること、およびそのやり方については、日経新聞等から知ってはいたが、本書を読むとその実態がよく分かる。 制度上可能であれば当然やるだろう。本書でも触れている通り、常に収益を上げなければならないし、収益に対する株主のプレッシャーもあるからだ。 しかし税逃れは、税負担の公...続きを読む平性という観点からも決して許されることではない。そこで各国政府または政治経済同盟が、課税の仕組みを作る。それに対し多国籍企業がと、いたちごっこが続いているさまは興味深い。 この問題を解決するための手段が、タイトルにもなっているグローバル・タックスである。しかし、各国の思惑もあり、うまくまとまっていない。 それでも筆者は、課税権力のグローバル化が不可逆であると主張しているが、果たして。
20201204-1230 所得税のフラット化、法人税率の引き下げ、タックスヘイブン利用による租税回避など、現代の税制の抱える問題点を列挙しつつ、旧来の国民国家税制と異なる新し「課税主権」の在り方を展望している。具体的にはEU、国連などの従来の国家の枠組みを超えた国際機関による「グローバルタックス」...続きを読むの現状を紹介している。国際連帯税や金融取引税は自分が税制担当だったころに導入が取り沙汰されていたけど、現在は浸透しつつあるみたいだ。 後、あとがきにあった志賀櫻氏がなくなっていたことを知り、ちょっとショック…よくレファレンスで利用させていただいたなあ。ご冥福をお祈りいたします。
本作ですが、かなり面白かったです。 税金の本ではあります。いわゆるGAFAなどのデジタル多国籍企業への課税をどのようにして可能にするか、というのが端的なお題目。 これを論ずるにあたって、本来の課税というのは国ごとに行われ、そしてPEという恒久的な施設があることを前提として収益に対して課税していた...続きを読むと。 ところが多国籍企業は重税を逃れるように本社を低税率国に移し、当初の国と移動先との国とで指導料とか、ブランド代とかintangibleな形のない財をやり取りして当該国での収益を低くし課税逃れに走るようになった。移動先の国では低税率で大儲け、当初の国では低収益で課税額も少ないと。また当初の国で経費として計上されるブランド代や指導料は比較対象があまりないため、課税当局も判断が難しいらしい。 更にはGAFAなどのデジタルジャイアントはインターネットを通じて世界中から収益が上がるにも関わらずそれらの国に恒久的施設もないことから、これまでの文脈では各国は彼らに課税することが難しい。 こうした状況が、各国の租税競争を起こし(うちは法人税安いですよー、みなさん来てくださいねー)、そこでは所得税などの直接税を軽く(企業や富裕層が逃げないように)、間接税を重くするという逆進性を助長することになったと論じます。つまり貧乏人はより税金に苦しむようになるということです。こうして所得の再分配が効かなくなります。 これをどうにかするために、一国での課税ではなく、世界政府みたいな大きな括りでGAFAのようなデジタル多国籍企業に立ち向かおう、少なくとも国・課税主体も多国籍企業と同じ土俵で戦わないとだめだ、というお話ですね。 ・・・ まあ、考えるまでもなく、各国の思惑がバラバラなので、ワールドワイドでグーグルに課税しましょうとか言ってもこれは課税額の配分などで揉めるのは必須。 売り上げ按分だとか、幾つかの案が出ていましたが、どれも難しそう。 さて、突然ですが、コロナなど疫病対策・ワクチンに関連して、国際公共財という考えがあるそうです。 1)対価を払わないからといって消費から排除されない 2)他の消費者が消費しているからといって自らの消費が排除されるわけではない(P.149) コロナワクチンは、とりわけアフリカの国々は危うく消費から排除されかけたわけですが(金がないからね)、ここで国際的な公共財の費用を世界で負担するべきという考えが見直されるわけです。これに先駆け、フランスでは国際便の乗客に国際連帯税をかけ、エコノミーは安く、ファーストクラスは高くしたそう。 これは直接的な答えではないものの、そもそも税金というのが所得の再分配の性格を有すことから、一番のお金持ちで課税逃れをしている多国籍企業を国際的な網の目で取っ捕まえたいと考えているのが見て取れました。 ただやはり実施するとしたら国際的な連携が必要ですよね。このあたりがグローバルミニマム課税につながるのでしょうか。 ・・・ さて、考えてしまうのは、課税主体としての国家はもう時代遅れになるかもしれない、ということ。 多国籍企業があるのならば、多国籍連携国家も想定するべきなのでしょう。 その一例としてEUが挙げられているわけですが、今のところは国家というこれまでの考えが強すぎてEUは一枚岩でもないですね。 全世界政府とかできたら、富裕層は租税回避のために火星にでも逃げてしまうのでしょうか。 今は戯言ですが、なくはないかもしれない、と感じます。 ・・・ ということで、国際的な課税に関する本でした。 個人としてはなるべく税金は安くしたい、と考えていましたが、現実には多国籍企業のお陰で(政治家のせい?)どの国も間接税優位、つまり持たざる者への負担が大きくなっているのが現状のようです。 税金を安くしたいと思うのは心情ですが、安いだけでは駄目かも・安いだけってのはちょっと違う、と感じました。トランプ氏が関税云々いっていますが、あれだってGAFAは大喜びかもしれませんね。 GAFAなどデジタル企業への国際的課税の網の目がじわじわと狭まろうとしていたなかで、紐帯は緩み国家は分断された様相です。 税金とは、政治や国家を考えるうえでは大きな論点かと思います。そうしたことに興味がある方は是非ご一読を。
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グローバル・タックス 国境を超える課税権力
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