円地文子のレビュー一覧

  • なまみこ物語 源氏物語私見

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    「なまみこ物語」と「源氏物語私見」、昔は別々の本だったが、今は一冊になっているのね・・・。
    「なまみこ物語」の方は、おどろおどろしいタイトルだけど、偽巫女のような意味らしい。
    握った権力を盤石たらんとする藤原道長の容赦ない陰謀に、若き一条帝と中宮定子の愛はどうなってしまうのか、中関白家の命運は?と、ほぼ全編通じて目が離せません。道長の攻撃がクライマックスに達するところを、電車の中で読んでいたんですが、思わぬ展開に落涙してしまった。
    同じ著者の「源氏物語」現代語訳同様、言葉の使い方など雅やかで、馥郁たる平安宮廷の世界に浸れます。
    また、本作は著者が子供の頃に読んだ鎌倉か室町期の写本?と思われる古い書物「生神子物語」の内容を記憶を辿って綴ったという体裁が取られており、(実際のところは巻末の解説を読んでください)、その凝った作りがますます物語の魅力を高めている名作である。

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    2022年03月22日
  • 妖 花食い姥

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    老いるということ。老いてもなお消えない性というもの。それが渾然一体となって創り出す一種のファンタジー。そんな作品ばかりの重たい短篇集。この本に収録されている一種の作者の回想録的な「川波抄」には、主人公が若い頃に、実家の女中だった事もあるある娘から突然求愛まがいの告白をされてその性的な接触に嫌悪感を持つという百合オタ的には残念なシーンがあった。

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    2012年08月06日
  • 食卓のない家

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    ネタバレ

    柄谷行人「倫理21」の中で言及されていたので読んだ。
    70年代の連合赤軍が起こした一連の事件をモチーフにしている。八ヶ岳山荘事件(あさま山荘事件がモチーフ)に関連したリンチによる殺人罪(幇助)に問われた息子を持つ父親を主軸に展開される。

    どうもこの手の小説を読むと気が立って仕方ない。そもそもの小説が三人称視点だし、神の視点で俯瞰してるわけだから抱く感情なのかもしれないが、加害者家族とそれに対するマスコミを始めとする大衆感情のようなものには辟易する。
    この父親は、そういった日本の家族観を背景とした批判に取り合わず、成人した子の行動に責任は取れないとして謝罪も会社を辞めることもしなかった。
    この父親の言動は全くといっていいほど異論はないが、恐ろしいのはこれが執筆されたのは昭和54年、1979年だということで、このころから未だに何も変わっていないということだ。
    作中で川辺という弁護士が、戦後二十年も経ち新憲法が制定されたところで、先進国の中で未だに家族間の血縁的ないざこざ(嫁姑問題等)は絶えない現実を指し「いくら法律が変わったって民族的な習慣はなかなか変わらないという事だよ。」と言う。
    なるほどその通りかもしれないが、いささか悲しく思う。いったいこのころの読者は今何をやってるんだ。

    そして、このような価値観の不変以外にも変わらないものがある。「若者観」だ。
    「(発話者の部下等を指し)彼らの多くが平穏無事の生活に慣れて無気力になり、能力の有無に拘らず、社会はその中に泳いでさえいれば自分たちを生かしてくれるものだと信じているようなのが不満であった。」とある。もちろんフィクションではあるので、誰か具体的な人間がこのように述べたという事実は無いが、一つの「空気」としてこういう感想は持たれていたのだろう。ここで指されてる若い人達というのは、当該発話者を含めた登場人物の多くが1970年代前半で50代に差し掛かる人であることを考えると、彼らは昭和一桁や大正の生まれで、若い人らというのは所謂「団塊の世代」(全共闘世代)を指しているのだろう。(wikipediaとにらめっこして計算していたのですが間違ってたら指摘してください)

    「なんちゃら文明の遺跡に「最近の若者は〜」という文言がある」という話はどうでもいい。しかし、石原慎太郎がアプレゲールとか揶揄されていたように、それぞれの世代がそれぞれの先代によって不当な扱いを受けてきたのではなかったのか。にも関わらず、そういう想像力が欠け、いつか自分がそのような圧力をかける側に回るという意識のない人間が多すぎる。何千年前の話をしてるのではなく、数十年前の話である。例えばこの本で描かれているような若者描写に「ちっ」と思ったような人間は、今どのように若者を見ているのだろうか。読んでてそっちの怒りも沸々と湧いてきてしまった。

    ともかく
    ・加害者家族に対する集団いじめの不変性
    ・若者観の不変性
    がしみじみとわかったのでよかったのと、ちょっとした時代の空気なるものに触れられた気がしたのがよかった。

    ご一緒に石田衣良の「うつくしい子ども」もオススメしたい。こちらは酒鬼薔薇事件を題材にした作品である。

    ちなみに。
    文庫版の解説を書いてるのは「加賀乙彦」という精神科医なのだが、この人の新書で「現代若者気質」という70年代に出版された本がある。まだ未読で積んであるのだが、わくわくして読みたい。

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    2011年02月15日
  • なまみこ物語

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    王朝時代の日本の恋はとても雅だったのだなあと
    時おり入り混じる古文が懐かしくいっそう読書を楽しくさせてくれました

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    2010年09月01日
  • 雪燃え

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    これが連載されていたのは昭和38〜39年。
    そして物語の時代背景は昭和29年頃の話。
    そんな時代の話であるのに、全く古さを感じない。
    日本の独特な家元制度のある世界(ここでは茶道)の、
    限られた特殊な内々の話に終始するこの小説は、
    外界の時代背景がそれほど細かく書かれていないがため、
    昔っぽさを感じないのであろうと思われる。
    日本の伝統美や、倫理の通用しない限られた制度と合わせて、
    昭和のエロスを垣間見ることができる話だ。

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    2009年10月04日
  • なまみこ物語

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     古典強化お薦め品その5。
     まろやかで古雅な文体と、本来の文庫本サイズの小さいフォントのせいで、敬遠されてしまうかもしれませんが……。
     
     著者が自分の幼い頃に、家で見た古書「なまみこ物語」(なまみこ=ニセモノ、半人前の神子の意)の内容をふと思い出し、記憶を頼りに綴ってゆくという形式の表題短編小説の主人公は、清少納言が仕えた悲劇の中宮・定子。
     歴史の上では、彼女の一門は藤原道長の前にはかなくつぶされてしまったがために、悲劇の中宮とされているが、果たしてほんとうに、定子は不幸だったのか……? という、歴史の裏側からの面が書かれています。
     「枕草子」と平行して読むのがお薦めです。

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    2010年10月04日
  • 江戸文学問わず語り

    匿名

    購入済み

    実はこの作家さんの本はこれが初めてです。
    軽妙な文体で、読んでいて面白いです。
    それとともに、江戸文学の知識がついていくので、意外とオススメの本です!

    #シュール #深い #タメになる

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    2024年03月06日
  • 円地文子の源氏物語 巻三(わたしの古典シリーズ)

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    第三巻は、宇治十帖。宇治といえば、百人一首にも選定されている和歌、我が庵は都の辰巳鹿ぞすむ世を宇治山と人は言うなり、が思い出されます。そして、宇治十帖はそのイメージに近いものがあります。
    女三の宮と光源氏の息子、薫(柏木との罪の子)。
    朱雀院の息子の今上帝と明石の中宮の息子、匂宮。
    匂ふ兵部卿と薫の中将。ネーミングも素晴らしい二人の新ヒーローの愛の苦悩の物語です。
    ヒロインは、宇治に隠れるように暮らす姫二人とその異母姉妹。桐壺院の第八皇子の娘達。八の宮は、政治的政略の波を受け、不遇の生涯を宇治で娘を慈しみながら過ごしました。
    そして、美しい姫あり、と知った二人の貴公子の恋の鞘当てという感じ。
    宇治十帖は、まだきちんと読んでないので、これからですね。これまで、宮中の女性たちが、家を背負い政治的に動いていた事を思えば、宇治のお姫様は、思い悩むし自信がないし、普通の女の子の恋愛苦悩に近いのかなと思いました。
    円地さんは、この三巻を完成した後、間もなく亡くなられたようです。

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    2022年11月22日
  • 円地文子の源氏物語 巻二(わたしの古典シリーズ)

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    「絵合」から「幻」
    光源氏の栄華から終焉まで。
    「玉鬘」から「真木柱」が玉鬘十帖と呼ばれています。十帖の、「初音・胡蝶」は春を、「蛍・常夏」で夏を、「篝火・野分」では、秋を、「行幸」は冬と、四季が織り込まれて描かれます。六条の源氏邸自体も四季を意識されています。この日本的な感性が、絵画や着物に長くモチーフとされているのかと思います。
    「紫の上系」「玉鬘系」という分類の根拠は幾つかあり、それを知ってから読んでみても、ストーリーの収まりが良くて、全く忘れて読んでしまいました。
    円地さんは、3部構成説でまとめられてますので、三巻は、光源氏の子孫の恋愛模様になります。
    与謝野晶子さんは、2部構成です。光源氏の栄華とそれ以降の陰りに分けられるようです。

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    2022年11月17日
  • 円地文子の源氏物語 巻一(わたしの古典シリーズ)

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    11月14日 円地忌あるいは文子忌
    円地文子さんの源氏物語を読ませていただく。
    昭和42年から5年以上かけて、源氏物語口語訳に取り組み10巻の単行本としてまとめる。それを、若い人向けに3巻に凝縮。しかも前書きで知るところによると、先の口語訳で眼を患い、この完結版は口述でされたという。
    若い方が入りやすいというコンセプトなので、必要充分な内容でストーリーを追いやすい。多少テキスト的な雰囲気はありますが、忘却防止用にも活用できます。
    巻一は、桐壺から関谷までが収められています。各帖の表紙には要約が準備されていました。

    先月の歌舞伎座で「夕顔」を観覧してきました。源氏と夕顔の逢瀬の場が、煌びやかな清涼殿とされており、その華やかさに圧倒されましたが、やはり、夕顔には廃院の方がしっくりきます。
    久しぶりに通読を目指します。

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    2022年11月14日
  • なまみこ物語 源氏物語私見

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    雑感。


    ■なまみこ物語
    ・抑制の筆致
    易しくない文章に耐えながらじりじり読んでいると急に面白くなる。え?いまなにかたいへん重要なことが起こらなかった?と思って数行戻って読み直してみると、深遠なる策謀が成し遂げられたところだったり、思いもよらぬ裏切りによるどんでん返しのシーンだったり。恋人の背信だとか、愛の奇跡だとか、なかなかにドラマチックな要素がてんこ盛りなのに、アップもなし、BGMもなし、のようなストイックさ。不親切といえばそうだが、その媚びなさにしびれる(なんて、ちょっと背伸び)。

    ・話の内容
    も、すごく面白かった。まとめると、悪役道長の策謀と、それに負けなかった定子と一条天皇の無垢な愛、という陳腐なワードになってしまうが、政争に勝ったのは道長・彰子サイドだけど果たして本当の幸せとは?という問いかけも良かった。行国が道長のもとを去っていくところもなんか好き。


    ■源氏物語私見
    ・だらだら古文
    源氏物語的文体というものがあるらしい。谷崎潤一郎が「文章読本」のなかで日本文学の文章を、源氏的と非源氏的とに分類しているらしい。なんとなくわかる。やっぱりそうなんだ。もうちょっとそこんところわかりたい。味わいたい。

    ・萌えのすべてはもうここにあった
    源氏物語をどう評価するのか、そこには千年の議論の蓄積があるわけだけど、今回これを読んで私が感じたのは、「腐女子も乙女も千年変わってないんだな」でした(円地文子がそう言ってるってことではないですよ)。光源氏がどう魅力的に描かれているかということはもちろん、夢のように素敵な源氏もいいけどその好敵手でありじゅうぶんに高スペックそれでいて努力家でもありながら話の都合上いつも源氏の引き立て役にさせられてしまい泥をかぶったり悔しがったりするものの決して陰気になることなく「次は負けないぜ!」と爽やかな笑顔で去っていく頭の中将もいいよね、みたいな感じとか。源氏の美貌を褒めて「女にて見たてまつらまほし」というところを、源氏を女に見立てて、こんな美しい女性がいたらすばらしいという意味にとらえる説と、自分が仮に女としてこんな美しい源氏を見たら恋してしまうだろうという意味にとらえる説とがあるらしいのだがいずれにせよ男が男の美しさを褒めており、男同士のそんなドキッもいいよねな感じとか。

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    2019年09月14日
  • 源氏物語私見

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    円地文子 「 源氏物語 私見 」 源氏物語論。

    俗な源氏物語論とは違い、源氏物語の古典性(なぜ読み継がれるか)、文学性(男女の性を超えた 人間的テーマは何か)が よくわかる。

    *源氏物語は女性文学か *六条御息所 論 *源氏物語の体系分類の整理 *西鶴文学との違い は秀逸

    源氏物語 正篇を 33帖 藤裏葉までを1部、34帖 若菜から2部と区分し、1部を源氏に愛し愛された女性達の曼荼羅図とした。宇治十帖はあまり評価していない様子

    著者の源氏物語論
    *光源氏という光が中心→女性達が一つ一つ違う色香
    *源氏物語=忍ぶ恋の物語→源氏の青年期に夕顔、成年期に玉鬘、晩年に女三宮
    *源氏物語の本流=紫の物語(藤壺→紫の上→女三宮)
    *源氏にとって永遠の女性=六条御息所と藤壺

    六条御息所
    *源氏の息苦しさは 御息所に対する畏怖
    *御息所の強い自我→憑霊的なものに発展
    *御息所=強い不協和音→源氏物語のシンフォニー

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    2018年12月02日
  • なまみこ物語 源氏物語私見

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     ドナルド・キーン氏の自伝に出てきたものである。タイトルの「なまみこ」という音にとても新鮮な、そして不思議な響きを感じた。「なまみこ」とはいったい何であろうか。40年以上も前、著者の父の蔵書の中に日本文学者チャンバレン博士から引き継いだであろうと思われる数多の本の中の一冊であるらしい。表紙には「奈万美古毛乃可太里」と万葉仮名で書かれていたそうだが、次頁に「生神子物語・栄華物語拾遺」とあるのを見て、初めて巫女についての話だと知ったのだという。

     一條帝の御時に二人の后、定子、彰子がおり、それぞれに仕えていた清少納言と紫式部の確執はつとに有名だ。この「なまみこ物語」は栄華物語をベースに書かれているそうだ。栄華物語は彰子に仕えた女房によって書かれているから、彰子の父藤原道長一門の側から見た宮中を描いている。(ただ私はまだ栄華物語を読んでいない。)

     栄華物語の原文をそのまま用いているところもあるという。しかしこの「なまみこ物語」は定子の側から見た一條帝の御代を描いている。二人の巫女の姉妹が登場し、道長によって宮中に送り込まれる。そしてそうとも知らずに道長の手先となり、定子や定子の実家である中の関白家一門の没落に手を貸すことになる。

     栄華物語は道長の側から一方的に書かれているものだから、この「なまみこ物語」の作者はその反対の立場から書き残したかったのではないか。

     原本は既に手元にないので記憶を頼りに書いたと筆者は言っている。少女の頃から数十年を経た後に、これほどしっかり記憶に残っているのだから円地氏の頭脳には敬意を表したい。ぜひこの「なまみこ物語」の原本が出てきてほしいと願う。

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    2013年07月30日
  • 円地文子の源氏物語 巻三(わたしの古典シリーズ)

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    宇治十帖が書かれています。一番の無情感が出ている話なのでしょうが、薫にも匂兵部卿宮にもあまり魅力を感じないし、浮舟などイラッとさせられてしまうのです。
    ただ、漫画で読んでいたよりも、浮舟の後悔や苦悩が文章で伝わってきました。

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    2012年01月03日
  • 円地文子の源氏物語 巻二(わたしの古典シリーズ)

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    秋好中宮の入内から源氏が亡くなるまでの話。
    どうしても「あさきゆめみし」と比べてしまうが、玉鬘が髭黒大将に強引に結婚させられた後、漫画では玉鬘も納得したような描写が印象的だったのだが、こちらの本ではなんの描写もなく、おそらく原作もなかったんだろうなと感じた。もっとも当時の結婚なんて意に沿わぬものであっても受け入れなくてはならなかったんだろうが。
    また、夕霧が不器用に女二の宮に言い寄って、家庭がゴタゴタした話も全部カット。たしかに、本筋から外れるものね。
    その大胆な編集が効を奏し、すんなりと源氏出家と最期へと繋がっていく。

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    2011年12月20日
  • 円地文子の源氏物語 巻一(わたしの古典シリーズ)

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    源氏物語は高校時代の古典と「あさきゆめみし」で読んだ程度の私。百人一首好きということもあり、和歌を読みたい気持ちから、ふと手にとってみました。
    原典をそのまま訳すのではなく、章(必ずしも原典の巻分けと一致してるわけではない)ごとに最初にあらすじをまとめてあり、本文では原典を訳しながらも物語として現代の私たちにも違和感ないように編集してある。
    一巻は、光源氏の両親の出合いから、源氏が明石から戻り、権力も戻り、秋好中宮を入内させ、末摘花・空蝉と再会したところまで。
    あさき〜の印象とは大きくは変わらないが、花散里の印象だけは、少しちがっていた。漫画では伝わらなかった部分が伝わってきた感じがする。
    原作は、ほとんど外出できず一生を終える姫達に向けて書かれたため、祭や歌合わせ等行事の記述がとても詳しく、分量があるそうだが、この本では割愛されて読みやすくなっていると解説にあった。なるほど。

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    2011年12月07日
  • なまみこ物語

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    ネタバレ

    一条天皇と中宮定子。歴史上政治的には脇役にすぎない2人を主役として描いた愛の物語。過去に本当に存在したと思わせる、それが「生神子物語」。あやしく美しい、そして哀しい物語。

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    2021年06月22日
  • なまみこ物語 源氏物語私見

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    円地文子の「なまみこ物語」と「源氏物語私見」が
    講談社文芸文庫で一冊になっていたんですね。
    どちらも名作中の名作。さっそく買って「源氏物語私見」から読みました。

    作者が「源氏物語」を現代語訳したあとの随想で1974年の作。
    今では源氏物語関連のエッセイは数限りなくありますが(特に去年は多かった)、
    六条御息所と藤壺など源氏をめぐる女性たちや、光源氏の性格など、
    それらのものの見方の根幹となっているような気がします。

    六条御息所というと、嫉妬深い年上の女という面だけクローズアップされがちな
    ところがありますが、彼女の教養の高さ、趣味の良さとともに、
    藤壺と並ぶ、源氏が見上げるべき高貴な二人の女性という見方は
    今でも新鮮だと思います。この二人はその身分の高さとともに、
    源氏の求愛をふりきって去って行ったことも共通します。
    藤壺の代わりとして源氏が求めたのが紫の上、
    六条御息所の代わりが明石の上・・・確かにそうかもしれません。
    さらに、六条御息所の経済的な自立にも目を配らせているのはさすがです。

    今回、読み直して、印象的だったのは、桐壺の更衣。
    桐壺帝との別れにあたって、彼女が残すのは帝への哀惜。
    一言も残していく愛児、光源氏に触れていないというところです。
    ただ愛されるだけの気の毒な人ではなく、更衣も強く帝を愛していた
    強さのある人だったと言っています。

    ほかの古典と比べて、特にあの平家物語と比べても、
    源氏物語の女性たちは際立って輪郭がはっきりしていますよね。
    それぞれに個性があり、リアリティがあります。
    こんなに女性たちがしっかり描かれている古典はほかにないように思います。
    だからこそ、自分は源氏に出てくる女性の誰に似ているとか、誰が好きか、嫌いか、
    なんていうことが語れるのだと思います。

    自分に似た誰かがいるようにも思うし、
    反対にどの人物にも自分に似たところがあるような気もします。
    やっぱり、奥が深いのだよなぁ、源氏は。

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    2009年11月29日
  • なまみこ物語 源氏物語私見

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    中宮定子という人は、なんと「かなしき」人なんだろうか。平安時代、一夫多妻、通い婚の時代に、女は待つしかない。まして、帝に嫁したならなおさらである。常に、自分は誰かと比べられる、誰かの為に自分を否定される。自分を守るために、自分が自分らしくあるために、女性に必要なものは、「愛」のなにものでもない。でも、自分を否定されるのも誰かの愛ゆえなのだ。もちろん、「みこたち」も。言うまでもない。*「かなし」は「悲し」ではなく、「愛し」である。

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    2011年09月26日
  • 円地文子の源氏物語 巻三(わたしの古典シリーズ)

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    第3巻は、「宇治十帖」。浮舟をめぐる薫と匂宮のドラマをえがいた「宇治十帖」です。

    ストーリーを把握するためには十分な内容ですが、紫上や明石の君など源氏を取り巻く女性たちにくらべると、大君、中君の姉妹にしても浮舟にしても人物像が明瞭になっておらず、いったい薫と匂宮の二人は彼女たちのどこに魅かれたのか、わかりにくいように感じました。もっともこれは原作の問題で著者の責任ではないのかもしれませんが。

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    2019年09月15日