三浦裕子のレビュー一覧

  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    日本統治下の台湾に講演旅行に招かれた日本人女性作家と、台湾人通訳の女性との交流を描いた作品。
    とにかく、台湾の美味しそうな食べものがでてくるでてくる!ページをめくる度にこの食べものはどんな味なんだろうと想像が膨らみます。
    うっかり戦時下なのにグルメ小説?と騙されそうになるのですが、一方で統治する側とされる側の微妙な関係もしっかり描かれているのが凄い。
    日本人として、自分を振り返る機会として、読んで良かったと感じました。

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    2026年08月30日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    1938年、日本統治下の台湾。日本人作家の青山千鶴子と、台湾人通訳の王千鶴が鉄道で各地を巡る。

    失われてしまった台湾の美しい風景、おいしそうな料理、そして二人の友情。そんな楽しい旅行記なのかな?と思って読み始めたら、それだけではなかった。

    統治する側と、統治される側。千鶴子は、植民地に対する帝国の偏見も、女性に対する男性の偏見も批判してきたつもりだった。だからこそ、自分はわかっている側だと思っていたのだろう。
    けれど、ふとした言葉からこぼれ落ちる、自分でも気づいていない傲慢さや偏見。人と話していて、何気ない一言から、この人は本当はこう思っていたんだと気づく瞬間がある。あの感じが、読んでいて

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    2026年08月28日
  • 四維街一号に暮らす五人

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    台中に行きたい。
    今は日本ではない独立した台湾という国で、しかも多民族な社会で、断片的な日本のアイデンティティが残ってるのが不思議。あとがきまで味わい尽くす。

    楊双子さんのWikipediaを読んだ、ガンで亡くなったお姉さんが安修賢に重なって、自身の無念が安修儀に投影されているのかと思った

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    2026年08月26日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    ネタバレ

    「この世界で、独りよがりな善意ほど、はた迷惑なものはございません」という言葉を美島から直接聞くことになる程に盲目的である自分に気づけなかったことへの千鶴子の思索に耽るさまがとても印象的だった。

    そこから、千鶴子が偏見をわかった気になっていても自分も偏見を持っている側であることに気づく瞬間は痛く共感した。

    また、「対等」についても考えさせられた。
    立場上、上の者は下の者のことを考えなくとも快適に過ごすことができるが、下の者は上の者のことを考えなければ過ごしづらいといった支配と従属の関係性が一要素として自然に描かれていたように思う。そうした上下関係が前提にあるからこそ、友達かどうか問う千鶴子の

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    2026年07月23日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    ネタバレ

    本屋さんでパッと見た瞬間にその界隈で玄人の私にはわかりました。これは”百合”だと。これは読まねば!そんな使命感を抱き、最初の数ページをパラパラめくって読んでみたのですが、なんか最初から昭和初期の新聞っぽい一面が。……何言ってるのかさっぱりわからん。これはちょっとまだ私には早いかもわからんね。うんうん。楽しみは後に取っておいてやろう。そっ閉じ。
    というわけで、だいぶ前から気になってたし手元には置いていたものの、ちゃんと読むまで時間が掛かってしまいました。でも最初に抱いた危惧はまったくの杞憂でしたね。なんなら読めない漢字とかあっても文脈でなんとなく理解できるもんよ。これは他の翻訳本にも言えることだ

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    2026年07月20日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    『台湾漫遊鉄道のふたり』は、太平洋戦争前、日本が植民地として統治していた頃の台湾を舞台にした作品です。

    内容は、招待を受けて台湾にやってきた日本人の女性作家「青山 千鶴子」と、彼女を案内する台湾人の女性通訳「王 千鶴」という一字違いの名前の女性2人が、台湾各地を鉄道で旅するという物語です。

    この登場人物の2人の名前が似ているのは、ややこしいですが、これには小説として深い意味があると思われ、考えられるその理由は最後に述べたいと思います。

    内容に戻りますが、日本からやってきた千寿子は、もともと食べることの大好きで、一方、通訳の千鶴は、台湾料理の知識も豊富、料理を作らせても天才的で、2人の旅は

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    2026年07月19日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    なんだか生きている小説、命が吹き込まれていると言ったらいいのか、とにかく素晴らしい作品に出会えたと思える一冊だった。美食と2人の女性の話と気軽に読めると思って手にとったが、深く考えさせられる作りになっていてすっかりもっていかれた。

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    2026年07月15日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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     2026年国際ブッカー賞、2024年には全米図書賞を台湾文学として初受賞したと話題になった本作。
     表紙は昭和初期の台湾の駅舎の前で二人の女性がシンメトリーに向き合っている。左手側の背の高い女性が小説の中の日本人作家、青山千鶴子で右側の少し背の低い女性が青山の通訳者だった王千鶴。
     この作品の著者が台湾人、楊双子。「ふたり」とつく書名に著者が「双子」ってちょっとシャレのようだが、シャレではなくもともと双子の妹と共同で仕事をしていた楊若慈が妹亡き後も「二人で共同で創作している」という意味で「双子」というペンネームにしているそうだ。
     小説内では日本人小説家と台湾人通訳(で翻訳家志望の)の二人の

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    2026年07月12日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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     国際ブッカー賞翻訳書部門受賞作。
     今、台湾文学がアツい。
     日本人として台湾文学を読むとき、そこには日本で失われたノスタルジーを台湾に見出す。
     その上で、本作に描かれている台湾の風景も、すでに失われている。
     失われた風景もあるが、残される食文化がある。
     本作は「食」「鉄道」そして「シスターフッド」が描かれる。
     それに加えて、失われた風景のノスタルジーがテーマにあると思うのだ。
     

     舞台は戦前、日本統治下の台湾。
     著作が映画化された女流作家の青山千鶴子は講演に招致され、一年以上台湾に留まることになった。
     通訳の王千鶴とふたり、台中に留まりながら台湾西海岸を北へ南へ鉄道に乗り、

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    2026年06月30日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    なんという作品だ。
    鉄道×グルメ×百合という、聞いたことも読んだこともないジャンルの顔をしつつ、統治者と被統治者の溝に真正面から切り込んで来る。私たち日本人が「台湾は新日だから〜」と言っているのも、植民地化の時代を生き抜いて、財産も土地も文化も奪われた方々からすると、まさに作中の千鶴子や美島が感じた思いを抱いているに違いない。
    また、向こうではこの作品の売り方についてかなり批判があったようだが、著者の楊さんは「文学と歴史、どちらがより真実に近いのか問うてみたかった」という趣旨のことを語っていたようで(訳者あとがきより)、この一言には重みがある。実際私も最後はかなりドキドキしながら読んだし、あま

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    2026年06月28日
  • 四維街一号に暮らす五人

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    『四維街一号に住む五人』は『台湾漫遊鉄道のふたり』で国際ブッカー賞を受賞した楊双子さんの小説。

    日本風古民家シェアハウスに住む五人の女性の物語。

    四維街一号は台中に実在する日式建築。「日式」とは日本風のこと。戦前、日本が台湾を統治していた時代に建てられた建物です。

    だから畳や雨戸があり、住人たちは靴を脱いで生活しています。

    この小説、とにかく美味しそうな台湾料理がたくさん登場します。

    「蛤仔鶏湯(ハマグリと鶏肉のスープ)」、「獅子頭(大きな肉団子)鍋」古いレシピ本の「芋泥(タロイモのスイーツ)」、生焼雞。

    台湾では季節や体調にあわせた薬膳料理がポピュラーで、焼酒鶏(薬膳スープ)もそ

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    2026年06月07日
  • バウムクーヘンの文化史 パン・料理・菓子、越境する銘菓

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    バウムクーヘンがどういう経緯で生まれ、ドイツのお菓子の代表になったり日本で普及したりしたのかの歴史。バウムクーヘンになるまでに串焼きパンや串焼き菓子の歴史があり、ひいてはお菓子の歴史にも触れる必要があるため周辺も詳しい。短いけど読みやすくていい本だったと思います。

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    2026年04月17日
  • 四維街一号に暮らす五人

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    台湾百合控えめに言って最高だった、、、。大家さん含めて一人ひとりの事情を鑑みると、なんて美しくも儚いシェアハウスなんだろうと思う。四維街一号の家造りも、自分が想像しているもの以上に美しい建物なんだろうな。台湾に行ってもう一度読み直したい。台湾料理もすぐ()書きで日本人に分かりやすいように説明が書き加えられているから、想像力を掻き立てられた、訳もとっても良かった。。読みやすい中でも、核心を付くようなセリフがあるから、余計夢中になって読んでしまった。

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    2026年04月14日
  • 四維街一号に暮らす五人

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    一つの言葉では表せない人間模様の複雑さ及びクソデカ感情が好きな人に超おすすめ。5人の入居者それぞれの一人称視点から構成されていて、新入り視点から始まるので読者もすんなり四維街一号に馴染むことができる。作中には台湾料理の丁寧な描写がかなり多く興味&食欲をそそられるし、台湾の民族構成や歴史の話が深く関わるので、知識を増やしてから再読するとまた新たな発見が多いと思う。

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    2026年02月17日
  • 海風クラブ

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    『少年があの犬を見かけて既に三日になる。巨人ダナマイもこの三日間ずっと、彼らを注視し続けている』―『第一章 初秋』

    切れぎれの不連続に流れる時間。埋もれてしまった過去の日常の記憶。呼び起こされる郷愁。

    故・天野健太郎翻訳による「歩道橋の魔術師」「自転車泥棒」以来、呉明益を読んで思うことはいつも同じ。翻訳された順番に読んでいるので「複眼人」が翻訳された時に少し驚いたけれど、台湾の自然と固有の民族、そして超人的な存在、というのもこの作家を特徴付ける要素だろう。

    作家による解説というのは翻訳書では滅多お目にかからないけれど、本書では執筆の経緯や描かれた事実などについて著者自らの説明が巻末にある

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    2026年01月18日
  • 四維街一号に暮らす五人

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    とてもよかった。

    堂々たる四十路のおっさんである手前、百合な部分はどうぞどうぞご自由にということで、繊細な恋愛の機微も、友情の萌芽も、そんなものなんですねと受け止めつつ、、、
    五人全員が魅力的なキャラクターだったが、それぞれがしっかりと、学問に身を置いた経験があるからこそ滲む、知性のようなものが見え隠れしてて、ただのイマドキな若者たちではない芯のようなものを感じて眩しかった。(全員が学部生ではなく、大学院生、または大学院経験者ってのがいいですよね)
    個人的に、後書きに出てきた雲林科技大に仕事で訪れたことがあり、四人の通う大学って、などと想像したりしつつ、楽しかった。

    きっとこれから、ドラマ

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    2025年11月05日
  • 四維街一号に暮らす五人

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    漢方を普段から取り入れてたり(蟹は冷えるから酒蒸しにして温めたとか)、漢詩を諳んじたりしててすごすぎる 教養…!
    でも日本のアニメの話もしたり


    ほっこりするけどそれだけじゃなく複雑なところもあって、台湾の歴史のほうも本読まなきゃなって思った

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    2025年10月10日
  • 四維街一号に暮らす五人

    購入済み

    台湾漫遊鉄道のふたりぶりの楊双子先生の作品でした。台湾の歴史、食事、そして百合。古いシェアハウスで暮らす5人の連作短編集のような形態で、出自も性格も違う女性たちが描かれています。現実の時勢と重なる部分もあり、大変面白かったです。

    #感動する #エモい

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    2025年09月24日
  • 海風クラブ

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    “ある場所は、いったん人が踏み込んでしまったら、もう無傷ではいられない”
    山に擬した伝説の巨人の身体に足を踏み入れた少年と少女は成長し、様々な人々と出会う。
    丁寧に一人ひとりのストーリーを追いながら、台湾の先住民族に対する負の歴史へ、更に日本による占領統治時代へと物語は奥行きを増してゆく。

    同時に、原住民であるタロコ族(トゥルク)の村が国策と企業の利権を伴う大規模な開発により押し潰されてゆく様が描かれる。
    ここでも無慈悲で大きな力の前で揺れ動く一人ひとりの心情に寄り添い、掬いあげてゆく。

    鋭く現実の社会問題に斬り込みながら、ウー・ミンイーはファンタジーと融合することを恐れない。それは決して

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    2025年06月28日
  • 海風クラブ

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    自然と開発、神話と現代、貧富や人種とさまざまな対比を描きつつ、主要人物それぞれの過去と現在、全てを抱え込んだ呉明益渾身の小説世界。

    とても私なんかがこの本の良さを表現できないが、最後、振り返って小さな2人が入れ替わった意味を考えてしまった。

    しかし実家の山も巨人だったのかな。3本足の小動物は見かけなかったが、コウモリはいたしな。

    いやー、讃!!

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    2025年05月24日