【感想・ネタバレ】台湾漫遊鉄道のふたりのレビュー

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Posted by ブクログ 2024年05月04日

エンタメとしてめちゃくちゃ楽しくて、でも考えさせられて唸らせられる、とっても面白い本だった! 読めてよかった〜!

台湾が日本の植民地だった時代に九州出身の女流作家・千鶴子が台湾に渡り、そこで出会った名前が一文字違いの台湾人・千鶴と旅をしていく物語。

2人の心が通うシーンにはときめき、描かれる食べ...続きを読む物の数々にそそられて、読んでて楽しかったなあ。
主人公はいきいきとして豪胆な性格で、そんな主人公の口語混じりの地の文で語られるエンタメ小説でありながら、千鶴子の都合よく台湾の美食や風景を消費しがちな側面も示されて苦く思う部分もあった。歴史から目を逸らせないこと、そして無意識にどこかでこういう態度を自分はしているのではないかと自戒させられながら読んだので。

そして何より、これから読む方にはぜひあとがきまでしっかりと読むことをおすすめします!

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年05月04日

6月に初めて台湾に行くのと、Twitterで面白いと話題になっていたのを見て興味を持ち、一気に読んだ。
シスターフッド的小説で、美味しいものを食べて台湾を満喫するお話かと思ったら、日本人として何回も頭を殴られるというか、全く意識せずに大切だと思いたい相手の気持ちを、大切な文化を、下に見てしまう、見て...続きを読むいることにも気付かない傲慢さというか、とにかくなんかものすごく、悲しいとは違うんだけど、切なさに近い感情で胸がいっぱいになった。
最後、後書きに現れた著者の名前に涙が溢れてしばらく止まらなかった。千鶴さん、夢が叶ったね。

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Posted by ブクログ 2024年03月25日

祝!翻訳大賞ノミネート。すばらしかった。読めて良かった。本当に。
読んでいて感じたこと、思ったこと、悩んだこと、悲しかった、嬉しかったことはすべて、あとがきにかかれていた。盛大に頷きながら…答えの出せないことだということも。だからこそ、小説が書かれるのだということも。本当に素晴らしい方々だ。&quo...続きを読むt;台灣漫遊錄"のあとがき、日本版あとがき、翻訳者あとがき…さいごまで、本当にすばらしかった。

ここからは自分語りで 大学時代、教授にくっついて観光学を学んだり、学会に出たりした時期がある。観光やら、万博やら、の歴史なんかを学んだりもして、なんて、なんて傲慢な、植民地主義的な行動なのだろう…!と、嫌悪感を感じたりもした。民俗学と、民族学、社会学なんか、いろいろ知ったかぶって、民俗学的に、知るんだ見るんだ…と。青い,青い…(照)そうして色々試行錯誤した、でも結果、"お客さん"でしかなかった自分。その後開き直って中央アジアや台湾へ旅行もしたが、やはり自分は"旅行者"でしかなくて。それにもどかしさや、さみしさや、言葉を覚えられない自分への苛立ちや…千鶴さんと、千鶴子さんと旅することで、あの時感じたような、自分の、理解っていなさ、のようなものと、あたらめて対峙した。そしてその自分をなんだか、ぎゅっと抱きしめたくなった。

でもなんで、たべものの名前がずらずら、並んでいるだけでお腹がすくのだろう?それもそのはず…池波正太郎大先生を参考にしたとか。なるほど、うまい。彼の食のエッセイが好きすぎて、学生時代、読み漁ったことも、思い出した。ぐうぐう。小説は一編しか読んだことがないのに…エッセイはほぼ、読んだ。なんでだろう?

そうして、懲りずに、また旅に出たくなった。
絶対に、台湾へ行き、食べます。鹽酥雞を!

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Posted by ブクログ 2023年11月15日

フィクションなんだから何とかならないかなぁと思いつつ、大変素晴らしい最後だった。あとがきも読むとなおぐっとくる。

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Posted by ブクログ 2023年11月04日

舞台は昭和13年の台湾。講演旅行に招かれた日本人作家と台湾人通訳。料理を通じて2人は心を通わせたように思われたが…支配する者される者、微妙な関係を描いた細部まで時代を再現した傑作。

「神は細部に宿る」というが、まえがきからあとがきまで、復刻した作品と間違えそうな素晴らしき虚構の世界に感嘆。各章で取...続きを読むり上げられる台湾料理の描写も素晴らしい。
これは傑作。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年08月16日

途中から流れは不穏になり、重いものとなっていく 私は千鶴子の傲慢さにあまり気付けず(関係の歪みには気が付いていたものの)、気付けば千鶴子と共におろおろし、打ちのめされていた 好き嫌いで帝国を批判するというのはかなり胸に突き刺さる言葉だ 

少しだけ王千鶴のあとがきには救われたけれども 苦々しく、口の...続きを読む中に何か残っているような気持ちで今いる

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Posted by ブクログ 2023年07月21日

食べ物の描写が多いので読んでるうちに自分まで満腹感を感じ常に満腹状態。
そして通訳の千鶴ちゃんとの主従を超えて友達になりたい青山さんとの友情関係のお互いの心情や千鶴ちゃんが仕事としての関係を保ちたい気持ち、本島と内地の生活、考え方の違いなどあっさりとした文章なのに考えさせられる内容で、しかも翻訳本な...続きを読むのに違和感なく続きが早く読みたいと本の中のふたりの生活を堪能し、居心地いい時間を過ごす事ができた。

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Posted by ブクログ 2023年07月02日

物語の舞台は昭和13年、日本植民地下の台湾。講演旅行で台湾へ渡った日本人の若い流行作家の青山千鶴子は、博識で美しい台湾人通訳、王千鶴と出会います。妖怪並みの胃袋を自認し、食への並々ならぬ情熱をもつ千鶴子と、実は天才的な料理の腕前をもつ千鶴。そんな二人の女性が、台湾を鉄道で旅する物語は、庶民の食卓から...続きを読む屋台飯、伝説の女性料理人がつくる、究極の宴席料理まで、豊かで奥深い台湾料理の世界へ読者を誘います。
もっとも、この小説は美食を味わうだけではありません。千鶴子は台湾の地で、日本の植民地政策の欺瞞、傲慢な日本人の意識、台湾人への様々な差別や偏見を目にすることに。そうした歴史を知る時、読者も一抹の苦さを覚えることになるはずです。

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購入済み

2023年05月24日

鉄道旅行、美食、百合をキーワードにした少女たちの物語。
日本の植民地化にある台湾を舞台に、日本人の女流作家千鶴子と台湾人の千鶴が関係を深めていきます。
台湾の美食、美しい景観はもちろんですが、二人の関係が最も美しいです。支配者、被支配者の関係であるのにもかかわらず、対等だと無神経な発言を繰り返す千鶴...続きを読む子と、柔らかな笑顔の下に頑固で冷ややかな心を隠す千鶴の対照が面白かったです。友達以上の関係性が特別で切なく思いました。
小説内小説では日本も台湾も変わらず封建的な社会で女性の権利が抑圧されていますが、小説内後書き(後世)では女性の社会進出が進んでいることが表現されていて印象的でした。

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Posted by ブクログ 2024年04月02日

昭和初期、台湾を訪れた日本人作家と台湾人通訳のやりとりを通して台湾と日本の関係を考える。美味しそうな食べ物がたくさん。複雑な台湾の民族を反映して食文化も様々。

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Posted by ブクログ 2024年03月28日

昭和13年。台湾。
日本人作家と台湾人通訳。
台湾縦貫鉄道で旅しながらの次々と出てくる台湾料理に台湾へ行ってみたくなるのだけど、歴史的な台湾と日本の関係や、国の関係によっての内地人・本島人の関係性。
作家・千鶴子と通訳・千鶴の関係もまた当時の台湾と日本の関係性のように対等にはなれずもどかしい。
ただ...続きを読む台湾料理を食べ歩くストーリーではなく、様々な人間模様が見られ、植民地時代の台湾の情景がとてもよく描かれていたように思う。
そして……台湾料理、おいしそう(ㅅ´꒳` )

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Posted by ブクログ 2024年02月18日

主人公の何かがイラッとするのを言語化できなかったけど、最後まで読んでやっと理解する
自分も気をつけよう

台湾の食文化を知っていたらもっと楽しく読める
そして確かに、菜尾湯を食べたところで勝手に読み終えたら、この物語の肝心な部分をつかみ損ねる

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年01月26日

作品の構造がお見事
あとがきの最後の最後まで読むべき作品

実際に旅をしているような気持ちで読み進めました
出てくる料理が馴染みのないものでどんなものかなと想像しながら読むのが楽しかったし、恵まれた立場の人間のダブルスターダードや無自覚の傲慢さに身に覚えがありキュッとなったりも

良い読書体験でした

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年12月14日

シスタフッドや百合+グルメ小説としてすらすら読み進め、完全に油断していたが、終盤にかけて『なんだかそんな簡単な話ではない…?』と思いはじめ、後書きのやり取りに呑み込まれ、まんまと大感動。

著者(たち)の後書きも含めた構造的仕掛けにきっちりはまってしまったのだが、グルメ、歴史文学、鉄道、百合と、双子...続きを読むならではの感性の詰まり具合にお腹いっぱいになりました。

他の作品も是非読んでみたい!

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Posted by ブクログ 2023年08月19日

あとがきまで一気に読み終えた。
昭和13年の台湾を舞台に日本女性作家と通訳の若い女性との交流が前編、食べ物をメインに明るく享楽的で読んでる間中空腹感に苛まされる。一転後半は日台の重苦しい実情が描かれる。が私は後半の方を好ましく読んだ。しかも次の世代迄を描く事で読後感もとても良かった。

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Posted by ブクログ 2023年07月06日

一大事。全然小説を読めていない。本棚の偏りを防がなくては…!

しかしフィクションとなると、いつもレビューの書き方に悩まされる。
面白かったはずなのに、読後脳内には感想のカケラも残っていない。(これは最大の謎!) 重大なシーンに触れたりしたら、ネタバレになりかねない。
そんなこんなで、トライアンドエ...続きを読むラーを繰り返しながらキーボードを叩いていました…。

時は昭和13年。
流行作家の青山千鶴子(以下、千鶴子さん)は、ベストセラー本の講演で台湾に招聘される。そこで本島人(台湾人のことを指す)通訳の千鶴(以下、千鶴ちゃん)と運命の出会いを果たし、講演旅行の傍らで千鶴ちゃんとの台湾食巡りを決行していく。
台湾グルメに加え、東西の言い回し(漢詩や西洋文学など)を交えた、教養高き2人の会話も見ものである。

「住み慣れた場所を離れて別の土地で暮らして、この世に生きる新鮮な感覚を取り戻すの」

千鶴子さんが台湾で過ごした1年を12章でまとめた構成。各章のタイトルはキーポイントとなる料理名になっている。
これは大食いの青山千鶴子女史じゃなくてもお腹空きますって。。画像はない分料理の解説・調理工程が詳細に記されているから、ガイドブックとセットで持っておきたい!(現代でも味わえる料理を取り扱っているのが嬉しい)

九州女児 千鶴子さんの、千鶴ちゃん自身に対する押しが強く、図々しいのでは?と思うことも正直あった。(千鶴子さんのモデルが林芙美子だと、あとがきで知って大いに納得。あの豪胆さは相通じすぎている笑)
「千鶴ちゃんと本当の友達になって、一緒に台湾を食べ尽くしたい」
千鶴子さんの不器用ながらもまっすぐな好奇心は、シンプルに大好きな台湾や千鶴ちゃんのことをもっと知りたいという想いの表れなのだろう。おかげで物語のキーが次々と明らかになったが、付かず離れず人間の自分はあそこまで踏み込む勇気はないなーと、どうしても思ってしまう^^;

千鶴子さんは2人の関係を「ワルツを踊っているよう」と例えていたが、それを大柄な千鶴子さんと華奢な千鶴ちゃんに当てはめると、まさに少女歌劇(当時の呼び方に合わせてみた笑)そのものである。
どんなに千鶴子さんがリードしても本心を明かしてくれず、するりとかわしてしまう千鶴ちゃん。微かなすれ違いを見せながらも、2人を繋いだのはやはり料理だった。

日本の占領下にあった植民地が舞台ではあるが、目に余るような悲惨な光景がなくて少し安堵していた。でもそれは、大切な内地人(日本人のこと)客として厚遇されている千鶴子さん目線だったから。
日本によって淘汰され、馴染みの風景が消えていくのは死ぬほど辛い出来事だろう。窮屈な思いも数えきれないくらいに味わったことだろう。

自分は大学の卒業旅行で一度訪台しているが、関わった老若男女が皆親日であったこと、そして美味しい料理に感動していた。
あの時の自分も本当のことはちゃんと見えていなかったのかもしれない。しかしあの時育んだ出会いと美味しい記憶は、千鶴子さん同様真っ先に信じていたい。

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Posted by ブクログ 2024年01月21日

台湾×グルメ×百合!と来たら、ほっこりコメディだと思う人が多いかもしれない。
しかし、この小説はそんな幻想をハンマーでぶっ叩いてくる歴史物語だった。
結末はほろ苦いのだが、それがより強い読後感を残していると思う。

日本統治下の台湾で出会った、『内地人』の千鶴と『本島人』の千鶴。二人は作家と通訳とし...続きを読むて出会い、鉄道で旅をしながら台湾の美味しいグルメを味わっていく。日本人の青山千鶴は、台湾人の王千鶴と友だちになりたいのだが、彼女はいつも仮面を付けているようで壁がある。

支配者と被支配者である二人の身分は明確に違う。日本人の千鶴が「友だちになりたい」と言うとき、台湾人の千鶴は「わかりました」と答えるしかない。しかし、青山千鶴はその権力勾配に気づかない。
『弱い立場』である王千鶴を勝手に保護者のように守ろうとする、大日本帝国の統治に嫌悪感を示す一方で鉄道や建築物などが新しくなったのは日本のおかげ、作物の生産量が増え美味しくなったのは日本のおかげと無邪気に言う、台湾の景色信仰が奪われたことに気づきもしない、珍妙な動物を面白がるように台湾の習俗を上から品評する──青山千鶴の言動には、アイデンティティを奪われた被植民地の人々の苦しみに気づかない統治者の傲慢さが溢れていた。その残酷さは、王千鶴を傷つけ続け決定的な断絶を生んでしまう。

それでも、王千鶴も青山千鶴と旅をし、いっしょに台湾のグルメを食べることを楽しんでいたことも真実なのだ。許せない感情と愛情とは時に同居することもある。
役者あとがきで紹介された筆者の「私は、愛で乗り越えることが困難なものであればあるほど、逆に愛に近いものだと思っています」という言葉に胸がいっぱいになる。

台湾は親日国だと無邪気に言う人たちは、台湾が日本に統治された歴史を考えたことがあるのだろうか。日本人として加害の歴史を学び忘れずにいなければいけないと改めて強く思わされた作品だった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年09月26日

翻訳とは思えないほど読みやすかったです。
だからあまりにも屈託なく無神経な千鶴子の物言いに
読んでるこっちがヒヤヒヤして、早く
この女に鉄槌を!って思ってたら
ガッツリ肘鉄喰らわされてホッとした笑

ただガツンと喰らわせるのが美島さんで驚いたけれど
あんな無神経女のお世話、大変だったろうな〜

千鶴...続きを読むから「この花は私だと思う、
偽人参には偽人参で生きていく覚悟がある」って
聞いても千鶴子はよく分かんないけど貴方が好きならって
この花を抜かないで愛でる、ということしかしない。

当然彼女は千鶴に失望されて去られる。
戦後千鶴子がずっと彼女を探し続けたのに対して
千鶴の過去は振り返らない態度、立派でした。

しかし百合テイスト、必要?
口についてたの指で拭われてペロリされて
赤面とか必要〜?

あと九州女児って言葉初めて聞いた笑
男尊女卑の日本にそんな言葉、多分ない。

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Posted by ブクログ 2023年08月28日

途中までは台湾の文化や風土、美味しそうな料理たちを知れる楽しさでいっぱいだったが千鶴子の他人を思い遣っているようで実際は自分本位で傲慢な言動に苛立ちを覚えるようになった。
立場が違うからこそ仕える者は不要なことは口にしないし聞かれもしない自分のパーソナルな部分は語らず求められるままに尽くすということ...続きを読むは職場で、親戚間で、近所で、どこかしこで起こり得る。
見えない部分を自分の都合の良い想像で補いお互いが大切な存在だと思い込むことの怖さがよく分かった。

日本人と台湾人の歴史観・価値観の違い、女と女の友情と呼ぶには甘すぎる関係など食べ物だけではなく様々な事情が絡み合い複雑で一筋縄では行かない物語だった。

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