あらすじ
全米図書賞受賞作家の最新作!
台湾グルメ×レトロ建築×女子共同生活
「あんたと一緒にいない日々は、とても寂しかった」
ワケあり住人たちが味わう未知の痛みと、百年前の台湾料理。
昭和十三年築の日式建築・四維街一号には、
四人の大学院生と酒呑み大家が暮らす。
一階は、BL作家の知衣と聡明でモテる小鳳、
二階は、苦学生の家家とシャイな乃云。
互いに秘めた想いを抱え食卓につく住人たちは、
あるとき『臺灣料理之栞』という古書を発掘する。
五人の孤独が手繰りよせた〈ある家族の苦い歴史〉とは―――
◆池澤春菜さん満腹◆
「なんでこんなに懐かしいの? 四維街一号に、きっとわたしも住んでいた」
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
とてもよかった。
堂々たる四十路のおっさんである手前、百合な部分はどうぞどうぞご自由にということで、繊細な恋愛の機微も、友情の萌芽も、そんなものなんですねと受け止めつつ、、、
五人全員が魅力的なキャラクターだったが、それぞれがしっかりと、学問に身を置いた経験があるからこそ滲む、知性のようなものが見え隠れしてて、ただのイマドキな若者たちではない芯のようなものを感じて眩しかった。(全員が学部生ではなく、大学院生、または大学院経験者ってのがいいですよね)
個人的に、後書きに出てきた雲林科技大に仕事で訪れたことがあり、四人の通う大学って、などと想像したりしつつ、楽しかった。
きっとこれから、ドラマになったり、漫画になったり色々する気がするな。
前作の『台湾漫遊…』も読みましたが、
台湾の歴史や文化(食文化多め!笑)、政治を取り込みながら、何かを全肯定も全否定もしない、しかしながら、物語の背後にある著者のメッセージのようなものは確実に読者に届く、独特のバランスの物語。台湾文学の面白さが凝縮されたような作家だなと思いました。(エラそうにすみません)これからの作品も、できればこの五人の続編も!もっともっと読みたい。
Posted by ブクログ
漢方を普段から取り入れてたり(蟹は冷えるから酒蒸しにして温めたとか)、漢詩を諳んじたりしててすごすぎる 教養…!
でも日本のアニメの話もしたり
ほっこりするけどそれだけじゃなく複雑なところもあって、台湾の歴史のほうも本読まなきゃなって思った
台湾漫遊鉄道のふたりぶりの楊双子先生の作品でした。台湾の歴史、食事、そして百合。古いシェアハウスで暮らす5人の連作短編集のような形態で、出自も性格も違う女性たちが描かれています。現実の時勢と重なる部分もあり、大変面白かったです。
Posted by ブクログ
台湾の台中にある古い日本式家屋で暮らす女性5人。独特な建物の中で暮らす5人の個性がぶつかり合って日々の生活の様子がとても面白い。台湾の過去、現在、そしてこれからについても思いを馳せられる本。台湾ならではの文化や食べ物の描写も素敵。
Posted by ブクログ
知衣と小鳳は良い百合
「台湾の少年」を読んだところだったので、外省人の家系は政権交代に対してああいう反応になることもあるのかと驚いてしまった。
Posted by ブクログ
台湾台中市の路地"四維街一号"に佇む日式建築。台湾が日本帝国統治下にあった昔に建てられたこの建物には、今、大家の"安修儀"とともに近くの国立大の女子大学院生4人が住む。一階一〇一号室には、クールで浮世離れしたBL作家の"郭知衣"。一○二号室には、お嬢様育ちでありながら異性同性問わず複数のセックスフレンドを持つ奔放な"虞小鳳"。二階二○一号室は、貧しい身の上のためお金が無いことを気にするプライドの高い"徐家樺"。そして、二○二号室に、シャイで人付き合いの苦手な"瀟乃云"。
4人のシェアメイトと大家は、"四維街一号"の館の歴史にまつわる秘密に触れながら、互いの秘めた思いにも心を馳せていく…。
台湾の食べ物や文化がたくさん出てきて読んでいて面白かった。そして、お国柄なのか(単にこの小説に出てきた5人の特徴なのか)、この人たちは日本の若者とはまた違った感性や意識を持っているのだなと考えさせられた。
特に、"家樺"(家家)。貧しい苦学生は日本にもたくさんいそうだが、周りの人から助けられること、食べ物を分けてもらうことをこれだけ熱烈に嫌悪するプライドの高さをもった若者は日本には少ないのではないかと思えた。
他の女性も、自身に強い"誇り"のようなものを持っている。これはお国柄だろうか?
Posted by ブクログ
4人の入居者について楽しみながら読んで、大家さんのとこで、あっ、こんなのが最後に来るんだ、と。台湾への飛行機の中で読んで思いがけずも涙があふれた。
台湾のこと知りたいと思うと、どうしたって戦争や中国について知らなければ理解が深まらないだろう。
興味を外へも伸ばしていきたい。
Posted by ブクログ
同時期に読んだダガー賞受賞作のシスターフッドものがあまりにピンと来なかったことも影響しているのか、翻って、本作はものすごく良かった。ヤクザの世界を通して男性性をことさら強く意識付け、メインキャストの性を相対化させる件の作を評価した英国ミステリー界を全く理解できない我が身としては、多様性を一個性として認めながら人間同士の魂の交流、成長のあゆみをつぶさに描き出す本作、大衆百合文学こそを激推ししたい。メシもうまそうだし言うことない。肝はやはり「舞台裏」。政治的に無気力な自分は本作者のような熱量を物語にこめることは、不可能、なのだろうか。自らのアイデンティティを見つめ続ける姿勢に何よりの敬意を覚えた。
Posted by ブクログ
「台湾漫遊鉄道のふたり」が面白かったので、絶対読もうと思っていた本。楊双子さんの本はとにかく読みやすくていちいち会話が面白いし、美味しそうなものが沢山出てくるので、読んでいて楽しい!そして食の大事さが伝わってくる。台湾初心者だけど、歴史についてもちゃんと要約されているので迷子にならない。今も5人がわちゃわちゃご飯についてお話ししてそう。
Posted by ブクログ
g-mapで見たら建物ありますね。
1996年に大陸からミサイルが飛んできて、2000年には民進党に政権交代した。この間も当地に住んでいて台湾の大きな変化を肌で感じていた。
Posted by ブクログ
なんとなく『海街diary』を思い出した。(ただしこちらの5人はまったくの他人であるが)ただ、なんとなく。
自分は何者なのか?(エスニック・グループであったり性的志向であったり……)が、シェアハウスの店子4人と大家、それぞれの(時間的なズレはあるものの)意識の表面に(自然と、あるいは他からの刺激によって)顕れてくる。登場人物全員が女性なので「百合もの」の色合いは帯びるものの、それがテーマではない。
登場人物ごとに章を割いて描いていくが、人数が多いせいか、『台湾漫遊鉄道のふたり』ほどの彫り込みには至っていない印象。
作中にでてくる1914年出版のレシピ本、実在するそうなので(解説文)、翻訳出版したら面白そう。と思うほどすべての料理が美味しそうだった。