三浦裕子のレビュー一覧

  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    台湾グルメ紀行文かと思いきや、なかなか気づくことがあった。
    日本人の多くが青山千鶴子みたくなってないか?
    親切心のつもりで「日本」を押し付けてないか?
    某国は日本のお陰で文明化したとか無邪気に言っちゃってないか?
    そうなのかもしれないし、新日かもしれないし、そこには日本のものが溢れているかもしれない。でも「ほら、よかったでしょう?」とか言われちゃう方はモヤるだろうな、と物語の中でさりげなく見せてくれた。
    パターナリズム:父が子に対するように、温情のつもりで干渉すること。雇用関係や、医師と患者の関係などにみられる(三省堂国語辞典)

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    2025年11月27日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    素晴らしい小説でした。
    日本時代の台湾を舞台に、妙齢の日本人女性作家青山千鶴子と教養あふれる台湾人女性通訳王千鶴の旅と美食と、お互いが寄せ合う心情の機微とが描かれます。二人の立場の違いのせいで、心を寄せ合っていながらも離れざるを得ない二人がなんとも悲しかったです。
    初めて読んだときはこの機微に気づかずに、ちょっと鈍感な青山さんのように、王さんがなぜ離れていくのかわからず、最後の場面で二人の真情に触れた思いでしたが、今回はそれぞれの場面で王さんの思いが行間からにじみ出てきて胸に迫るものを感じながら読み進めました。
    再読することで感動が増し、すっかり作者の楊双子さんのひいきになってしまいました。

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    2025年11月27日
  • 四維街一号に暮らす五人

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    とてもよかった。

    堂々たる四十路のおっさんである手前、百合な部分はどうぞどうぞご自由にということで、繊細な恋愛の機微も、友情の萌芽も、そんなものなんですねと受け止めつつ、、、
    五人全員が魅力的なキャラクターだったが、それぞれがしっかりと、学問に身を置いた経験があるからこそ滲む、知性のようなものが見え隠れしてて、ただのイマドキな若者たちではない芯のようなものを感じて眩しかった。(全員が学部生ではなく、大学院生、または大学院経験者ってのがいいですよね)
    個人的に、後書きに出てきた雲林科技大に仕事で訪れたことがあり、四人の通う大学って、などと想像したりしつつ、楽しかった。

    きっとこれから、ドラマ

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    2025年11月05日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    昭和初期。母と叔母と住んでいる青山千鶴は小説家。おうちにいるとお見合いの釣書ばかり見せられるのに嫌気がさし、小説「青春記」が映画化された記念に台湾より招聘されたのを良いことに台湾へと旅立つ。そこで共に大食いの王千鶴さんが通訳としてつく。台湾国内を漫遊しつつ、「台湾漫遊記」を連載。公演などしながら、台湾の旅や食を楽しむふたりだが、もっと仲良くなりたい千鶴と、職業上の関係を保ちたい王の間ですれ違いが起こる。帝国と島、男性と女性、内地人と本島人の差別に敏感なふたりに友情は育まれるのか?あとがきに「青山洋子(千鶴娘)」と「王千鶴」によるものがあったので、本当にあったことなのか!!と驚いたところで、種明

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    2025年11月01日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    日本の植民地時代の台湾を描いたものである。政治的な説明ではなく、本省人と内地人という立場で、日本人の女性が台湾を旅行して台湾の食べ物を食べ尽くすという形式である。隣国の・・・という本で紹介されていた。フィクションではあるがよく書かれていて台湾に行った気になる。

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    2025年10月30日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    舞台は日本植民地時代の台湾。
    講演会のため台湾に滞在する作家の千鶴子と、通訳として彼女の身の回りの世話をする千鶴。2人の女性が共に過ごした日々が丁寧に描かれた小説。

    物語の導入や後書きがノンフィクションのように描かれているため、一瞬、小説だという事を忘れてしまいました!物語に入り込む仕掛けとして新鮮で面白い。

    登場する多彩な台湾料理は、どれも美味しそうで、どんな料理か想像するだけで楽しい。
    鉄道で巡る行き先での旅の風景を、実際に見てみたいという気持ちに駆られました。

    2人の繊細な心境の変化が丁寧に描かれ、中盤から後半にかけての展開にグッと引き込まれました。2人の距離がなかなか縮まらない理

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    2025年10月19日
  • 四維街一号に暮らす五人

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    漢方を普段から取り入れてたり(蟹は冷えるから酒蒸しにして温めたとか)、漢詩を諳んじたりしててすごすぎる 教養…!
    でも日本のアニメの話もしたり


    ほっこりするけどそれだけじゃなく複雑なところもあって、台湾の歴史のほうも本読まなきゃなって思った

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    2025年10月10日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    日本作家・青山千鶴子と台湾人通訳・王千鶴が台湾で公演活動を行いながら、その地の食べ物を食べ尽くす勢いで食べる。食の旅行記に見せかけながら、日本統治下の台湾の様子が後半から見えてくる。
     作家青山千鶴子の豪放磊落さが前半は少し鼻につくが通訳王千鶴との交流から、その当時の日本人と台湾人の考え方が想像できる。友情には至らないけれどお互いの立場を理解して、心の交流を持った二人は友情を超えた絆を一生持ち続けることとなる。
     台湾の歴史をいろいろ考えさせられる本。また、台湾に行って食を楽しみたくなる本。
    この作家の新作を読みたくなった。

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    2025年10月04日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    昭和12年、作家の千鶴子は赴いた台湾で通訳の千鶴に出会う。千鶴から教わる知らなかった台湾、知らなかった食、そして知らなかった自分の本当の姿。
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    台湾を舞台にした百合小説、という触れ込みだったので気軽に読んだのですが、これがなかなかの噛みごたえでした。
    以前台湾を旅行する際に、いまだに統治時代の日式建築がたくさん残っていること、その下に埋もれたもの、を意識して街を歩きたいと思っていました。しかし実際に行ってしまうと旅行に浮かれてあまりそうした重い側面について考えられなかったのです。この本ではそうした側面をしっかりと刻みつける意図が感じられて、単なるお気楽百合ものとは

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    2025年10月03日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    昭和初期の台湾を舞台にしており、その当時の台湾の生活や社会風俗を知ることができて、時代小説としても学びが多い作品だった。日本が統治している時代で、征服者と非征服者の関係や、非征服者が潜在的に押し付けられていると感じる劣等感や文化を押し付けられている感覚がジワジワと感じ取れる文章だった。私は沖縄が故郷だが、歴史的に征服された経緯があるので沖縄の人が内地の人に抱く感情にも似ている部分があると感じた。

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    2025年10月01日
  • 四維街一号に暮らす五人

    購入済み

    台湾漫遊鉄道のふたりぶりの楊双子先生の作品でした。台湾の歴史、食事、そして百合。古いシェアハウスで暮らす5人の連作短編集のような形態で、出自も性格も違う女性たちが描かれています。現実の時勢と重なる部分もあり、大変面白かったです。

    #エモい #感動する

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    2025年09月24日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    初めての台湾文学
    面白かった。
    今年のマイベスト10に入りそう。

    「この世界で、独りよがりな善意ほど、はた迷惑なものはございません」
    統治する側、される側には、どうしても乗り越えられない壁がある。

    作品は日本人作家側から書かれ、
    くだけた表現もあり読みやすかった。
    日本料理、台湾料理、当時の暮らしも盛り込まれ、ここも魅力的でした。

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    2025年09月04日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    ネタバレ

    いろんな仕掛けがある本だった。
    特に女性同士であることによる現代人からの感情移入のしやすさと権力関係の見えなさ。

    もしこれが日本人男性が現地の女性に翻訳兼料理人をさせている話だとすれば、読者すぐにその権力関係に気づいただろう。

    あと最後に主人公が被害者ポジションを取らずにしっかりと謝ったところが良かった。

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    2025年08月28日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    ネタバレ

    青山千鶴子という作家、聞いたことないなと思って読んで、あとがきで全部フィクションだったと知った。面白かったから問題ないけど、こんな手法あるんだ〜とびっくりした。
    支配者と被支配者の間には友情が成立しない。でも人として気にかけることはできる。「私だけのために料理をしてくれた初めての人です」という言葉が好きだなあ。

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    2025年08月17日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    美食グルメ本かと思いきや、ちゃんと当時の歴史の裏がある作品でした。読みてない日本人だからこそ、物語の中の登場人物の異変にラストまで気付かなかったのかなと胸が締め付けられました。
    それでも少しでも2人の間に芽生えた関係があったこと、フィクションなのに願ってしまいました。

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    2025年08月12日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    とにかく読んでみることをお勧めしたい本

    日本と台湾 千鶴子と千鶴
    似ている様で似ていない
    近い様で別の国
    二つの国の歴史と2人の歴史

    凄く読みやすいのに
    ラストの重厚感は圧巻

    清朝や台湾
    台湾グルメに興味がある方は特に
    そうでない方にもぜひ
    一度手に取って貰いたい名作

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    2025年08月12日
  • 海風クラブ

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    “ある場所は、いったん人が踏み込んでしまったら、もう無傷ではいられない”
    山に擬した伝説の巨人の身体に足を踏み入れた少年と少女は成長し、様々な人々と出会う。
    丁寧に一人ひとりのストーリーを追いながら、台湾の先住民族に対する負の歴史へ、更に日本による占領統治時代へと物語は奥行きを増してゆく。

    同時に、原住民であるタロコ族(トゥルク)の村が国策と企業の利権を伴う大規模な開発により押し潰されてゆく様が描かれる。
    ここでも無慈悲で大きな力の前で揺れ動く一人ひとりの心情に寄り添い、掬いあげてゆく。

    鋭く現実の社会問題に斬り込みながら、ウー・ミンイーはファンタジーと融合することを恐れない。それは決して

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    2025年06月28日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    本書には、ギミックがあり、それを知らなければ面白く読める。もちろんギミックが面白いと感じればであるが。そして、もちろんギミックを知っていても十分に面白いので安心して読んでほしい。

    さて本作は、日本統治下の台湾を舞台に、作家の青山千鶴子と通訳の王 千鶴が美食を求めて鉄道旅をするという話である。随所に食の話がちりばめられており、食べたくなることこの上なしである。

    この2人、とにかく大食漢であり腹の中に妖怪を住ませている。ページをめくるたびに出てくる食、食、食のオンパレードが楽しい。

    また歴史という面でみると、日本統治下という状況を扱った仕事である。統治された側の視点が入っているのは、非常に興

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    2025年06月21日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    昭和13年、台湾へ講演旅行にやってきた小説家・千鶴子と、現地通訳・千鶴。帯文の「台湾グルメ✕百合✕鉄道旅」に偽りがなかった。
    言葉が通じても、美しい景色を共にしても、おいしいものを共に食べても、分かり合えるとは限らない。
    と、切なくなったところからの最後のすくい上げがとても素敵で本当に良かった。

    訳者による原書の構成や当初の出版経緯についての話もおもしろかった。挑戦的な作品。

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    2025年06月16日
  • 海風クラブ

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    自然と開発、神話と現代、貧富や人種とさまざまな対比を描きつつ、主要人物それぞれの過去と現在、全てを抱え込んだ呉明益渾身の小説世界。

    とても私なんかがこの本の良さを表現できないが、最後、振り返って小さな2人が入れ替わった意味を考えてしまった。

    しかし実家の山も巨人だったのかな。3本足の小動物は見かけなかったが、コウモリはいたしな。

    いやー、讃!!

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    2025年05月24日