三浦裕子のレビュー一覧
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登場人物に嫌な人がいない、読んでいてとても気持ちがいい
全員芯がありつつ迷いもあり、そこがとてもチャーミング
大好きな映画、かもめ食堂を感じた。
謎解き要素あり、なかなかの大掛かりなストーリー
台湾の中の日本や中国文化、歴史との関わりと現代に生きておる女性がどう感じているかが垣間見れてすごく面白かった。
みなさん当たり前の前提としてそれを受け入れて、うまく利用して飄々と生きている感じ。そこに芯を感じた。
大事な時に必ず出てくる料理描写が凄く良い。美味しいものを作り、一緒に食べることで共有して消化して次のステージに行く感じ、女性の生き方として共感できる。
台湾で日本建築を探して美味しいものを食べる旅に行きたくなる。 -
Posted by ブクログ
前半は、主人公・千鶴子のズケズケとした物言いや振る舞いに強い違和感があり、なかなか読み進めることができなかった。
しかし、ふたりの関係に決定的な亀裂が入って以降は一気に引き込まれ、夢中で読み進めた。
物語を通して見えてきたのは、ふたりの関係が本質的には対等ではあり得ないという構造である。
それにもかかわらず、千鶴子の開けっぴろげで率直な性格、そして後半に見せる反省と真っ直ぐな気持ちによって、一瞬ではあっても確かな絆が生まれたことが印象に残った。
前半の読みにくさは、単なる性格の問題ではなく、支配階級に属する者としての無意識の傲慢さが滲んでいたためだと、読み終えてから納得できた。
また、この作品は登場人物だけでなく、自分自身の認識にも揺さぶりをかけてきた。
白色テロの時代との対比などから、日本統治時代について「まだ秩序があった」という一面的な理解に寄りかかっていた自分に気づかされ、その裏で台湾の文化や歴史が踏みにじられていた現実に対して、強い悲しさと苦さを覚えた。
登場人物については、千鶴子のような無遠慮で開かれた態度には苦手意識を持ちつつも、その自由さにはどこか羨ましさも感じる。一方で、王千鶴のように感情を仮面の下に押し込めて生きる在り方は、合理的で賢い選択である反面、あまりにも悲しく過酷に思える。
自分自身もまた、繊細さと鈍感さを併せ持ち、無自覚に踏み込みながら後から気づいて反省するタイプであると感じている。その意味で、この物語は他人事ではなく、自分の在り方への戒めとしても強く響いた。
本作は、無意識の偏見や傲慢さへの警鐘であると同時に、それでもなお人と人との間に一瞬の真実の関係が生まれ得るという希望も描いている。
戒めの書であり、希望の書である。 -
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台湾台中市の路地"四維街一号"に佇む日式建築。台湾が日本帝国統治下にあった昔に建てられたこの建物には、今、大家の"安修儀"とともに近くの国立大の女子大学院生4人が住む。一階一〇一号室には、クールで浮世離れしたBL作家の"郭知衣"。一○二号室には、お嬢様育ちでありながら異性同性問わず複数のセックスフレンドを持つ奔放な"虞小鳳"。二階二○一号室は、貧しい身の上のためお金が無いことを気にするプライドの高い"徐家樺"。そして、二○二号室に、シャイで人付き合いの苦手な"瀟乃云"。
4人のシェアメイトと大家は、"四維街一号"の館の歴史にまつわる秘密に触れながら、互いの秘めた思いにも心を馳せていく…。
台湾の食べ物や文化がたくさん出てきて読んでいて面白かった。そして、お国柄なのか(単にこの小説に出てきた5人の特徴なのか)、この人たちは日本の若者とはまた違った感性や意識を持っているのだなと考えさせられた。
特に、"家樺"(家家)。貧しい苦学生は日本にもたくさんいそうだが、周りの人から助けられること、食べ物を分けてもらうことをこれだけ熱烈に嫌悪するプライドの高さをもった若者は日本には少ないのではないかと思えた。
他の女性も、自身に強い"誇り"のようなものを持っている。これはお国柄だろうか? -
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同時期に読んだダガー賞受賞作のシスターフッドものがあまりにピンと来なかったことも影響しているのか、翻って、本作はものすごく良かった。ヤクザの世界を通して男性性をことさら強く意識付け、メインキャストの性を相対化させる件の作を評価した英国ミステリー界を全く理解できない我が身としては、多様性を一個性として認めながら人間同士の魂の交流、成長のあゆみをつぶさに描き出す本作、大衆百合文学こそを激推ししたい。メシもうまそうだし言うことない。肝はやはり「舞台裏」。政治的に無気力な自分は本作者のような熱量を物語にこめることは、不可能、なのだろうか。自らのアイデンティティを見つめ続ける姿勢に何よりの敬意を覚えた。
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ネタバレなんとなく『海街diary』を思い出した。(ただしこちらの5人はまったくの他人であるが)ただ、なんとなく。
自分は何者なのか?(エスニック・グループであったり性的志向であったり……)が、シェアハウスの店子4人と大家、それぞれの(時間的なズレはあるものの)意識の表面に(自然と、あるいは他からの刺激によって)顕れてくる。登場人物全員が女性なので「百合もの」の色合いは帯びるものの、それがテーマではない。
登場人物ごとに章を割いて描いていくが、人数が多いせいか、『台湾漫遊鉄道のふたり』ほどの彫り込みには至っていない印象。
作中にでてくる1914年出版のレシピ本、実在するそうなので(解説文)、翻訳出版したら面白そう。と思うほどすべての料理が美味しそうだった。