三浦裕子のレビュー一覧
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何よりも出てくる台湾の食べ物が美味しそうで、それをダイエットとか関係なしに食べまくるのがうらやましく、そこに惹きつけられた。台湾行って食べたい。私の実力ではどれくらいのもの見つけて食べられるかわからないが。
百合小説というのは全く馴染みがないが、なんかドキドキしてくるように書かれているのでドキドキした。
そして何よりも植民地の人と宗主国の人との関係。友情は成り立つのか。恋愛は成り立つのか。上下の関係にならないでいることはやはり難しい。男女の恋愛なら、いくつかの小説が思い浮かぶし、それが同性同士でも同じとは思うものの、同性であるからこそ、上下であって欲しくない。これって同性同士を特別視してるってことになるのか。
葉山博子「南洋標本館」を少し思い出しながら読んだ。日本人の作家と台湾の作家が台湾の植民地時代を描くのは気持ち的に違うだろうと思う。どちらも30代くらいの作家が描いているというのがとてもいいなあと思う。
小説を読むとその時代にタイムスリップでき、登場人物と一緒に考え、感じることができる。特に日本人にとっては忘れてはいけない歴史だし、それなのに過去を知らなさすぎると思うので、小説を読んで知り、考えたい。 -
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ネタバレ掘り起こされた未出のこの台湾旅行記は、当時の日本の領地で出会った日本人と内地人の美しくも脆い記憶であり、未来への約束、そして時を超えて子から成し遂げられた友情の手紙である。
なんて言おうかと思ったら"あとがき"で設定は全て嘘だと。元からその設定を知っていたら⭐️4はつけていたと思いますが、ここまで読んで「嘘だよ!」と言われたら、自分の純粋な心を慰めるために反発してしまうこの行為は、心の弱さと懐の狭さからでしょうか、、?
一部ではこの歴史小説風フィクションで読者を騙すスタイルが、確立された新たなジャンルだとの声があるそうですが、ミステリーとは違うこの騙し方はあんまり気持ちが良くないと思ってしまった。
何れにせよ、台湾特に台中をメインに、当時の日本と台湾の情勢を美しくもギクシャクとした友情で描きながら、鉄道を通してローカルな食べ物を詳細に描くこの作品の細かさは素晴らしいと思います。相当なリサーチを必要としたと思います、拍手です。
このリサーチ量と旅の記録的な描き方はとことん事実と思わせてくれます(チクショー)。
結局ですが完全に騙されたわけですし、子を通して何度もの歴史の転換を経て出版された(フィクション)この旅行記の設定は、物語として良いものであったと思います。
ただ神聖な"あとがき"を汚された感は拭えません。笑
色んな方の意見を後で見てみようと思います。
追記
楊双子さん42歳らしいです。
出版時は30代、この若さだと作品設定の時代とは被っていない人生を送られているはずなので、一層このリサーチ力・量には脱帽です。やっぱりフィクションなの悔しいけど、凄いですわ。⭐️4に変えます!
また、"真のあとがき"にて言及されている主人公2人のモデルについてのお話も非常に面白いです。
諸々含めてこの1冊をまとめ上げたのは素晴らしい功績です。
楊双子さんはこの小説は台湾でいう女同志小説ではなく百合小説と発言しているそうです、この部分のニュアンスの違いや、中国台湾では女同志小説が進んでいると言うことも知れました。台湾文学はまだ日本にない部分で進んだ文学かもしれません。これからも読んでみようと思います。
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ジャケ読み。前からこのルドンみたいな表紙気になってたんですが、著者の描いた表紙と聞いて、二度びっくり。
読後感想は、複雑で多層的だなーという印象。ファンタジー要素も入っていて、多少寓話的にはなってるんですが、台湾現地住民のタロコ族や、国民党軍についてきて、そのまま台湾で暮らした老兵(映画「霧のごとく」の公道思い出しちゃった)が登場人物にいたり、台湾の複雑な社会状況をそのまま表しているかのようでした。
物語の大きな事件であるセメント工場の建設も、反対する人、受け入れる人、生活を優先する人とその反応は多種多様で、ここにも世の中の複雑さが表現されているような。
複数の登場人物を描きながら、複雑で混沌とした社会そのものを写し取ろうとしているように感じる話でした。 -
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登場人物に嫌な人がいない、読んでいてとても気持ちがいい
全員芯がありつつ迷いもあり、そこがとてもチャーミング
大好きな映画、かもめ食堂を感じた。
謎解き要素あり、なかなかの大掛かりなストーリー
台湾の中の日本や中国文化、歴史との関わりと現代に生きておる女性がどう感じているかが垣間見れてすごく面白かった。
みなさん当たり前の前提としてそれを受け入れて、うまく利用して飄々と生きている感じ。そこに芯を感じた。
大事な時に必ず出てくる料理描写が凄く良い。美味しいものを作り、一緒に食べることで共有して消化して次のステージに行く感じ、女性の生き方として共感できる。
台湾で日本建築を探して美味しいものを食べる旅に行きたくなる。 -
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前半は、主人公・千鶴子のズケズケとした物言いや振る舞いに強い違和感があり、なかなか読み進めることができなかった。
しかし、ふたりの関係に決定的な亀裂が入って以降は一気に引き込まれ、夢中で読み進めた。
物語を通して見えてきたのは、ふたりの関係が本質的には対等ではあり得ないという構造である。
それにもかかわらず、千鶴子の開けっぴろげで率直な性格、そして後半に見せる反省と真っ直ぐな気持ちによって、一瞬ではあっても確かな絆が生まれたことが印象に残った。
前半の読みにくさは、単なる性格の問題ではなく、支配階級に属する者としての無意識の傲慢さが滲んでいたためだと、読み終えてから納得できた。
また、この作品は登場人物だけでなく、自分自身の認識にも揺さぶりをかけてきた。
白色テロの時代との対比などから、日本統治時代について「まだ秩序があった」という一面的な理解に寄りかかっていた自分に気づかされ、その裏で台湾の文化や歴史が踏みにじられていた現実に対して、強い悲しさと苦さを覚えた。
登場人物については、千鶴子のような無遠慮で開かれた態度には苦手意識を持ちつつも、その自由さにはどこか羨ましさも感じる。一方で、王千鶴のように感情を仮面の下に押し込めて生きる在り方は、合理的で賢い選択である反面、あまりにも悲しく過酷に思える。
自分自身もまた、繊細さと鈍感さを併せ持ち、無自覚に踏み込みながら後から気づいて反省するタイプであると感じている。その意味で、この物語は他人事ではなく、自分の在り方への戒めとしても強く響いた。
本作は、無意識の偏見や傲慢さへの警鐘であると同時に、それでもなお人と人との間に一瞬の真実の関係が生まれ得るという希望も描いている。
戒めの書であり、希望の書である。 -
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台湾台中市の路地"四維街一号"に佇む日式建築。台湾が日本帝国統治下にあった昔に建てられたこの建物には、今、大家の"安修儀"とともに近くの国立大の女子大学院生4人が住む。一階一〇一号室には、クールで浮世離れしたBL作家の"郭知衣"。一○二号室には、お嬢様育ちでありながら異性同性問わず複数のセックスフレンドを持つ奔放な"虞小鳳"。二階二○一号室は、貧しい身の上のためお金が無いことを気にするプライドの高い"徐家樺"。そして、二○二号室に、シャイで人付き合いの苦手な"瀟乃云"。
4人のシェアメイトと大家は、"四維街一号"の館の歴史にまつわる秘密に触れながら、互いの秘めた思いにも心を馳せていく…。
台湾の食べ物や文化がたくさん出てきて読んでいて面白かった。そして、お国柄なのか(単にこの小説に出てきた5人の特徴なのか)、この人たちは日本の若者とはまた違った感性や意識を持っているのだなと考えさせられた。
特に、"家樺"(家家)。貧しい苦学生は日本にもたくさんいそうだが、周りの人から助けられること、食べ物を分けてもらうことをこれだけ熱烈に嫌悪するプライドの高さをもった若者は日本には少ないのではないかと思えた。
他の女性も、自身に強い"誇り"のようなものを持っている。これはお国柄だろうか? -
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同時期に読んだダガー賞受賞作のシスターフッドものがあまりにピンと来なかったことも影響しているのか、翻って、本作はものすごく良かった。ヤクザの世界を通して男性性をことさら強く意識付け、メインキャストの性を相対化させる件の作を評価した英国ミステリー界を全く理解できない我が身としては、多様性を一個性として認めながら人間同士の魂の交流、成長のあゆみをつぶさに描き出す本作、大衆百合文学こそを激推ししたい。メシもうまそうだし言うことない。肝はやはり「舞台裏」。政治的に無気力な自分は本作者のような熱量を物語にこめることは、不可能、なのだろうか。自らのアイデンティティを見つめ続ける姿勢に何よりの敬意を覚えた。