三浦裕子のレビュー一覧

  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    ネタバレ

    前半は台湾料理ばかりであまり進まなかった。

    植民地にする側とされる側、千鶴子にはそんな認識なかったのかもしれないけど、それでも底の底の根っこにはそんな意識があって、知らず知らずのうちに平等であるべき立場に上下ができてしまっていたんだな。
    この時代は現在とは違うけれど、それでも千鶴子のような言動は私自身無意識のうちに取ってしまっていることがあるかもしれない。傲慢だ。

    恥ずかしながら台湾が日本の植民地だった時代の出来事や詳細は知らなかったけれど、植民地にされた土地は、その土地の伝統ある文化や遺物や考えが淘汰される、それが支配されることなんだなと考えた。

    最後の構成が素敵だった。まるで青山千鶴

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    2025年06月23日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    ネタバレ

    食通なので読んでいてすごく楽しいが、主人公はまさに食いしん坊万歳の世界で様々な料理が巧みな描写で見事に平らげるさまが描かれる。日本統治時代も晩年の昭和13年頃の文筆家(林芙美子がモデルらしい)と現地の通訳女史が講演会ついでに台湾全土を食で行脚するなかで、2人の会話と培われる友情、そして百合感情の物語。小説は軽い入れ子構造で、二人の関係は統治国(内地)と本島の真の関係も彫り込まれている。特に大きな事件もなく淡々と進むけど穏やかな気持ちになれる良品。翻訳大賞は当然と思った。

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    2025年05月21日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    傲慢で愚鈍で、どうしようもない大食漢で心優しい青山さんだからこそ救いも。ただ「帝国の政策を批判するのも称賛するのも、それが正しいか正しくないかではなく、青山先生の好き嫌いで考えているにすぎない。自分の好みに合わせて強引に解釈づけるのは知識階級の傲慢。帝国は、本島に美しいものを生み出したという青山先生のそのお言葉は、本島と本島人を侮辱するに等しいもの」「善意からの援助であっても、基本的にはただの傲慢にすぎない」「この世界で、独りよがりな善意ほど、はた迷惑なものはない」のも事実。抑圧と葛藤抱えながら大人の振る舞いに終始した千鶴。台湾が歩んできた複雑な歴史、大日本帝国の爪痕。友好、漫遊ではすまない。

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    2025年05月18日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    第二次世界大戦前の台湾を舞台に、執筆・講演活動中の女性と通訳の現地女性とのやりとり。支配する者とされる者の大きな壁、今まで考えたことがなかった台湾の状況になるほどなーと思った。主人公の女性が大食いで食事の描写も楽しい。

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    2025年11月24日
  • 台湾はだか湯めぐり 北部篇

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    日本の銭湯文化との違いが面白かった。スマホ持ち込みはさすがに嫌だが本の持ち込みは日本でも許容してくれたら嬉しいなーと思いながら読んだ。まあ、読んだだけで台湾に行くことは滅多にないし銭湯に行くことはまずないだろうから内容はほとんど頭に入ってこなかった

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    2025年10月24日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    台湾各地で食べるローカルフードはどれも美味しそうで食欲をそそります。
    小説のモデルになった「愉快なる地図」もおすすめです。

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    2025年10月17日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    今までありそうでなかった、そんな日本・台湾横断型旅小説。

    実際の明治期〜昭和期にはこの手の植民地見聞録、弥次喜多道中的ジャンルはよくあったわけで。
    敗戦と共にぶっちり途絶えたジャンルの一つと言える。

    この小説のすごいところは何より、台湾人作者が描いていると言うこと。
    食べ物漫遊録というキャッチーさを兼ね備えつつ、植民地における支配者と被支配者の機微を下手にデフォルメせずに丹念に描いている。でも本来の漫遊録もののエンタメ性も損なっていない。
    詰まるところ、漫遊録ものの脱構築をかなり巧みにやっている。
    2人の女性の造形がまた上手い。千鶴子のお嬢様知識人設定もよく生きている。
    彼女の終盤での悟り

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    2025年07月16日
  • 台湾漫遊鉄道のふたり

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    昭和13年の台湾食文化✕台湾鉄道✕台湾友達をテーマにしている

    日本人小説家千鶴子(ちづこ)と台湾人通訳千鶴(ちづる)の話

    台湾料理のバラエティが富すぎて何も頭に入ってこないし、鉄道も地図で見てないからぼんやりとしかイメージできず。
    千鶴子と千鶴の交流に焦点を当てて読み進めると、何とか読めた。

    分かりやすくいうと
    千鶴子は無神経(本人に悪気がないので気づかず 無邪気)
    「千鶴ちゃんの人生がかわいそうでしょうがない」
    「本島の大家族、千鶴ちゃんの身の上の物語、異国情緒たっぷりのドラマよね。」

    ひとの人生をかわいそうと言っちゃう
    苦労もあったであろうその身の上を異国情緒たっぷりと例えてしまう

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    2025年05月30日