岡崎久彦のレビュー一覧

  • 戦略的思考とは何か 改版

    Posted by ブクログ

    1983年という冷戦機の最中に書かれたもので、状況そのものは古いが、戦略についての研ぎ澄まされた考え方と、読み手を飽きさせない資料や分かりやすい語り口は現代でも全く色褪せていない名著。古い著作なのだからもっと早く出会っていればとさえ思った。★5以上か。

    0
    2023年07月16日
  • 繁栄と衰退と

    Posted by ブクログ

    17世紀のオランダがイギリス、フランスとの戦争に入るまでいかに経済の繁栄と発展、栄耀栄華を誇っていたか、なぜそのことが戦争に突入せざるを得なかったか。その歴史を通して国の栄枯盛衰をオランダ史を通して学べ今後の日本がどのような方向に向かう可能性があるか、と言うことを考察している。非常に面白い本です。この本は国の政治経済を通した栄枯盛衰だけではなく一国ひいては一個人の人生においても非常に参考になるものであります。

    0
    2022年04月14日
  • 戦略的思考とは何か 改版

    Posted by ブクログ

    外交、軍事力、地理、日本や海外の国民性、歴史、経済等、幅広い視点からの戦略論。ページ数は少ないが、「戦略的思考とは何か」が濃縮されており、読み応え十分。

    中国やロシアの考え方などは、今でも全く当てはまり現代を予見していたかのように感じた。著者の本質を見抜く思考力に驚いた。
    軍事、国家戦略、自分たちに根付いた考え方など、積極的に議論される事が避けられるテーマを考える事の重要性も理解できた。軍事的な戦略論だが、著者の深い思考は、ビジネスや人生など幅広い分野で役立つと感じた。

    特に最終章の「総合的防衛戦略」では、日本を攻め取るには、という視点から経済的や軍事的に日本の弱点を現実的にとらえ、そこか

    0
    2022年04月02日
  • 戦略的思考とは何か 改版

    Posted by ブクログ

    古い本だけど、この本が書かれた時より昔のことについては変わるわけもなく、地政学的に日本の立ち位置が変わるわけも無いので今読んでもなるほど、と思う内容だった。

    日本の学校教育で戦争について学ぶことといえば、第二次世界大戦の悲惨さと反戦・平和主義一辺倒だが、純粋にリスク管理としての戦略論が一般教養として重要視されるべきだなと思った。
    自分と他国の立ち位置と実力にしっかりと向き合った上で、平和の為に最低限持つべき軍事力ってどれくらい?ということは考えたことも無かった。

    0
    2022年02月26日
  • 戦略的思考とは何か 改版

    Posted by ブクログ

    ◯秀吉の朝鮮出兵の失敗の原因
    1.日本側の戦闘能力過信
    2.戦略の驚くべき粗雑さ→情報と戦略のまったくの欠如

    ◯太平洋戦争における旧日本軍の致命的だった点
    →与えられた兵力で与えられた任務をいかに遂行できるか

    島国であるが故に、外部の情報に対する無関心さ、大きな意味での戦略的思考の欠如にいたる

    0
    2021年11月04日
  • 戦略的思考とは何か 改版

    Posted by ブクログ

    1983年初版で、40年近く前の冷戦下の時代背景であるが、今をもっても読み応え抜群である。
    外交官である著者の個人的認識であり学術書ではないとされているが、語られる戦略論は、軽薄な戦争ごっこではなく、日本の生き残り論であり、帝国主義時代から核時代・冷戦時代までを筋の通った論が展開される。
    繰り返し述べられることに「戦略レベルの失敗を戦術レベルで取り返すことはできない」「国際政治は相手がある事象なので国内的にどうしたい的な内向き論には意味がない」「情勢判断を置き去りにした方針や綱領に意味はない」など、内弁慶に流れやすい日本の企業や個人に対する教訓が多く読みとることができる。
    個人に置き換えれば、

    0
    2021年07月26日
  • 繁栄と衰退と

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ●海洋を支配する同盟国との関係が良好である限りにおいて許され得る道徳的孤立主義は、それを貫き過ぎると同盟関係の否定へつながる。(やりすぎると必ず報いを受ける)
    ●中央への権力集中の弱さは政策的一貫性の担保に支障を生じ、信頼性もとい外交力の弱さに直結する。
    ●17世紀の英国は、西という脅威がある限りにおいて蘭を庇ってくれた。20世紀の冷戦下での最大脅威は露、21世紀前半の現在における最大脅威は中国(+北朝鮮)に推移しているが、これらが脅威で無くなるとき、日米同盟は維持できるのか。50年後の日本のあり方が問われる。

    0
    2021年01月26日
  • 戦略的思考とは何か 改版

    Posted by ブクログ

    1983年が初版の本書でいう「戦略」とは、日本が100年以上にわたってとり続けている”反共産主義の歴史”における戦略のことで、おもに外交と安全保障の2点について詳しい。

    そのため「書かれた当時とは情勢が異なる」という前提で読む必要はないし、またそうした批判は意味がない。

    そしてこの戦略は、これまで途切れることなく続いてきたように「これからも延々とつづくのだろうなあ」と思うと不思議とホッとする。

    0
    2020年07月07日
  • 戦略的思考とは何か 改版

    Posted by ブクログ

    タイトルから経営に関わるものかと思い、初版が出た時に一度手に取った覚えがあるが、軍事防衛戦略関係だったので、あまり読まずに積読したまま、行方不明に。今回、改版されて改めて手に取って読み進めていくうちに、著者の洞察力と思考力には全く敬服した。歴史から学び、古典から学び、バランス感覚を持ち、こんな論者がいたのかと驚いた。時代的には米ソ冷戦時期の内容であるが、日本の防衛を考える基本的な根幹問題が本書にはある。

    0
    2020年03月22日
  • 日本人の歴史観 黒船来航から集団的自衛権まで

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    明治維新と大正デモクラシーを軽視するのは何故なんだぜ!!(これが想像以上に大きいポイントのようだ)というのが一番大きかったような。
    岡崎久彦さんも、坂本多加雄さんも、もういないというのが残念でならない。

    「本当の帝国主義者」陸奥宗光を虚飾を排してドラマ化して欲しいところである(^^;

    0
    2018年10月14日
  • 真の保守とは何か

    Posted by ブクログ

    岡崎さんの論は良い。
    特に、「戦後とは何であったかー『村田良平回想録』に思う」は必読だ。このような論者が少しづついなくなるのは寂しい限りです。

    また、
    真の保守主義は、経済問題ではなく、外交、安保、教育などの面で真価が発揮されるべきものである。
    は、なる程と頷かされる。

    国家、民族、家庭を守るのが保守主義という定義に異論はない。

    政治家に謙虚さがないのは致命的である。

    偏向とは
    日本から物質的だけでなく精神的にも報復能力を奪おうとした初期のアメリカの占領政策。
    憲法しかり、左翼的偏向教育と報道しかり。
    これらを克服することが、真の保守主義である。

    1
    2015年06月17日
  • 陸奥宗光とその時代

    Posted by ブクログ

    19世紀末に活躍した、日本史上最も偉大な外務大臣の一人。極めて冷徹なリアリズムに即し、常に日本の国益を第一目標に置いた外交を担ってきた。

    そのリアリズムの思想は、彼の知的経験に基づく。知行合一を説く陽明学がこの時代の有識者に強く根付いていた時代、ベンサムに基づく個人の幸福を全ての前提におき、そこから行動原理を導いて行った。江戸時代から連綿と続いていた知的作業の総括が彼の政治思想により完成したと言っても過言ではないだろう。

    陸奥の外交を、彼の生い立ちそして思想的背景から分析している良書。

    0
    2014年08月22日
  • 吉田茂とその時代

    Posted by ブクログ

    外交官として、「外交官とその時代」シリーズ(陸奥宗光、小村寿太郎、幣原喜重郎、重光・東郷、吉田茂)の第五巻目の著作である。歴史は、その善悪・好悪によって、判断されるべきモノではなく、歴史観の対立、或いは、違いがあることを認識しつつ、冷静且つ客観的に、検証されるべきであり、何々史観というもので、断罪されるものであってはならないと、、、、、、。著者によれば、我々のような戦後すぐに生まれた団塊の世代、全共闘世代は、戦後の占領軍による過激なニューディーラーの行き過ぎと日教組等の教育偏向によって、影響され、生み出された世代で、未だに、日本の言論や、世論形成に、一定の悪影響を及ぼしていると、、、、、、、。

    0
    2012年10月15日
  • 陸奥宗光とその時代

    Posted by ブクログ

    予備知識が無くとも非常に分かりやすい外交史。
    陸奥は日清戦争期を中心とした時代の外交官。
    恐らく外務大臣で最も有能というか才気に比類がなかった人物なのだが、切れ過ぎる剃刀に相応の生涯だったように思える。

    0
    2009年10月04日
  • 陸奥宗光(下巻)

    Posted by ブクログ

    明治維新前後に活躍した偉人陸奥…かと思いきや、外務大臣として名を成すまでには藩閥政治の中での苦労も耐えなかったようだ。

    徹底した功利主義・合理的手段を重んじた陸奥は、一般的には冷たいエリートとして認識されているが、自分にはなんといわれようとも信念を貫く一貫性が見えた。当時はやっていた自由民権運動やコミュニズムについても「国民の幸福や国益という第一の目的を見失い、本来は手段であるはずの政治体制のありかたを第一の目的に摩り替えてしまっている」と批判。

    こうした冷静な見方が逆に敵もつくったんだろうな。自分は陸奥のような人間にはなれないが、一本筋の通った姿は尊敬できると感じた。

    坂本竜馬というカ

    0
    2009年10月04日
  • 戦略的思考とは何か 改版

    Posted by ブクログ


    ●朝鮮半島の人々が経験したことに比べて日本が一度も異民族の支配を受けたことがないという事実は国際政治の厳しさに対する日本人の考えの甘さや楽天主義の元になっている。

    ●平和は、戦後のように圧倒的戦力差がある時にのみ生まれる。

    ●韓国が他国を攻めたこと歴史上は一度もない。
    対外侵略の意図も能力もなく、他方で、北からの脅威には敢然と抵抗する意思のある国が大陸本土と日本との間に介在している
    これほど日本の安全にとって有難い条件はない

    ●極東の歴史で、中国大陸の勢力が朝鮮半島南端にまで及んだのは前にも後にもこのとき一度だけである
    結局は朝鮮半島南部の戦力的重要性ということに帰結する
    日露戦争の前

    0
    2025年05月26日
  • 戦略的思考とは何か 改版

    Posted by ブクログ

    地政学や日本の過去の戦略の概要を知るのに役立った。
    ソ連時代に書かれたものだが、令和の今もなお通づるものも多く、歴史を学ぶことの重要性が感じられる。

    0
    2022年05月25日
  • 戦略的思考とは何か 改版

    Posted by ブクログ

    「この本っていう書かれたものだろう」と思いながら読み進みて最後のページを見ると、昭和58年(たしか)初版との文字が。なるほど、確かに古い!その時とは世界情勢も大きく変わっているし、この40年弱であったことをいちいち挙げていたらそれこそキリがない。だからこの本も意味がない!と切り捨てるのもまたナンセンス。世界情勢は変わっても本質的な部分はやはり普遍なのかも。そうした普遍的なところを取り出せばこの本はずいぶん有益なのでは。それは日本が関わる過去の様々な戦争を題材にしていることからも明らかだ。
    かなり長編なので論点は様々だが、要するに国家には戦略が大事だ、ということに尽きる。特に情報戦略。これが日本

    0
    2021年09月23日
  • 戦略的思考とは何か 改版

    Posted by ブクログ

    日本は明治維新時以外はずっと戦略的な面で疎く、現在もそうである。それは歴史的に、地理的環境に恵まれて攻められた経験に乏しいからである。戦略というのは、周りとのパワーバランスで決まるものであり、日本の大戦略としてはアングロサクソンとの協調が絶対の基軸となる。情報軽視をして、誤った戦略で戦えば、どんなに良く戦っても悪い結果につながる。アメリカがかつて程圧倒的な力ではないので、攻められないという幻想を持たずに防衛戦略を民主的に練るべきである。



    日本の外交戦略はアングロサクソンとの協調は絶対の基軸になることがわかった。国際情勢的に日本は戦略的に価値があり、その分敵対国から攻撃の対象になりうる。韓

    0
    2021年02月01日
  • 戦略的思考とは何か 改版

    Posted by ブクログ

    名著と名高い一冊。
    コンサル職が隆盛する今日では、「戦略的思考」というとビジネスに結び付けられがちだが、本書は国際情勢における日本の戦略論がメインテーマになっている。
    その中で、均衡・構造・情報・交渉に関するトピックを学ぶことができる。

    0
    2020年05月11日