宮尾和孝のレビュー一覧
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何十年も生きてきたのに、模擬原爆のこと、この本を読むまで全然知らなかった。日本は原爆の被害を受けたけど、同時に中国朝鮮に対する加害者でもあって、ヒロカが混乱するのももっともだと思う。誰が正しくて誰が悪いという話に終始せず、主人公たちが悩んでる姿がリアルだなと思った。
「知らないことは、こわいことだよ。だれかの言ってることが事実とちがっていても、そうなのかなあって信じてしまう。ぼくはそれがいやなんだ。」
「この長崎ちゃんぽんみたいに、肉も魚介も野菜も、いろんな材料がまじりあって、うまいひとつの味をみんなで作り上げる。そんな世界になったらエエなぁ。初めてこの料理を食べさせてもろたとき、そう思ったん -
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小学6年生の広記は、父、妹の奈奈、同級生の建太郎、トモちんと横浜スタジアムでベイスターズの応援をするのが一番の楽しみ。
憧れは、ハマのキャプテン筒香嘉智。
「体が大きくって、森のどまんなかに生えてる、どっしりした木みたいだ」
「応援する人じゃなく、応援される人になりなさい」
こうお母さんに言われたという建太郎は、もう観戦は一緒に出来ないと言い出す。
2016年春、ベイスターズは最下位にあえいでいた。
「君は将来、何になりたいの?」
大人が子供に聞く質問の定番。
小学6年生の広記にとって、こんなに難しい質問はない。
トモちんは地元野球チームのエース。男の子に負けていない。
広 -
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劇は小中学校でかなりやりました。
思い出に重なる部分があり、児童書ですがこれほどハラハラドキドキと感情を入れて読めるとは思いませんでした。
準備の慌ただしさ。
本番直前の緊張感。
舞台上の想定外の出来事。
上演後の達成感、そこはかとない寂寞。
小学校高学年くらいからは台本に沿ってやるのではなくていろいろなオリジナリティー溢れるアイディアを発揮して自分たちの劇を創造できるようになります。
劇の楽しみは皆で懸命に作り上げてこそ。
主役、脇役、ナレーション、脚本、演出、音響、小道具、大道具、衣裳・・・
そしてお客さん。
「その劇」は「その時」にしかできないんです。
小学生、プロでないからこそ余計に -
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シリーズ五作目。完結編。
舞台は学校の部活からクラブチームへ。
見据える先も県大会から全日本、そして世界へ。
本作品で語られるのはシナジー。1+1=3にも4にもなること。
(もちろんそれだけじゃないけど)
実際の世界でもあるよね。本来チームってそういうもの。
ただ逆にもなってしまう可能性は忘れちゃいけないな。
そんなことをふと省みた。チームって難しい。
シリーズ全作品を通してとても興味深く、また胸を打たれた。
登場人物それぞれが抱く夢や希望、悩み、そして恋心。
全ての思いと抱えきれない胸一杯の気持ちを白球に込めて…
続編が書かれるならば、是非読んでみたいと思わせる良作だった。 -
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シリーズ四作目。
本作品で語られるのは、自分に何ができるのかということ。
これもなかなか良かった。
一作目に引き続き、涙を堪えきれなかった。
前三作よりラストの盛り上がりに欠けたけど、
途中、登場人物たちが口にするセリフに泣いた。
******以下、一部引用&ネタバレ*******
<純>
「引っ張るのがうまくいかなかったら、おせばいいよ。」
なんて温かいんだろう。
この言葉こそ、ミチルの背中をそっと押したに違いない。
<純>
「あのふたりはね、特別なんだ」
「きっと将来、遠くまで行くと思う。」
聞いていたミチルは“遠くまで”を距離だと思ってるけど、
純は多分、そういった物理的距