倉知淳のレビュー一覧
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ネタバレ日常の謎系と呼ばれる,殺人事件が起こらないミステリは,世の中に多数存在する。日常の謎系のミステリは,日常で起こった少し不思議な出来事について,登場人物がいろいろと推理をしたあと,名探偵役の登場人物が真相を語るという構成がセオリーである。しかし,猫丸先輩のシリーズは少し違っている。
日常に少し不思議な出来事が起き,謎に巻き込まれた主人公が,名探偵役である猫丸先輩に出会い名探偵の推理を聞くところまでは同じである。しかし,猫丸先輩が語っている推理が真相かどうかは分からない。猫丸先輩は真相を語るのではなく,こういう考え方もあるという説を伝えるだけなのだ。
猫丸先輩シリーズの魅力は,真相を語るのではなく -
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「たくらみに満ちたミステリ・ワールド」ということで、短編集「なぎなた」。全七編を収録。お話の一つ一つは確かに短編なんだけど、通して読んでみると結構な文章量がありますね。本短編集の姉妹本「こめぐら」も同時にリリースされています。
本格ミステリの入門編を書き続ける、という作者の思いもあって、内容としてもそれほど複雑ではなく、アンフェアというものでもないのだけど、ミステリをそこそこ読んでいる人間からすると、少々物足りない。また、ちょっと話が強引かなと思わないでもない。
個人的には収録されている一編「運命の銀輪」が面白かったですね。倒叙ミステリというもので、「コロンボ」とか「古畑任三郎」というと分 -
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“焦れる詩織をよそに、丈史はしたり顔で、
「これも俺は現物を見てるんです、間違いなくおっさんはサンダル履いてました。で、ここからは蓋然性の問題なんですけどーー」
「無理して難しい単語使わないでよ」
「別に無理してませんってーーでね、今日は土曜日でしょう、仕事が休みの人も多いはずです。休日にサンダル履きで洗剤だけを買うーーこういう行動をする人は、近所の住人である可能性高いと思いませんか」
「そんなの判んないじゃない、休みじゃない人もいるし。普段からデフォルトでサンダル履きの人だっているだろうしさ」
「この季節にですか?今の時期、サンダル一本槍で通す人はめったにいませんよ、爪先寒すぎです」
「けど -
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「殺人が起こるたびに撒かれる電波系怪文書!?」
理由の分からない殺人が起こり始め、のどかな町が一転、出歩くのも恐ろしいゴーストタウンのようになってしまう…と想像するのだけど、この上巻では殺人は起こるものの、主人公達にとってはまだ他人事。それほど緊迫感はありません。
のどかな町、それに伴う日常といった描写が多いので、あまりミステリを読んでいるという感じがせず、主人公が盆栽好きのシングルマザーということもあって、「人が殺されたんですって。怖いわねえ」という雰囲気の中、話は展開していきます。
人が殺されるたびに、大変読みにくい怪文書が撒かれます。どうやら犯人はある種の妄想に取り憑かれているよう