倉知淳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この作品、嫌いじゃない。作品全体から倉知先生の持ち味が出ててそういった所は大好き。が、主人公母子の日常生活のシーンが描かれすぎて、ミステリの話がどう展開するの?とドキドキしながら読んでる読者としてはじれったく冗長な印象が残ってしまったのが残念。(先生が書きたかったのは、この『日常』だったんじゃないか?と思っちゃうほど、そちらのウェイトがでかい)
電波系の表現や、母子の日常を描ききった筆力は素晴らしい。正太郎のキャラも良かった。
間に入ってくるフィギア制作のマニア(オタク)な描写が、解決編でこう効いてくるのか、とか、他にもちりばめられた伏線など、種明かしの段階では感心できるところがあったのに、そ -
Posted by ブクログ
渋谷のおんぼろビルにある「霊感占い所」には今日も怪異な現象に悩むお客様がやってくる。
彼らの相談に応えて占い師の口から飛び出す言葉は、三度狐に水溶霊など珍奇な妖怪の名前ばかり。
それもその筈、全ては彼の口から出た戯言・・・。
しかし彼の「御神託」はいつも怪異の裏に隠された真実をついていたのだ。
霊感は無いが推理は鋭い辰寅おじさんの昼寝と謎解きの日常を描いた、心優しき安楽椅子探偵連作集。
氏の描く探偵像を見ると親近感が沸きます。
何故か?
きっと氏は大の猫好きに違いない( ̄∀ ̄*)
他人の事はお構いなし、自分の興味にはまっしぐら。
猫の動を地で行く猫丸先輩。
そしてこの作 -
Posted by ブクログ
渋谷のど真ん中のビルに「霊感占い所」なるあやしげな事務所を構える辰寅叔父さんと、姪っ子兼助手が織りなす物語。
残忍な犯行や密室殺人とは無縁だけれど、それでも日常はこんなにもミステリに溢れているのですね。
「霊のしわざですよ!」とおっかなびっくり訪れる依頼者たち。
その口から語られる怪奇現象の裏に見えるささいな手がかりから、偶然の重なりを見事に導き出す観察眼。
なんていうか、北村先生の日常ミステリに通じるものがありますね。
宮部先生の江戸モノなんかも同じ系列になるんでしょう。
主人公に据えられている叔父さんが魅力的。いかにも駄猫な描写が微笑ましくさえあります。倉知先生、猫がお好きなんでしょうか