パトリック・ハーランのレビュー一覧
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党大会での候補受託、就任演説など、大統領になる人が通るべき通過洗礼の場を経験して大統領のスピーチは人の心を動かすものへと進化していく。それは国の危機において国民を、そして全世界を相手に話すメッセージでもある。大統領の演説から学ぶことは多いというが。リンカン、ルーズベルト、ケネディ、レーガン、オバマ各大統領の素晴らしい演説の数々、どこが心を打つのかが詳細に語られる。英文も表記されており、英語の学習にもなる。米国がコモンプレイスを共有する国であるが故のツボがあることが日本との違いだと言えるが、一言一句に至るまでの推敲は凄さを感じた。オバマの就任演説、黒人教会での射殺事件を受けたエピスコパル教会での「アメイジング・プレイス」演説、黒人少年射殺殺人事件無罪判決に対する演説、広島訪問での演説など、偉大な大統領であったことが文章の格調の高さから痛感する。ヒラリー、サンダース、トランプらの演説の特長も詳しい。なぜトランプやサンダースがあれだけ人々を熱狂させたのか。トランプの「我々」「あいつら」話法!が大きな特徴。
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ネタバレ私はコミュニケーション能力が無いことを自分の性格のせいにしていた。もちろん、どのような性格であるかは無関係ではないと思う。しかし、コミュニケーション能力は、訓練し実践することで上達させることはできる。相手の心を掴むことができるよようになるには、どうすればよいのだろうか。
この本の著者は、お笑い芸人のパックンである。アメリカ人でハーバード大学卒業という異色の経歴の持ち主である。ジャーナリストの池上彰に依頼され、東京工業大学で非常勤講師をすることになった。講義の前に学生に「自覚、自信、自己主張」を繰り返し復唱させていた。自分の知識、立場、目的を自覚して、自分の話す内容に自信をもって、自分の主張をはっきりと言う。この3つのことを意識するだけでも、相手に与える印象は違ったものになると思う。
さらに、「エトス、パトス、ロゴス」の3つの要素を盛り込むことができればなお良い。
エトスとは人間的なものに働きかける要素で話し手を信用しようという気にさせるような表現のことである。人格が優れている、品格がある、センスが良い、面白そう、価値観が一緒など、その人の信頼性に関わっている要素である。例として、美容師の友人の結婚式のとき、美容院の社長がスピーチをしたときのことをあげる。そのひとは50歳を超えているが、見た目はより若く見え、服装や髪型もセンスの良さを感じさせた。穏やかに滑らかに友人の仕事ぶりやどのような人物であるかを、いろいろなエピソードをまじえて話していた。他の出席者に聞いても、自分と同様に印象に残るスピーチだと話していた。聞き手をひきつけるためには、内容も大事だが、その人の立場や見た目の印象であったり、相手の興味をそそるような構成で話をすることが必要なことなのだと感じた。
次にパトスとは感情に働きかける要素である。怒り、喜び、愛国心、家族愛、憧れなど、聞いている人に特定の感情を抱かせるような要素のことを指す。自国が危険にさらされていると愛国心や恐怖心を煽り、戦争へと国民の意識を高める。コマーシャルに有名人やスポーツ選手を起用して、視聴者の憧れの感情を刺激して購買意欲を高めることなどがある。狙いたい感情を決めて、詳細なストーリーを用いて伝えることで説得力が高まる。悲しみや寂しさといった感情を煽っても相手がより落ち込んでしまうので、あまり効果が期待できない。
ロゴスは頭脳に働きかける要素のこと。論理性や理論性があることで説得力が高まる。「人間はいつか死ぬ。僕は人間だ。だから僕も死ぬ。」といったAであって、Bであるから、Cである。という論理的な話し方で説得力が高まる。また、論理性や理論性がなくても、簡潔に言い切ったり、リズムを持たせたり、強調するということでも効果がある。オバマ大統領の「yes,we,can」や林修の「いつやるの。今でしょ!」などは、短くても印象に残る分かりやすい例と言える。
著者の出身のアメリカでは小学生の頃からすでにコミュニケーション能力を高めるための教育に力が注がれている。日本ではやはりテストで良い点数をとることが重要視されています。また、日本人の謙虚な国民性や、あまり多くを語らずとも相手の考えを察するのが良いという文化の違いもある。だからこそ、コミュニケーション能力が高いひとは重宝されるのではないだろうか。この本の内容を実践してコツを掴み、相手の心を掴むことができるようになれれば、仕事でも日常生活でもこれまでと違う世界が拓けるように思う。 -
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貧乏だったパックンがどのように大人になったか、何を考えていたか、それを知り、踏襲できないかと考え、本を手に取りました。
ご自身の半生のみでなく、日本の貧困についても書かれており勉強になりました。
「dollar street」
世界各地の暮らしの写真を掲載している写真では、貧困家庭から裕福な家庭が閲覧できました。
私より持ってるものは少なくても生活できることを知るというのは不安を取り除くには良いかなと思いました。
また、相対的貧困という言葉を知り、世界で見れば貧困で無いけど、日本で住むなら貧困だよねということもあると知りました。
日本財団の第3の家など、貧困家庭の子供を支援する活動があることを知りました。
私は貧困家庭では無かったけど、もっと色々選択肢があったよなと大人になって知ることが多かったです。
子供には選択肢が沢山あることを伝えたいと思いました。
・これは買えない。じゃあどうするか?
・まずは自分の暮らしを守り、他者を支援する
この2点の考えを大切にしたいと思いました。 -
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ネタバレ配役の妙。
話術に長けたパックンが、修辞学に基づいて、演説の内容をレトリックや言葉遣いについて分析、池上さんが、演説がなされた時代背景や世界情勢を解説し、その意義を補完する。
対話調にまとめられているので、お手軽に読みやすい。筑摩書房編集局のお手柄か。
取り上げられた演説は全部で15。チャーチル、J・F・ケネディは当然ながら、レーガン、キング牧師、ネルソン・マンデラと、名だたる名演説が列記されている。
ややもすると、それらは何度も見聞きし、世の名言集にもピックアップされているようなものも多い。池上さんの解説にも、いまさらながらの目新しさもない章も少なくない。
そこを、英語のネイティブで話術の達人のパックンが、修辞学に基づく解説を加え、なぜ、その演説が聴衆の心を捉えたか、その後の行動を促す結果になったか、世界を動かしたかを解説する点が新鮮。
説得力のある演説の3つの要素、エトス(話者の信頼性)、ロゴス(話の論理)、パトス(聞く側の感情)は憶えておこう。
近年の演説も含まれる。ドイツのメルケル首相や、当時の安倍首相、そして、ゼレンスキー大統領らのものだ。
まだ現役の人の演説を、ここで取り上げ持ち上げるのはどうなのだろう。
本書、チャーチルの章で、ふたりはこうも言っている。
P:それにしてもこんな見事なレトリックで国民を鼓舞して、戦争に勝ったからいいものの、もし負けていたらチャーチルは今とは正反対の評価を受けていたかもしれません。
池:だからチャーチルは是が非でも戦争に勝たなくてはならなかった。
つまり、その後の結果が、その演説を名演説たらしめた、ともいえる。
徹底抗戦を国民に訴え、海外からの支援に頼り、国民を盾に戦争を続けるための演説が、果たして「正」だったのか?
時の洗礼を受け、やがて淘汰されていくのだろう。