吉屋信子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ上巻同様、表紙がかなり素敵です。
下巻でも感想を一編ずつ徐々に書いていきたいなと思います。
<アカシヤ>
棚島さんの気持ちが切ない・・・。
何て言うか、魅力溢れすぎているが故に、目を逸らしてしまう相手っていますよね。
そんな哀しい話は無い方が良いのだけども、現実にあるんですよね・・・。
<桜草>
桜草に込められた罪の意識。
違う形で会っていたかった、違う形であれば同じ学び舎で友情を育んでいられたかもしれないのに・・・。
<日陰の花>
エス、と言うよりは百合ですね・・・。
しかし、環と言う名前は常に私にとって魅力ある人物として目の前に現れるなあ・・・。
二人のその後がとても気になる話でした。
きっと二人は日陰で寄り添い続けるのかな・・・。
<浜撫子>
何という哀しい三角関係・・・。
誰も結ばれることなく、夜の闇に消えてしまった浜撫子の恋物語。
・・・ただひたすらに哀しい物語。
<黄薔薇>
黄薔薇と言えば江利子さま、流石に話の中で思い浮かぶことはなかったですがw
先生と生徒の禁断の切ない百合物語。
下巻の方はエスよりも百合が多い感じですね。
サッフォの虚しさと葛城さんの虚しさが重なってしまいおおいに心哀しい物語でございました・・・。
<合歓の花>
大和田さんが格好良くて素敵でした。
乙女のまま亡くなった順子さんの哀しく切ない恋の詠・・・。
一言話しかけていたなら、未来は違う道を示していたのかも知れない。
大和田さんも酒井さんも、美智子さんも想ったことでしょうに・・・。
<向日葵>
お互いを想っていながら、通じ合うことの出来なかった哀しい二人の物語。
潮さん、明らかにツンデレです本当にありがとうございました。
潮さんは向日葵だけど、イメージは櫻子だなあ・・・。
櫻子みたいに自覚のないツンデレは、想いを上手く表に出せないまま、
哀しい結末を迎えてしまう・・・。
潮さんは自覚あったっぽい可能性もあるけども。
向日葵ちゃんと櫻子ちゃんにはそういう結末の無いよう、
結ばれることを切に願います・・・。
<竜胆の花>
マリみての不器用姫を思い出す・・・。
さりげなく、私にはこう言う作風こそが少女小説特有の華と思われて、愛しくてたまらないのです・・・。
<沈丁花>
お姉さんが綾乃ちゃん、妹が会長で再生されました。
憧れの君は先生か・・・。
花物語の中で今のところ一番哀しい話でした。
お姉さんの想いが切ない。
お姉さんの死後の妹の心の内を想うと更に切ない・・・。
<ヒヤシンス>
お姉さまの境遇が自分の境遇と重なることもあって、
非常にもの悲しい想いで読みました。
どうしたらこういうキチガイでクズ野郎な人間が消えてなくなるか、
毎日考えます(笑)
正しい心根を持った人間は不当な攻撃をされるというのは、もう人生において、何度も経験し、呆れ返るぐらい当たり前に、つまらない事実としていつもそこにあります。
<ヘリオトロープ>
ポンペイと書いてあったし、内容的にもそうなのですが、
NGライフを想わせるなあと思いました。
関東大震災の頃の話みたいですね。
少女の想いが哀しい話。
<スイートピー>
すれ違いまくりの哀しい三角関係。
一時騒がれてもあっという間に忘れられると言う流れは少女の世界の現実。
神のもとに天に召された少女を愛する二人の少女は、ただ二人泪を共にするしか術はないのです・・・。
<白木蓮>
虚しさと哀しさの残る寂しい話でした・・・。
願わくば少女にはこのような悲しみの日が永劫に訪れることのなきように・・・。
<桐の花>
こちらも寂しい話・・・。
年月を越えて流れ行くが少女の宿命なら、その宿命それそのものを、私は罪と呼ぼう。
<梨の花>
儚なき 梨の花 まして その花の上の夕月―― あわれ されど 儚なきは 悲しきは 亡き友のまぼろしをおいて みずからもその花陰に入るとみし かの塔の乙女。
この話はやばいですね。
短い中にエス・百合の一つの究極型を描いています。
私の中ではこの二人は京子ちゃんと綾乃ちゃんですね。
だって、綾乃ちゃんは京子ちゃんがもし死んでしまったとしたら、
この世界に生きていくことはできないでしょう・・・。
<玫瑰の花>
スイートピーの真弓さん再登板、とは言え過去話ですが。
今回は袴田めらさんの絵で再生された(笑)
スイートピーは倉田嘘さんだったのに不思議だ・・・。
恋にも憧れにも満たない、朧気な儚い友情の話。
形になる前に散り行きた、ああ玫瑰の花、我が心よ。
<睡蓮>
まためらさんだ、何故だ(笑)
哀しいと言うか寂しい話。
失った少女の時の友情を忘れ得ぬ為に、人形にその面影を重ねる人。
寛子さんの気持ちを知りたいところです。
<心の花>
長崎・大浦来た!!!
何という美しいカトリック小説でしょうか・・・。
心の花、皆様も大切に育てあげてください。
この世の中は彼女の両親・兄弟のようなキチガイのクズ人間が大半を占めています。
だからといって、そこで諦めてはいけません。
そいつらの方がこの世に不要な存在なのですから、
自らを貶めずに生きて行きましょう、生きていきたいものです。
・・・といいつつ、私はこの両親・兄弟を八つ裂きにして焼き殺す展開の方がはるかに燃えますけどね(笑)
<曼珠沙華>
最後にちょっと毛色の違った話ですね。
彼岸の花、曼珠沙華はその美しさ故に人の命を操るとかの昔より思われてきました。
曼珠沙華、寄り添いて眠る2人の姉妹に永遠の安息を与え給え・・・。
一番心に残ったのは「梨の花」と「心の花」でした。
幻想的すぎるその話と、永遠の信仰の物語。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ表紙がかなり素敵で凄く気に入りました。
感想を一編ずつ徐々に書いていきたいなと思います。
<鈴蘭>
亡き母の面影を探してピアノを弾きに来ていたオルテノ嬢・・・。
短くも切ない、素敵なお話でした。
<月見草>
長崎の話。
手渡されたのはきっとクロス・ロザリオですね。
おゆうさんの置いていった簪が切ない・・・。
<白萩>
I will leave it to Chance. (運命にまかせましょう)
お姫様との出会い。
お姫様の姿を描きたいゆかりさん・・・。
絵とゆかりさんと言うことで、はやてを思い出してしまったのは言うまでもありません(笑)
切ない出会いと別れの話・・・。
<野菊>
実のお母様との儚い出会いと別れ・・・。
これまた切ない話。
<山茶花>
亡くなられたお姉さまの想い出話。
山茶花の中に埋もれる少女ってかなり幻想的な風景です・・・。
語る瑠璃子さんのお姉さまへの思いが伝わってくるようでした。
<水仙>
支那の少女との幻想的な出会い・・・。
少女は幽霊だったか人間だったか・・・。
<名も無き花>
鳩が導いた美しい少女との出会い。
マリア様と少女の親和性は高いですよね・・・それは原点においても明らかなわけです。
――CROIRE EN DIEU―― (信じます)
信じます(c)福沢祐巳
<鬱金桜>
素敵なお姉さまとの想い出話。
あわれ、この優しき姉に別れし小さな子の上に、心あってか胡蝶のごとく散りかかりしは、鬱金桜の葩。
ひとたび逝きては返らぬ日の慕しさは、鬱金桜は春を寂しく儚なげに咲き匂うのではあるまいか。いかに若き君達。
美しい文章です・・・。
<忘れな草>
お姉さまへのあこがれを、あこがれのまま終わらせた少女の話。
マリみてのリリアンにもきっと多くいるであろう、普通の少女の想い出・・・。
読み終わった後流れたタイミングの問題か、「Rumbling Hearts ~twin-vo ver.~/栗林みな実&石橋朋子」がもの凄くこの話に合っているなあと思ってしまいました。
もう戻れない あなたの腕に包まれていた 優しい日々 夏の 記憶かすかに 残ってる 小さな花火 消えない 今でも
もう帰れない 傷つくことを ためらっていた 幼い日々 胸の奥で密かに 育ててた 小さな想い消せない 今では
いつか きっとすべてが 優しさになる あの日に見た七色の夢 遥か 遠くの虹で 出逢えるの あなたへの想い 生きてく 永遠に
やがては返らぬ少女の日の永久の思い出によと、その君が手箱の底に秘められようものを・・・・・・。
<あやめ>
雨の日の美しい夢の想い出。
ふさ子さんはとてもいい子。
あやめの花の精、また会える日があると良いなと想う・・・。
<紅薔薇白薔薇>
ロサ・キネンシス、ロサ・ギガンティア。
蓉子さまと聖さま。
互いの永遠の友情を誓いあう少女の話。
素敵です。
<梔子の花>
盲目の美しい少女の、姿とその笛の音色に魅せられた芸術家の話。
少女への思いを込めてのみを振るい、人魚の像を完成させた芸術家の想いが伝わってくるようでした。
とても綺麗な月明かりの話。
<コスモス>
華やかなる少女の日々への別れの手紙。
妙様はきっと素敵なお姉さまなのでしょう・・・。
まあ、私でしたらこの後自ら会いに来る妙様を書きたいところです(笑)
さらば幸ある少女の華やかなる日を妙様お送りくださいまし。封じこめしこの一片のコスモスの葩に、いくど涙と共に接吻をしたでしょう。 ――では、妙様永久に御機嫌よう、さよなら。
<白菊>
死を約束された少女。
分かれなければならないのに出会ってしまった二人。
儚い、淡い恋物語。
美しきものよ、汝のまたの名は悲しみである。あわれ、次の世には白菊の花と咲かんと誓いし人は・・・。
<蘭>
幼き日の美しきお姉さまとの想い出。
切ないです。
ああ、永久に忘れ得ぬ愁いの花よ、白蘭! 散りぞな散りそ、散りしきて弱き子の胸ぞ荒すな、と私はひそかに祈りをこの花に捧げましょうものを。
<白梅紅梅>
お互いを慕い合う仲の良い姉妹の悲しい別れの物語。
切ない・・・。
<フリージア>
ミドちゃんが緑さんに成る過程の話。
リボンの色が変わる瞬間が醍醐味ですね。
<緋桃の花>
『物置城のトランク姫』
素敵な先生からの言葉に微笑む少女が可愛いです。
<紅椿>
紅椿が結んだ二人の少女。
哀しい少女の紅椿への思いが切ない話です・・・。
<雛芥子>
寮にありては家を恋う、されど家に帰りて慣るればまた都の寮を慕う、少女なればか、かばかりに憧れ燃ゆる性あるは・・・・・・。
雛芥子姫・・・切なすぎる話でした・・・。
幸せになって欲しかったのになあ・・・。
私の脳内ではゆるゆりのひまさくで再生されていました・・・でもバッドエンドだと切ないなあ・・・。
それでも、なもりさん描いてくれないかなあ。
<白百合>
乙女の心に永久に生ける純潔の先生の話。
その姿は消え去ってもその心は永久に残り続ける・・・。
こうして先生のお姿は見えなくなりました。けれども先生の清い愛の生命を形取った白百合の花が(純潔)と囁いてこの土の上で咲くかぎりは、その花の姿と共に先生の、みこころは私共に永久に生きるのでございます。
<桔梗>
桔梗の舞姫の話。
しかし、どうして着物を預けたまま取りに行かずに街を離れようとしたのか・・・忘れていたとしたら・・・ドジっ子?w
打ちみればその面にも月影うけて咲くや銀泥に輝く一本の桔梗の花、おく露もあわれ紫にきらめいて・・・・・・。
<白芙蓉>
キチガイに嫌がらせを受ける話。
何とも腹立たしい、哀しい話でございます・・・。
<福寿草>
優しいお姉さまとの出会いと別れと再会の話。
福寿草のように美しく・・・。
<三色菫>
幸枝さんがふうらい姉妹のれい子さんで再生されてしまった・・・さっき読んでいたせいか・・・。
実のお父様とのそうとは知らぬ(もしかしたら知っててかな?)の出会いと別れ。
親子とは言え珍しく男女の話ですね。
幸枝さんが義理のお父様とお母様の優しさに包まれて、幸いに過ごされていく事を願います・・・。
<藤>
聖羅さんが素敵です。
無邪気さと美しさを兼ね備えた少女は最強レベルですね(笑)
<紫陽花>
ああ、心をこめて命を打ちいれて、描くや絵筆に染みゆく紫の滴り、隆子の涙に溶けし、薄き紫、金泥ににじみて夢より咲きしか淡い花の影、半ば溶けて夢に入り半ば現つの幻と咲くや、その葩あわれ紫陽花。
最後の文が美しすぎる・・・。
若夫人の素晴らしさと、お俊ちゃんの美しさに見惚れる物語でした。
隆子ちゃんは何故かクロワーゼの湯音ちゃんで再生された(笑)
家族が一人一人減っていって、三人になって、お俊ちゃんも亡くなって・・・家族が一人一人減っていく様が我が家を思い起こさせて切ない、けど紫陽花がとても美しい、そんな話でした。
<露草>
これはもう完璧に姉妹(スール)の話でしたね。
まさにエス。
秋津さんと凉子さんは当然可愛いのですが、
さりげなく一條さんが可愛い・・・。
私の手で続きを書きたいぐらいですね。
私の場合は決して二人をこのままにしたりはしません。
私にはそのような結末は、本来到底耐えられないものなのです・・・。
<ダーリヤ>
看護婦小説。
少女が本物の看護婦になるきっかけと過程を描いたお話。
素敵な決心だと思いました。
でも、春恵さんの道子さんに対する気持ちは、やっぱり真実だったとも思うので、春恵さんの気持ちが切ないなと思うのです・・・。
春恵さんはこれからも道子さんに会う為に病院に通うんだろうな・・・あきらめきれなくて・・・切ない。
<燃ゆる花>
激しい熱情。
貴き二人の想いの果て。
美しい。
魔女は焔の中にその身をやつして、
唯一人の次女と共に、神のもとに召されたのです。
麗しき情熱の、ああ花物語・・・。
<釣鐘草>
姉弟の話。
お姉ちゃんの哀しみが胸を打ちます。
自分と重ねあってしまい余計に切ない気分になりました・・・。
あわれ秋風心あらば紫の花咲き鳴らせ吹き鳴らせ、我が世悲しと鳴れよ、鐘草、鳴れよ鐘草・・・・・・。
<寒牡丹>
大事な事なので2回言いました。
ちはやふるな話でしたね~。
則子様がミクさん大好きなで応援しまくりな所が素敵。
何子の君も良い。
<秋海棠>
マリみてに繋がっていくような感じの話でした。
敦子様の哀しみが伝わってくるようです・・・。 -
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戦後間もない鎌倉を舞台に 空襲を逃れて家を守った祖母が、娘や孫たちに『源氏物語』を語り聞かせる。吉屋信子『乙女のための源氏物語』は、昭和26年から29年まで『婦人倶楽部』に連載された『源氏物語―わが祖母の教え給し』をもとにした作品なのです。
作中で祖母は、江戸時代の代表的な注釈書である『湖月抄』を手に取りながら『源氏物語』を語ります。
『源氏物語』の近代語訳といえば、まず思い浮かぶのが与謝野晶子、続いて谷崎潤一郎訳。
晶子訳や谷崎訳にも親しんでいたであろうことは想像に難くないですね。
しかし本作は現代語訳というより、祖母から娘や孫へと古典が語りつぐ、いわば、おばあちゃまによるオーディブル版『源氏物語』。
聴き手として娘や孫、社会人女性たちを配し、それぞれの世代に通じる物語として『源氏物語』が語られていきます。
濃厚な内容を持ちながら端的にまとめ上げられており、現代語訳と意訳の長所を合わせて持っていると思います。
政治的な背景や宮廷社会の細かな駆け引きはやや簡略化されている印象を受けます。しかしその一方で、光源氏を取り巻く女性たちの心情に寄り添っており、その描写は他の源氏物語関連作品以上に丁寧に感じられました。
何か連載上の事情があったのか、あるいは他作品の執筆との兼ね合いだったのか、下巻では二帖をまとめて扱う箇所が増えます。さらに宇治十帖は、おばあちゃまの手を離れ、孫が語り手となる総集編のような形で締めくくられます。
解説を担当しているのは、吉屋信子の熱心な愛読者でもあった田辺聖子さん。「明快さと気品の現代語訳」として本作を高く評価しています。
その田辺さんは吉屋信子を「ロマンを歌い上げたソプラノ作家」と評しています。
この表現に私はとても共感します。実は私も、作家ごとの文章に音階のようなものを感じることがあります。田辺聖子さんや柚木麻子さんの文章は、まさにソプラノ。時には高音が響きすぎて少々圧倒されることもあります。
吉屋信子さんもまた、その系譜に連なる作家なのかもしれません。 -
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本日7月11日は 吉屋信子文学忌、信子忌。
『乙女のための源氏物語』上下巻を読み終えましたので、作品の感想は下巻のレビューに譲り、今回は上巻に寄せて、吉屋信子ゆかりの地を訪ねた栃木文学散歩を ご紹介します。
まずは栃木駅に集合。参加者は皆それぞれの方法で現地入りしましたが、意外にも栃木駅を訪れるのは全員が初めてでした。
最初に向かいましたのは駅前北口広場に建つ山本有三文学碑。「路傍の石」の一節が刻まれています。
続いて湊町ポケットパークの吉屋信子文学碑へ。吉屋信子は父親の転勤に伴い、六歳から十九歳までを栃木で過ごしました。文学碑はかつての住居跡ではなく、巴波川のほとりに設けられた小さな公園にあります。信子が見たであろう川辺の風景を思いながら立ち寄りました。
その後は山本有三ふるさと記念館へ。山本有三生誕の地に建てられた見世蔵を活用した施設で、見学の後には近くのお寺へお墓参りもさせていただきました。
昼食は赤城亭。群馬県前橋市の本店は萩原朔太郎ゆかりの洋食店として知られています。手の込んだコース料理をいただきました♪
午後は栃木市立文学館へ。旧栃木町役場庁舎を活用した趣のある建物で、今回は山本有三、吉屋信子、柴田トヨの三人を取り上げた展示が行われていました。係員の方による解説付きで、地域ゆかりの文学者たちへの理解を深めることができました。
続いて隣接する栃木市立美術館で開催中の中原淳一展を見学。吉屋信子作品の装丁や『少女の友』の表紙など、ご親族が保管していたという貴重な原画が数多く展示されていました。その時代の少女たちに与えた影響の大きさと、中原淳一の仕事の質の高さに改めて驚かされます。
こうして振り返ると盛りだくさんの一日でしたが、参加者は皆それなりの年齢層。無理なく歩ける行程で、実際の移動距離はそれほど長くありませんでした。
観光案内図を見ると、まだ訪ねていない見どころも数多く残されています。駅前は土地区画整理を終えたばかりという印象で、これから観光にも力を入れていこうという雰囲気が感じられました。平坦な土地で川沿いをゆっくり歩くことができ、文学散歩にはとても心地よい街でした。
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Posted by ブクログ
吉屋信子生誕130年。
初出は雑誌『少女の友』1932年(昭和7年)4月号〜12月号連載。
さすがに私も生まれていません。
初単行本は1935年とのこと。
女学校の三人の少女たちの関係を描く、いわゆるエス系少女小説。
華やかな少女と、生真面目な少女。
その二人から好かれる、どこか独特な少女。
そして驚くのは、この微妙な年代の作品でありながら、女子の地位の低さや、女子としての振る舞いを求める親への反抗心などが、物語のベースとしてきちんと描かれていることです。吉屋作品が当時の女学生に広く受け入れられたのは、
少女たちの本心、本質を書いたところにあったのかなと思います。
それにしても、現代でも
柚木麻子さんをはじめ多くの作家が、
少女同士の関係や心の揺れを同じテーマで書き続けていることに驚かされます。
時代は変わっても、少女たちの本質は案外変わらないのかもしれません。
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Posted by ブクログ
ネタバレ女学校という閉塞的な空間の奇妙なシスターフッド三角関係…この設定からして素晴らしく好み。
妖しい魅力を持った魔性の陽子がとても好きだった。特に牧子が一枝から貰った母への献花を、陽子が事も無げに車の外へ捨ててしまうシーンがあまりに蠱惑的で美しくて陶酔してしまった。
自身の学校や家庭の立場に悩んだり、女性であることの不自由に懊悩したり、好きな人への接し方を間違って後悔したり、頽廃的な恋愛だけでは無く、色々な示唆を含んでいてとても良かった。思春期の全てがこの小説に詰まっているように思った。
解説の、陽子からすると牧子こそがファム・ファタールなんじゃないかという視点が新鮮で良かった。 -
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『乙女のための源氏物語(上)』より続く
吉屋信子による源氏物語後半。老女、楓刀自が孫娘3人や実業家の中年女性を生徒役として、源氏物語を要約して語り聞かせる形式である。
一時は政敵に虐げられていた源氏は政治の中枢に返り咲いた。
須磨・明石下向の際に出会った明石の上との間には一女が生まれていた。逡巡する明石の上を京に呼び寄せ、その娘を最愛の紫の上の養女として迎え、立派な貴婦人に育て上げる。そしてゆくゆくは入内させようという心づもり。
その傍ら、いままで関係した女性たち、特に寄る辺のない人たちを邸に住まわせ、暮らし向きの面倒を見る。この辺りは懐の深いところである。
後半の1つの大きなストーリーラインは「玉鬘」に関わるものだろう。
玉鬘は、以前関係した夕顔の君の忘れ形見である。父親は源氏の友人のかつての頭中将(この時点では内大臣)。ふとしたことからその娘を見つけ出し、養女格とするのだが、何しろ色好みの源氏、玉鬘の中に、どことなくかつての恋人の面影を見てしまう。
一方では玉鬘に求愛に来る貴公子たちを煽るような真似をし、もう一方では自ら玉鬘に密かに恋を仕掛けようとする。
さて、困った玉鬘はどのようにこのややこしい境遇から抜け出るのだろうか。
もう1つ、大きな出来事は女三の宮に関わるもの。
女三の宮は源氏の兄君、朱雀院の愛娘である。院はことのほかこの宮を愛し、誰か頼りになる人と娶わせたいと考えている。源氏の息子、夕霧はどうかと考えていたが、折しも夕霧は長年の恋を実らせたばかり。ここで源氏は、自ら、降嫁を願い出てしまう。最愛の紫の上がどれほど傷つくか、思い至らないわけではないのに。
結果的に、この降嫁は源氏の後半生に大きな影を落とすことになる。引き取った女三の宮は幼く頼りなく、むしろ紫の上の素晴らしさが引き立つばかり。とはいえ、立場上、女三の宮を大切にしないわけにはいかない。だが源氏は女三の宮を本当に愛することができなかった。その隙間に災厄が忍び込む。それは源氏のかつての秘めた過ちを彷彿とさせるものだった。
かくして源氏の晩年は苦く重いものとなっていく。
楓刀自の(そして吉屋の)語りは、比較的メインストーリーを追っている。それは、この長大な物語をわかりやすくするのに一役買っている。
そうした中で浮き上がってくるのは、貴婦人たちの生きづらさである。
本作中では、少しだけしか触れられていないが、好意的に評されているのが朝顔の君である。源氏が若いころからずっと思いをかけ続けていたものの、ついに身を許さなかった女性。その毅然とした姿は昭和の乙女たちにも美しく映る。
だが、そうして生きられる貴婦人ばかりではない。
源氏に降嫁した女三の宮しかり。その姉で、夫・柏木に先立たれ、夫の友人であった夕霧に言い寄られることになる女二の宮(落葉の宮)しかり。また、源氏の数ある思い人のうち、末摘花や花散里は、宮家の生まれであったり、姉が女御であったり、身分は高いのだが、だからといって安定した生活が約束されるわけではない。有力な男性親族がいなければ、生活は立ち行かないのだ。誰かしらの庇護なしには生きていけない。それはどれほど寄る辺なく、つらいものだっただろう。
源氏はそうした貴婦人たちにも手を差し伸べる、ある意味、救世主的な役割も果たす。けれども現実には、没落し、ままならぬ思いを抱え、経済的にも困窮した女たちは数多くいたことだろう。彼女らもまた源氏物語に触れることはあっただろうか。そしてどのような感想を抱いたものか。
吉屋の筆は後半は駆け足である。「松風」から「まぼろし」までの24帖は楓刀自の講義形式だが、1章に複数の帖を含むものも多い。源氏亡き後の世界を描く、「匂宮」以降の3帖と宇治十帖は孫娘・容子がまとめたノート形式となっている。
高倉家の両親は無事、外地から帰還したものの、父母はほとんど顔を出さず、講義に参加するのはもっぱら3人の孫と実業家夫人である。女君たちもとりどりだが、生徒役の感想もさまざまで、読者それぞれにどこかしら共感のポイントがあるだろう。そのあたりも吉屋版の特長といえようか。
下巻の解説は田辺聖子。田辺はこの国書刊行会版出版の際には亡くなっているので、過去のものの再録である。田辺が吉屋を高く評価していたことがわかり、なかなか興味深い。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ花の名前を冠するお話の短編集で、花の様に儚い少女たちのお話。
上下巻を通して思ったのが、比喩が情緒あって美しいということ。
「双のひとみに露は結ばれました」
「泣きぬれた女の瞳のように、灯がうす赤くぽっとつきます」
「三日月の銀の挿櫛と浮かぶ頃」
….なんですかこれは!
胸の奥がきゅうっとなるような、切ない表現がたくさんあって、それだけでも読む価値はあると思う。
そして、色の表現がとても良い。
上巻の「あやめ」の雨の尾張町(グレー)の中の、差し掛けられた傘のうす紫の柔らかい翳、濃紫に白さも交じるあやめの花の一束…そして、優しい人の黒髪と可愛く紅さいた唇
……想像すると、ほうっと溜息が出るぞこれは。
他にも色々とあるけれど、それは読んでからのお楽しみ。
私は少女小説が割と好きだけど、下巻は上巻とは雰囲気がまた違った。
私自身、女子校に通っていたが、やっぱり「お姉さま」と言う雰囲気の先輩はいたなぁと懐かしく思った。
全編を通して、なんだかとってもノスタルジーを感じた。
私の祖母の家から見る、山へ沈む夕日を思い出して、切なくなった。
私は鬱金桜が一番好きだった…
心が荒んでいる時に読むと、純粋な少女たちの話に触れることが出来て、気持ちがすーっと楽になる… -
Posted by ブクログ
クララアグネス白書のしーのが愛読する
1920年ごろ(大正末から昭和初期)書かれた少女小説短編集
家族の愛情や同性の友人との友情はあっても
異性との恋愛はないのが90年前であり
少女小説なのかと疑うところだが
そのくすぐり感傷を誘うつくりは確かに今のままである
とはいえ少女マンガならともかく
氷室冴子せんせ以降のライトノベル的少女小説の多くは
恋愛以外の感傷を必要としていないが時代のゆえか
独特の修飾で綴られたかくありたしという
美意識よりなる本作の文章は
いわゆる「少女小説」でなく
姫野カオルコ作品のようなあちらであろう
少女より上の女性をさすことばがないのであちらとしかいえないが -
Posted by ブクログ
上巻はドラマの影響も受けていたのですが、
下巻ではいよいよ自分の脳内に江戸の大奥の姿がありありと浮かんでくるようになりました。
とはいえ、自分の脳内のイメージを作ってきたのは、
そのようなドラマだったり、歴史の教科書の挿絵だったり、
全国の寺社に行った際の風景の蓄積ではあるのですが。
そんな空想を働かせていると、
将来、制約のない暮らしができるのならば、
自分が寝殿造りを基本として、夢殿も配置する家に住みたい。
と学生時代に思っていたことを、10数年ぶりに思い出しました。
渡殿を使って池の上を移動して隣の部屋に移動。
今思うと雨の日どうするんでしょうかねという感じですが。
そんな脳内の使っていないところを活性化させながらの読書だけに、
下巻の半分くらいお万の方を苛むことになる、
閨での家光に抱かれている際に伸平を浮かべてしまう場面では
もうドキドキです。
ここの描写が抜群です。吉屋さんの筆力が存分に伝わる本の中でも、
後ほどフラッシュバックするほどのインパクトがあるシーンでした。
この徳川の夫人たちには続もあるとのことで、こちらも
読むのを楽しみに、読みたい本リストに入れたいと思います。
こう思うと、日本の歴史にまつわる小説の幅広く、面白いことよ!
遅すぎるということはありませんので、気になった本を引き続き、読んで行きたいと思います。