吉屋信子のレビュー一覧

  • 花物語 上

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    ネタバレ

    表紙がかなり素敵で凄く気に入りました。
    感想を一編ずつ徐々に書いていきたいなと思います。

    <鈴蘭>
    亡き母の面影を探してピアノを弾きに来ていたオルテノ嬢・・・。
    短くも切ない、素敵なお話でした。
    <月見草>
    長崎の話。
    手渡されたのはきっとクロス・ロザリオですね。
    おゆうさんの置いていった簪が切ない・・・。
    <白萩>
    I will leave it to Chance. (運命にまかせましょう)
    お姫様との出会い。
    お姫様の姿を描きたいゆかりさん・・・。
    絵とゆかりさんと言うことで、はやてを思い出してしまったのは言うまでもありません(笑)
    切ない出会いと別れの話・・・。
    <野菊>
    実のお母様

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    2012年01月16日
  • 花物語 上

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    これじゃなくて、新学社文庫のやつです
    いまどきの少女にはこういうロマンティシズムがたりないね
    恋する相手が少女から少年になったところで、ロマンは失われるものではないよ

    中学生くらいの女の子はすべからくよむべし!

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    2010年10月05日
  • わすれなぐさ

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    ネタバレ

    女学校という閉塞的な空間の奇妙なシスターフッド三角関係…この設定からして素晴らしく好み。
    妖しい魅力を持った魔性の陽子がとても好きだった。特に牧子が一枝から貰った母への献花を、陽子が事も無げに車の外へ捨ててしまうシーンがあまりに蠱惑的で美しくて陶酔してしまった。
    自身の学校や家庭の立場に悩んだり、女性であることの不自由に懊悩したり、好きな人への接し方を間違って後悔したり、頽廃的な恋愛だけでは無く、色々な示唆を含んでいてとても良かった。思春期の全てがこの小説に詰まっているように思った。
    解説の、陽子からすると牧子こそがファム・ファタールなんじゃないかという視点が新鮮で良かった。

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    2025年06月07日
  • わすれなぐさ

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    昭和初期、同級生の三人の少女の三角関係、友情を描く少女小説。牧子を誘惑する陽気の高飛車なキャラが面白い。現代風に翻案して、思い切りエンタメに振って映像化したら今でも通用すると思う。

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    2024年07月07日
  • 花物語 上

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    前半のページ数の少ない作品は展開がやや単調であまり合わないかも……と思いながら読み進めていたが、白芙蓉の前後あたりの20ページ位の作品から展開の仕方に変化があり、登場人物の設定に奥行が生まれ、起承転結もはっきりとわかりやすくなったように感じたためか後半は楽しみながら読むことができた。
    短編としての出来は言わずもがな、全体的にハッピーエンドではない話でも不思議と後味は悪くなく透明感のある作品集でした。
    個人的なお気に入りは福寿草と三色菫。

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    2024年06月23日
  • 乙女のための  源氏物語  下

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    『乙女のための源氏物語(上)』より続く

    吉屋信子による源氏物語後半。老女、楓刀自が孫娘3人や実業家の中年女性を生徒役として、源氏物語を要約して語り聞かせる形式である。

    一時は政敵に虐げられていた源氏は政治の中枢に返り咲いた。
    須磨・明石下向の際に出会った明石の上との間には一女が生まれていた。逡巡する明石の上を京に呼び寄せ、その娘を最愛の紫の上の養女として迎え、立派な貴婦人に育て上げる。そしてゆくゆくは入内させようという心づもり。
    その傍ら、いままで関係した女性たち、特に寄る辺のない人たちを邸に住まわせ、暮らし向きの面倒を見る。この辺りは懐の深いところである。

    後半の1つの大きなストーリー

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    2024年04月22日
  • 花物語 上

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    少女小説としてももちろん、短編集のお手本としても読むべき価値のある作品。どの短編も僅か数ページで読者の心に細やかな感動を与える。嶽本野ばらが影響を受けているのがよくわかった。

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    2023年12月25日
  • 花物語 上

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    ネタバレ

    花の名前を冠するお話の短編集で、花の様に儚い少女たちのお話。

    上下巻を通して思ったのが、比喩が情緒あって美しいということ。

    「双のひとみに露は結ばれました」
    「泣きぬれた女の瞳のように、灯がうす赤くぽっとつきます」
    「三日月の銀の挿櫛と浮かぶ頃」

    ….なんですかこれは!
    胸の奥がきゅうっとなるような、切ない表現がたくさんあって、それだけでも読む価値はあると思う。

    そして、色の表現がとても良い。
    上巻の「あやめ」の雨の尾張町(グレー)の中の、差し掛けられた傘のうす紫の柔らかい翳、濃紫に白さも交じるあやめの花の一束…そして、優しい人の黒髪と可愛く紅さいた唇
    ……想像すると、ほうっと溜息が出

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    2020年01月13日
  • 花物語 上

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    クララアグネス白書のしーのが愛読する
    1920年ごろ(大正末から昭和初期)書かれた少女小説短編集
    家族の愛情や同性の友人との友情はあっても
    異性との恋愛はないのが90年前であり
    少女小説なのかと疑うところだが
    そのくすぐり感傷を誘うつくりは確かに今のままである
    とはいえ少女マンガならともかく
    氷室冴子せんせ以降のライトノベル的少女小説の多くは
    恋愛以外の感傷を必要としていないが時代のゆえか
    独特の修飾で綴られたかくありたしという
    美意識よりなる本作の文章は
    いわゆる「少女小説」でなく
    姫野カオルコ作品のようなあちらであろう
    少女より上の女性をさすことばがないのであちらとしかいえないが

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    2019年01月12日
  • 小さき花々

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    吉屋信子の短編集。花物語よりおそらくずっとあと、昭和に出たもので、文体も心なしか読みやすかったです(花物語より、わすれなぐさ寄り)。解説にもあったように、教訓めいた、でもそれだけじゃないなんとなく、悲しい気持ちや寂しい気持ちになるお話が多かったです。特に、「天国と舞妓」がお気に入り。最後の「女の子」は、ズル休み好きな私には耳の痛いお話でした笑。

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    2016年07月22日
  • 小さき花々

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    吉屋信子が1935年に発表した少女小説短編集です。雑誌「少女の友」に『花物語』の続編として連載されたものをまとめたものです。どのお話も貧富の差などによって引き裂かれる少女たちを描いています。本書の特徴としては、社会的に強者の立場にいる女の子が主役になっている所にあると思います。「天国と舞妓」「素直な心のひと」「たまの話」などハッピーエンドではない作品が多いですが、この経験から大人の階段を登って行くのかなと想像したりしています。そんな中で、「田舎の親類」「小さい父さん」などは読むとほっこりします。

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    2015年11月16日
  • 花物語 下

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    上巻に比べて切ない話の多いことよ…。
    片方が少女から女性に成長すると残酷な結末になるんだな。
    梨の花が儚くて美しくて好きです

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    2015年06月15日
  • 小さき花々

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    大正5年から9年にわたって連載されたのが「花物語」。それから10年を経て続編として発表されたのが本作ということらしい。「花物語」と本作「小さき花々」はかなり違うように感じる。第一に著者の作劇技術が向上しているし、文章もゆとりを感じさせる。第二に「花物語」がS要素を中心に据えて自由なイメージに溢れていたのに対し、本作は教訓的でキリスト教色も強く窮屈な感じがする。この違いは世相の違いを表しているのかもしれない。「小さき花々」は満州事変の頃だもんね・・・。

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    2015年03月11日
  • 徳川の夫人たち 下 新装版

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    後半は家光が亡くなった後くらいから何だか切なかったです。
    お万の方が素敵に描写されすぎて、何だか嘘らしい感じも否めませんでしたが、ところどころに京ことばが散りばめられ、美しい所為や素敵な着物などの描写もあり、お万の方、そして、大奥の世界にどっぷり浸かってしまいました。

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    2014年07月13日
  • 徳川の夫人たち 下 新装版

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    上巻はドラマの影響も受けていたのですが、
    下巻ではいよいよ自分の脳内に江戸の大奥の姿がありありと浮かんでくるようになりました。

    とはいえ、自分の脳内のイメージを作ってきたのは、
    そのようなドラマだったり、歴史の教科書の挿絵だったり、
    全国の寺社に行った際の風景の蓄積ではあるのですが。

    そんな空想を働かせていると、
    将来、制約のない暮らしができるのならば、
    自分が寝殿造りを基本として、夢殿も配置する家に住みたい。
    と学生時代に思っていたことを、10数年ぶりに思い出しました。
    渡殿を使って池の上を移動して隣の部屋に移動。

    今思うと雨の日どうするんでしょうかねという感じですが。

    そんな脳内の

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    2014年03月17日
  • 花物語 上

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    吉屋信子の美しい文章が好きです。
    心に残る映像がひとつずつ、という感じ。
    (前巻の)前半の作品の方がすっきりしていて好きだった。

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    2013年08月30日
  • 花物語 下

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    ああ、綾子さん、幾度呼ぶとても永劫に返る日のなき、その俤よ! 真弓は悲しみに打ち倒れようとした、その時、つとその肩を支えて、『伴さん! 私も御一緒に泣かせて下さいませ』かく言いて、つとより添う人影、窓越しの雪の反射に見返れば、おお、佐伯さん、その人……
    2013/08/09-09/04
    2023/08/10-08/11(中断)2023/08/17-08/25

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    2013年09月14日
  • 花物語 上

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    その幻を追って走りゆく豊子をふいに犇と抱きとめた優しき腕があった。この腕が与えられないならば、豊子は円内を幾度走りまわるとも知るを得なんだろうに。
    はっと息をこらして危うく倒れようとする豊子を抱き寄せて、耳もとで近く囁く声、
    『おめでとう、もう大丈夫! 第一着!』
    と――さながら、谷間に落ちて気絶した勇敢な冒険者の唇に女神が哀れんで星の雫を滴したごとく――
    2013/07/22-08/08
    2023/07/29-08/09

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    2013年09月14日
  • 徳川の夫人たち 上 新装版

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    大奥のドラマは見ていたので内容しっているしなーと思っていたけれど、お万の方だけをじっくりと描いたこの小説はドラマとはまた別の面をみることができて面白かった!
    お付の人達の優秀さもスカッとしていて良く、ドラマをもう一度見返したくなってしまった。
    お万の方の心の動きや、その優しさや聡明さ、美しさの表現も見事でした。信平とのことがこれからどうなっていくのか・・・。

    ただし、とにかく誤字脱字が多かった・・・
    その中でもP67で初めて”お万の方”という名前を下されたその最初のフリ仮名がオカタノカタとふってあるのは諸説あるから?もし単純に誤字だとしたら主人公の名前だけに致命的でした。

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    2013年01月04日
  • 花物語 上

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    ネタバレ

    花のように儚く淡く、今にも消えそうな、それでいて芯の通った少女たちの物語。
    彼女らは大人の汚さにも気付き始めていますが、まだそこに染まってはいません。

    ほとんどの物語は少女としての最後の時間を描いたもののように見えます。
    友人や恩師との別れ、新しい出会い…
    センチメンタルな結末は、一つの時代の終わりを告げているのではないでしょうか。

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    2012年08月29日