吉屋信子のレビュー一覧
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ネタバレ表紙がかなり素敵で凄く気に入りました。
感想を一編ずつ徐々に書いていきたいなと思います。
<鈴蘭>
亡き母の面影を探してピアノを弾きに来ていたオルテノ嬢・・・。
短くも切ない、素敵なお話でした。
<月見草>
長崎の話。
手渡されたのはきっとクロス・ロザリオですね。
おゆうさんの置いていった簪が切ない・・・。
<白萩>
I will leave it to Chance. (運命にまかせましょう)
お姫様との出会い。
お姫様の姿を描きたいゆかりさん・・・。
絵とゆかりさんと言うことで、はやてを思い出してしまったのは言うまでもありません(笑)
切ない出会いと別れの話・・・。
<野菊>
実のお母様 -
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ネタバレ女学校という閉塞的な空間の奇妙なシスターフッド三角関係…この設定からして素晴らしく好み。
妖しい魅力を持った魔性の陽子がとても好きだった。特に牧子が一枝から貰った母への献花を、陽子が事も無げに車の外へ捨ててしまうシーンがあまりに蠱惑的で美しくて陶酔してしまった。
自身の学校や家庭の立場に悩んだり、女性であることの不自由に懊悩したり、好きな人への接し方を間違って後悔したり、頽廃的な恋愛だけでは無く、色々な示唆を含んでいてとても良かった。思春期の全てがこの小説に詰まっているように思った。
解説の、陽子からすると牧子こそがファム・ファタールなんじゃないかという視点が新鮮で良かった。 -
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『乙女のための源氏物語(上)』より続く
吉屋信子による源氏物語後半。老女、楓刀自が孫娘3人や実業家の中年女性を生徒役として、源氏物語を要約して語り聞かせる形式である。
一時は政敵に虐げられていた源氏は政治の中枢に返り咲いた。
須磨・明石下向の際に出会った明石の上との間には一女が生まれていた。逡巡する明石の上を京に呼び寄せ、その娘を最愛の紫の上の養女として迎え、立派な貴婦人に育て上げる。そしてゆくゆくは入内させようという心づもり。
その傍ら、いままで関係した女性たち、特に寄る辺のない人たちを邸に住まわせ、暮らし向きの面倒を見る。この辺りは懐の深いところである。
後半の1つの大きなストーリー -
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ネタバレ花の名前を冠するお話の短編集で、花の様に儚い少女たちのお話。
上下巻を通して思ったのが、比喩が情緒あって美しいということ。
「双のひとみに露は結ばれました」
「泣きぬれた女の瞳のように、灯がうす赤くぽっとつきます」
「三日月の銀の挿櫛と浮かぶ頃」
….なんですかこれは!
胸の奥がきゅうっとなるような、切ない表現がたくさんあって、それだけでも読む価値はあると思う。
そして、色の表現がとても良い。
上巻の「あやめ」の雨の尾張町(グレー)の中の、差し掛けられた傘のうす紫の柔らかい翳、濃紫に白さも交じるあやめの花の一束…そして、優しい人の黒髪と可愛く紅さいた唇
……想像すると、ほうっと溜息が出 -
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クララアグネス白書のしーのが愛読する
1920年ごろ(大正末から昭和初期)書かれた少女小説短編集
家族の愛情や同性の友人との友情はあっても
異性との恋愛はないのが90年前であり
少女小説なのかと疑うところだが
そのくすぐり感傷を誘うつくりは確かに今のままである
とはいえ少女マンガならともかく
氷室冴子せんせ以降のライトノベル的少女小説の多くは
恋愛以外の感傷を必要としていないが時代のゆえか
独特の修飾で綴られたかくありたしという
美意識よりなる本作の文章は
いわゆる「少女小説」でなく
姫野カオルコ作品のようなあちらであろう
少女より上の女性をさすことばがないのであちらとしかいえないが -
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上巻はドラマの影響も受けていたのですが、
下巻ではいよいよ自分の脳内に江戸の大奥の姿がありありと浮かんでくるようになりました。
とはいえ、自分の脳内のイメージを作ってきたのは、
そのようなドラマだったり、歴史の教科書の挿絵だったり、
全国の寺社に行った際の風景の蓄積ではあるのですが。
そんな空想を働かせていると、
将来、制約のない暮らしができるのならば、
自分が寝殿造りを基本として、夢殿も配置する家に住みたい。
と学生時代に思っていたことを、10数年ぶりに思い出しました。
渡殿を使って池の上を移動して隣の部屋に移動。
今思うと雨の日どうするんでしょうかねという感じですが。
そんな脳内の -
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大奥のドラマは見ていたので内容しっているしなーと思っていたけれど、お万の方だけをじっくりと描いたこの小説はドラマとはまた別の面をみることができて面白かった!
お付の人達の優秀さもスカッとしていて良く、ドラマをもう一度見返したくなってしまった。
お万の方の心の動きや、その優しさや聡明さ、美しさの表現も見事でした。信平とのことがこれからどうなっていくのか・・・。
ただし、とにかく誤字脱字が多かった・・・
その中でもP67で初めて”お万の方”という名前を下されたその最初のフリ仮名がオカタノカタとふってあるのは諸説あるから?もし単純に誤字だとしたら主人公の名前だけに致命的でした。